太陽に焼かれて殺されたダニの香りの芳香剤を売れ 第39.2話 小麦とメラ
闇が深くのしかかり、周囲は音すらも吸い込むような静けさに包まれている。ドアの隙間から差し込んでいた光が消え、視界も心も完全に塞がれたまま俺はじっと息を殺して立ち尽くしていた。
全く知らない異質な空間に閉じ込められ、出所の分からない声に呼びかけられている。デミグラなんて言われても、俺には何も理解できない。
「……誰?」
自分でも驚くほど冷や汗が滲む。俺の言葉に、闇の中の声は微かに笑いを含んで応えた。
「誰……?もう忘れてしまった。でも……デミグラちゃんが無事なら、それだ