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編集部員の気まぐれレビュー

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学芸出版社の編集部員が、気になった本や映画、展覧会などを気まぐれにレビューします。「これを読め!観よ!」という作品の推薦、いつでもお待ちしております【毎週水曜日更新】
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2018年6月の記事一覧

情報と戦う──『読んでいない本について堂々と語る方法』

情報と戦う──『読んでいない本について堂々と語る方法』

次はこの本について書いてみよう〜と思っていた矢先、先輩編集者が見事にバトンを渡してくれた(と思っている)。

彼の紹介にある通り、タイトルから感じるような薄っぺらいノウハウ本だと侮るなかれ、実は読書論からはじまり教育論や思考術、さらには哲学へまで広がるような深〜い根を持つ本である。

ピエール・バイヤール著/大浦康介訳
『読んでいない本について堂々と語る方法』(筑摩書房、2008)

著者は、「本

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『本は読めないものだから心配するな』

本を読むのが苦手である。
曲がりなりにも編集の仕事をしているにもかかわらずだ。

子どもの頃は図書館の本を読み漁るほどだったが、大学に入り、専門書を手に取ると、そういうわけにはいかなくなった。小説とは違ってすらすらと読めず、理解しないと先に進めないという強迫観念にかられた。
読み終えた本を入力すると「今月は何冊読みました、1日平均〇ページ」と教えてくれるアプリがあるが、専門書には向いていないと思う

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