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足関節捻挫を予防する靭帯トレーニング!捻挫に悩むアスリートのために!

⓵靭帯トレーニング

外側足関節捻挫(LAS)を予防するためには靭帯トレーニングが必要である

LASはスポーツ活動参加で一般的に起こりやすい疾患の一つでありスポーツ現場において最も発生頻度の高い外傷である。

アメリカでは1日に2300件以上足関節捻挫は発症しており、その医療コストは年間20億ドルにのぼると推定されている。

足関節捻挫受傷後に医療機関へ受診しない選手も多く、損傷した組織が完治しないまま、スポーツ復帰するケースも多い

②慢性足関節不安定症とは?

そのためLASの40%が慢性足関節不安定症(CAI)を発症するといわれている
LSA受傷からスポーツ復帰までの流れが適切ではないとCAIを発症してしまう

CAIの症状はGiving Way(定期的に発生する制御不能かつ予測不能な後足部の過度な内反であり、足関節捻挫をもたらさない)、痛み、脱力感、足首の可動域の減少などがある

LASの最大のリスクファクターは捻挫の既往があることである
それはLASで損傷する場所は捻挫で受傷するといわれているのは主に靭帯(前距腓靭帯が最多)である
靭帯の役割としては関節の保護・関節の位置を脊髄や脳などの中枢に伝達することである
靭帯はレザーに様な組織であり、あまり伸び縮みしない特徴がある
また靭帯には豊富な固有受容器と呼ばれるセンサーの役割をするものがある

損傷すると関節の保護の点ではでは距骨の前方引出しまたは並進の増加が認められている
損傷すると、このセンサーの役割が乏しくなるため関節位置を中枢に伝達する機能が低下し、足部がどの位置にあるのか把握することが難しくなる
よって、関節が緩くなりやすく、関節の位置も把握しにくいため、LSA再受傷しやすくなる
また、報告の中には、CAIの方は靭帯の位置覚に乏しいため歩行中、足部が回外しやすいといった報告や腓骨筋の反応速度が遅いため足部が外反位(LSAの位置)を取りやすいという報告、片脚立ちするとき視覚情報に依存するなど靭帯が損傷し足関節の位置関係が把握しづらいことで様々な問題がでてくると報告されている

③予防するためには、、、

そこでLSA➡CAI➡LSAのサイクルを脱却するためには靭帯の機能を改善させることが重要である

まず、靭帯の機能が正常かどうかを判断する必要があり、そのテストはStar Excursion Balance Test(以下SEBT)が適切である。スポーツ復帰の条件としては健足と比較して80%以上であれば復帰可能となる

SEBTは真ん中に軸足を置きもう一側で8方向に出来るだけ遠くに足を付いて元の位置に戻るというテストである
その際、振り出した足には可能な限り体重を掛けない、軸足はつま先や踵が浮かないよう注意が必要である
各3回ずつ実施し、平均値で健足と捻挫足を比較する


また正式には8方向であるが、改訂版の3方向もあるのでそちらでもいいと思います

このテストで健側比80%未満であれば、靭帯トレーニングが必要です
トレーニングは様々ありますが、簡単にできるものは

④トレーニング実践

A 静的片脚立ち
1 開眼 片足立ち 3×30秒
2 開眼 バランスパット上での片足立ち 3×30秒
3 閉眼 片足立ち 3×30秒
4 閉眼 バランスパット上での片足立ち 3×30秒

B 動的バランスジャンプ 着地課題
1 45.72cmのジャンプと着地 1-3×10
2 手を腰に置いた状態で45.72cmのジャンプと着地 1-3×10
3 バランスパット上で45.72cmのジャンプと着地 1-3×10
4 60.96㎝のジャンプと着地 1-3×10
5 手を腰に置いた状態で60.96cmのジャンプと着地 1-3×10
6 バランスパット上で60.96cmのジャンプと着地 1-3×10
7 76.2cmのジャンプと着地 1-3×10
8 手を腰に置いた状態で76.2cmのジャンプと着地 1-3×10
9 バランスパット上で76.2cmのジャンプと着地 1-3×10

があります。1からレベルを上げていく必要があります
バランスパットがなければ不安定な地面であれば問題ありません

他には、不安定なクッションの上でSEBTなどあります


この運動をして健側比80%以上でスポーツ復帰となります

⑤テーピング


CAIには疼痛や関節可動域制限があります。

それを解消する一つとしてテーピングも有効だと報告されています

ただしテーピングには様々な方法があり、トレーナーやセラピストの技術差も大きいので、下図に簡便で効果があるといわれている方法を紹介します

Tobyらが提唱するfibular repositioning tape(FRT)である

FRTは2分程度で対応できること、痛みや不安感の軽減すること、膝や股関節など他の部位に影響を及ぼさないことが報告されている

痛みや不安感が残る方は試しに使用してもいいと思います

【参考文献】
Jay Hertel, Revay O. Corbett, ; An Updated Model of Chronic Ankle Instability: Journal of Athletic Training 2019;54(6):572–588 doi: 10.4085/1062-6050-344-18

C. Collin Herb • Jay Hertel: Current concepts on the pathophysiology and management of recurrent ankle sprains and chronic ankle instability: Curr Phys Med Rehabil Rep (2014) 2:25–34 DOI 10.1007/s40141-013-0041-y

Kinzey SJ ,Armstrong CW : The reliability of Star Excursion Test in assessing dynamic balance: J Orthop Sports Phys Ther 27(5) ,1998 ,: 356-360

Toby M Hall,Kim Robinson:The Role of Fibular Tape in the Prevention of Ankle Injury in Basketball: A Pilot Study; Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy:36(9):661-668.2006

Jerry Ditz:An Often-Overlooked Simple Ankle Taping Technique:2018

John M;Effects of the Fibular Repositioning Taping on Lower Extremity Biomechanics during Gait in Active Adults with Chronic Ankle Instability:2017

理学療法士 稲吉直哉

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