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五音の物語

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創作物語収録所 それぞれの説明は以下(作り話・物語・一次創作、題名でシリーズ分類してあります)。 ・小ぎたない恋のはなし:小学生の頃に一緒に下校した少女の名前が思い出せない主人公…
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記事一覧

太陽に焼かれて殺されたダニの香りの芳香剤を売れ 第39.8話 恋する純損益

浅荷はモールの暗いテナントにいた俺を引きずり出した。顔を見た。彼女は、明らかに走り回って…

中村風景
4日前
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太陽に焼かれて殺されたダニの香りの芳香剤を売れ 第39.7話 早すぎるPDCAは身を滅ぼす

高校デビューとか大学デビューみたいな言葉と俺は縁がない。デビューしようとする舞台が別にそ…

中村風景
10日前

太陽に焼かれて殺されたダニの香りの芳香剤を売れ 第39.6話

俺の頭の中にはカレンダーがある。なんか詩的なことを言っているわけじゃない。単に日付の把握…

中村風景
12日前
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太陽に焼かれて殺されたダニの香りの芳香剤を売れ 第39.5話 愛する無添加

恐ろしく面倒な……というか、俺だけに降り掛かった苦労や危険を乗り越え、元の場所に戻った時…

中村風景
13日前

太陽に焼かれて殺されたダニの香りの芳香剤を売れ 第39.35話 ジンバブAからCOOOL. B

「きみたちは幽霊なのか?」 ぼくは暗闇の中にいるであろう2人の生命と思われる存在に訊いた…

中村風景
2週間前
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太陽に焼かれて殺されたダニの香りの芳香剤を売れ 第39.3話 まんぞく村

「わたくしに質問?生意気ながきね」 先ほどの落ち着いた声とは一転し、今度の声には鋭い響き…

中村風景
3週間前

太陽に焼かれて殺されたダニの香りの芳香剤を売れ 第39.2話 小麦とメラ

闇が深くのしかかり、周囲は音すらも吸い込むような静けさに包まれている。ドアの隙間から差し込んでいた光が消え、視界も心も完全に塞がれたまま俺はじっと息を殺して立ち尽くしていた。 全く知らない異質な空間に閉じ込められ、出所の分からない声に呼びかけられている。デミグラなんて言われても、俺には何も理解できない。 「……誰?」 自分でも驚くほど冷や汗が滲む。俺の言葉に、闇の中の声は微かに笑いを含んで応えた。 「誰……?もう忘れてしまった。でも……デミグラちゃんが無事なら、それだ

太陽に焼かれて殺されたダニの香りの芳香剤を売れ 第39.1話 首都等速運動

俺は浅荷と湖を見つめていたベンチを離れて、手洗いに行ってくると伝えた。 モールの至るとこ…

中村風景
3週間前

太陽に焼かれて殺されたダニの香りの芳香剤を売れ 第39話 おま5×転3×打た取れ

浅荷と湖を見つめる静かな時間が、俺にとってはどこか居心地の悪いものに感じ始めていた。 俺…

中村風景
3週間前

太陽に焼かれて殺されたダニの香りの芳香剤を売れ 第38話 しゃあないにぇ しゃあない…

コメディアンの儀式が何度も繰り返されていた理由がぼんやり見えてきた気がする。 あの映画を…

中村風景
3週間前

太陽に焼かれて殺されたダニの香りの芳香剤を売れ 第37話 余った時間でかに供養

死ぬほどジョーカーを見に行ったコメディアンの行動は、自分の感情を麻痺させるための「現実逃…

中村風景
3週間前

太陽に焼かれて殺されたダニの香りの芳香剤を売れ 第36話 ( O-o)

浅荷の目には俺がどう映っていることだろう。 この湖のような澄んだ心の持ち主だと思える。そ…

中村風景
3週間前

太陽に焼かれて殺されたダニの香りの芳香剤を売れ 第35話 羽がある人

俺は割といきなりろくでもないことを口走ったことに気づく。親戚でもない女の人に対して、一緒…

中村風景
4週間前
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太陽に焼かれて殺されたダニの香りの芳香剤を売れ 第33.5話 脱ぎ捨てた口笛

「じゃあ誰もいない部屋から鳴る音は、おばあちゃんの影とは関係ないように思うのか」 俺と浅荷は、モールに着いて早速買った靴を店員から袋に入れて渡されるのを待っていた。 この後またその話聞いてくれる?と尋ねられてから、ずっと黙りこくってしまった。いいのか?と思ったけど、また訊いて良いかの合意が得られたから黙っている、その時のためになにかをフル回転で考えてるのであれば別に黙っててもおかしくないか……と考えた。 「うん……」 モールには川か湖かよくわからん水辺を眺め尽くせる庭