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#35 虎に翼より〜無自覚な偽善〜

あんた、そうやって自分がいいことしたと思って
気持ちがよくなりたいだけなんじゃないの?

虎に翼。

直明から
かけられた言葉に対しての
道男のことばだ。
直明のことばに見え隠れする偽善性を
直球で突いている。

はて?
偽善とは?



今も私が月イチで通っているカウンセリング。
担当の先生以外にも、臨床心理士の方が在籍している。

もう10年以上も前になるが
そこに若い男性の心理士さんが一人加わった。(後ろ姿の雰囲気が若い頃の義田貴士風だったので、以降ヨシダさんとする)
本来、担当以外の心理士さんの存在を認知することはほとんどない。

なのに、なぜ私が若手男子臨床心理士・ヨシダさんの存在を認知したかというと…


カウンセリングは
通常
時間と空間(場)が限定されている。
それは
カウンセラーとクライエントの関係性を維持するために大事で
「枠組み」でもある。
その枠をカウンセラーが維持することで

カウンセリングの場に
他者が介入しないという
環境的な安全と
心理的安全が
保たれて
クライエントは安心して自己開示ができる(と私は思っている)

カウンセリングの過程で
クライエントが、その枠を飛び越えようとすることがあり、それは治療の過程で重要なファクターでもあるのだが、

そのような状態に陥った場合、カウンセラーは心身を削られながらも
クライエントと自身の心の揺れを感じながら枠の維持に努める…

私自身も、
担当の先生が
狂犬あおばに毎度毎度噛みつかれながらも
血まみれになりながらも(あくまでも比喩)
その枠を維持することで
カウンセリングは行われていた…はずだった。
 
ヨシダさんが登場するまでは。

ヨシダさんのクライエントは
10代後半と思しき少年。

私のカウンセリングのサイクルと被っていたようで、
私がカウンセリングを終える時間と少年がカウンセリングを終える時間が毎週のように重なった時期があった。

それだけなら、
ありふれた話だが、
問題はその先。

ヨシダさんは
カウンセリングが終わると、
毎回カウンセリングルームを出て、エントランスまで少年を見送りに出ていた。

私は
ヨシダさんと少年の空間に立ち入ることは憚られ
しかし
今出てきたカウンセリングルームに戻るわけにもいかず…

1回目:あらタイミングが被っちゃった。
2回目:まただ…(とヨシダさんの背後から儀式が終わるのを待つ)
3回目:もしかしてコレ、毎回続くやつ⁈モヤモヤと心許なさよ…

3回続いて、モヤモヤと心許なさの実体について考えてみた。

カウンセリングを終えてドアを閉める。
そこから
エントランスまでの時間と空間は
私にとって
現実世界に戻るニュートラルな時間と空間
クライエントのあおばでもない
現実世界を生きるあおばでもない
時間と空間が
そこにあったのだ。

その時間と空間に
他者が存在する違和感。
クライエントから
突如サバイブする現実世界へと
投げ出される感覚。

私自身が
ヨシダさんと少年の時間と空間に侵入するまいと思うことで感じる理不尽さ。

私の思考回路は
理不尽→怒り
という一本道が確立されている。

しかし
この時は
さすがに
少年の目の前で
ヨシダさんに噛みつくわけにもいかないので、

自分の担当の先生に言ってみた。

そして
次の質問をしてほしいとお願いした。

それは
何のためにしているんですか?

それは
誰のためにしているんですか? 

あれから10年以上経つ。
もともと
回答を要求しない質問だから、
もちろん
回答はいただいていない。


この投稿を読んでいるあなたが
ヨシダさんなら、
どう答えますか?



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