寒風に立つ人
朝。
ガサガサッ
ゴソゴソッ
「ん?
あなた?
………いま何時?
どうしたの、こんなに早く?」
「ちょっとな…」
「え?
ちょっと何、その格好?!」
「………」
「その頭もどうしたの?
クリスマスで使ったカツラよね…
アフロヘアーの」
「………」
「え?!
待って待って!
お化粧したの?
顔、真っ白じゃない!
ちょっとこっち!
パパ、こっち向いて!」
「………」
「ピエロ?!
それ、ピエロじゃない!
トナカイみたいな、
真っ赤な鼻まで付けて!
そのクチビルも、
ジョーカーじゃない!
そんな上まで、
リップひいちゃって。
目の下の涙は、何で描いたの?
水色なんてあった?」
「…油性マジック…」
「落ちないじゃない!?
どうしたの一体?
それ格好、ピエロよね。
パパ、急にどうしちゃったの?」
「ちょっと出かけてくる…」
「その格好で!?
こんな早くどこ行くの!?」
「ちょっと遠くに…
あと…
少しうちの備蓄持ってくよ」
「あなた…まさか…
あそこに行くの?」
「………」
「そんな格好で行ったら、
色々言われるわよ、きっと。
ふざけてんのか!とか、
何しに来た!とか…絶対」
「それでも行ってくる」
「大丈夫なの?」
「ああ…大丈夫だ。
行ってくる」
「わかったわ。
あなたも気をつけてね。
現地の人の指示に従って、
助けになってあげてね。
いってらっしゃい」
「ああ。
いってくるよ。
子供たちの…
笑顔のために…」
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お疲れ様でした。