『すべて忘れてしまうから』燃え殻さん好きな女って意外といるよね?【読書感想文】
夏休み期間中(実家帰省中)に読んだ本も、4〜5冊目に入ってきた。
今週末に家に帰るので、あともう1冊くらいは読みたいんだけれど。最近頭痛が酷い。え?もう死んじゃうのかな?笑
そんなどうでも良いことは、置いておいて。
今日は、Twitterのフォロワーさんからオススメしてもらった本を読了しました。
燃え殻さんの『すべて忘れてしまうから』
タイトルからして、emotionalな匂いがする。
きっと、こうゆうの好きな女、いっぱいいるよ。(いや、私も含めて)
『すべて忘れてしまうから』は、燃え殻さんのエッセイ集なのですが…
『日常の何でもない出来事を集めた物語』といったら良いのだろうか。
イマドキの人が考えているような「ダルいな〜」という感じとか、昔のことを思い出して、「しんど。」ってなる感じが滲み出ているような。
すごく共感できる内容でした。
わたし、大好きなエッセイストさんがいるんですよね。
女性のエッセイストさんなんですが…
その方が書くものって、日常の一欠片を切り取って、湖の底の暗いところまで持っていって、そこからゆっくりゆっくり『出来事』の暗いところや、クスッと笑えるところとか、すべて書いていくって感じ。
そのクスッと笑えるところっていうのが秀逸で、悲しい出来事でも笑ってしまう。
こうゆうのがエッセイなのかな〜?ってぼんやり考えていたのですが…。
燃え殻さんのエッセイはまた違った味わいがあって…とっても美味しくいただきました。
なんていうか、昔食べていた魚肉ソーセージみたいな?そんな感じ。←
ほかの誰かやあの日の記憶に重ねてしまう
エッセイって、おもしろいよね。
若い頃読んでいたら、登場人物が出てくる度に、
「あ〜!わたしの周りには、こんな素晴らしい(面白い)こと言う人いないわ〜!」って言っていたと思うんだけど。
今読むと、また違うな〜って思った。
言葉の受け取り方によって、生きる言葉もあるよね。
生きている時代、年齢によって捉え方が新しくなるエッセイって本当に素敵だなって思う。
あとは…
エッセイって読んでいると、誰かと誰かを重ねてしまうことがある。
身近なあの人だったり、昔好きだった人だったり…。
「燃え殻さん」って人を誰かに重ねてしまった瞬間もあったのかもしれない。
人以外にも、あの日あの時を思い出してしまうこと。
学生時代に戻されてしまうなんてこともあるよね。
荒削りな記憶。足りないピースをエッセイの1ページと重ねて、
「あの時、あんな楽しい思い出があったな。」
「あの日の辛かった想いは忘れられない。」
だなんて、美しい記憶にすり替えていく。
記憶の中のファンタジー。
まさに、『あの記憶は誰のものなんだろう』状態。
『すべて忘れてしまうから』の中にも書いてあるので、読んでみて欲しい。
嘘を楽しむ
作中の何章かで、燃え殻さんの『嘘』に対する考え方(想い?)が書いてあるところがある。
相手の嘘をおもしろがっている彼を見て(読んで)「わたしもとびきりの面白い嘘をかましてやりたいな」なんて思ってしまった。
「嘘をつく人は嫌い」という人も多いと思う。
たしかに。わたしもその1人かもしれない。
だけど、彼の捉え方や表現の仕方がすごく魅力的。
嘘をつく人を『サービスの国の住人たち』だなんて言っている。
あぁ。なるほどな。
楽しませてくれる彼らに感謝を述べたいな、という気持ちにさせられた。
壊すことは怖いことじゃない
長く生きていると、ものを壊してしまったり、人間関係が破綻してしまったり、あとは、身体を壊してしまったり…まぁまぁ多くのものが壊れていく。
作中でも、体調を崩す燃え殻さんや、身近な人との別れが何度か書かれている。
(ふんわりと優しい言葉で書いているので、そこまで強烈な印象は受けていないのが幸い。)
身近な人との別れ。
相手に振られてしまったり、この世から去ってしまったり、様々なパターンがあると思う。
だけど、自分から別れる要因を作ってしまうこともあると思うんだ。
相手の気持ちがわからないばかりに、辛くなってしまって、お別れするパターン。
だけど、それは自分が先に気持ちを燻らせてしまっている場合もある。
相手を深いケムの中に置いてきぼりにしているのではないか?そんな気がした。
わたしは、あっさりと消える側の人間だな、と勝手に思っていたんだけれど。
勝手に混乱させて、消えたくなる理由を作ってしまうのも自分なのかなと思った深夜0時。
関係を壊してしまうと、
「あ〜やっちゃったなぁ〜終わりだ〜。」ってなってしまう。
落としてしまった大切な茶碗は、もう元には戻らないし、接着剤でくっつけたところで美味しいご飯はもう2度と食べられない気がする。
壊れたまま取り戻すことのできない関係もある。壊れたまま進んで行くしかないんだ。
「あのときは、あんなに幸せな時間だったな〜」
なんて思い出したりする。しかもとびきり美化されて。
別れた後の方が、あの人が如何に美しくて優しく、賢い人だったのか思い知る。
儚い夢に取り残されたままの状態は暑すぎず涼しすぎず、とても居心地が良い。
そのまま関係をつづけていたら、もしかしたら気持ちの悪いどろどろとした関係になっていたかもしれない。
あの時壊して離れることが最善だったのかなという気持ちにさせられる。
関係が壊れてしまうことって、それほど怖くないのかもしれないなぁ、なんて考えてしまった深夜1時。
わたしは儚い夢の中を漂って生きていこうかな?
なんて、深夜にバカな夢をみている。
あっさりと読んでいくはずが、色々な思い出に片足ずつ交互に突っ込んでいってしまったため、読了するのに時間がかかってしまいました〜。
たのしい思い出の夜をお過ごしください。おやすみなさい。