行きたいあの場所
自室で友達と通話中の女性。
「そこがウケるのよ!
ほんと、うちの同僚、変なの!」
「へえ~」
「それでねそれでね!
あっ!……そういえば!」
「急にどうしたの?」
「この前、渋谷に、
素敵なカフェができてたの!
よかったら週末、行こうよ!!」
「う~ん……ごめん。
今週末は……
ちょっと…無理かも…」
「ええ~そうなの?!
あっ、ごめん!
急には無理か?!
やっぱ、予定あるよね?」
「いや、別に予定はないけど…
ちょっと…その日には…
行けないかなぁ……」
「そうかあ……残念!
でも、また誘うね!
それでね…
この前、その変な同僚と一緒に、
表参道に買い物に行ったら…
あっ、そうだ!
私、今日ランチの約束あったんだ!
表参道で思い出した!
急に、ごめん!
また連絡する!!
じゃあ、またね~♪」
「またね…」
「………」
プルルルルル~
「あれ、今度は別の友達から…
もしもし?」
「ねえ、ちょっと聞いて!
今日、スタバの新作飲んだら、
超美味しかったの~!
いけないな~
いけないわ~
って、思いながらも、
もう一杯、頼んじゃった!
ほんとに、これ超オススメ!!
1回飲んだ方がいいよ!
ほんとマジで!
そうだ!
今週末は私、都合悪いけど、
再来週の日曜日なら空いてる!
久しぶりに、一緒にスタバ、どう!?」
「再来週?
月末だよね…
う~ん……難しいかなあ…」
「ええ~そうなの?!
あっ、ごめん!
月末は無理か?!
給料日前って厳しいよね!
そう言えば、私もだった!
ごめんごめん!
気が利かなくて!
来月はまだ予定分からないけど、
上旬辺りにまた誘うから!
ほんとに美味しいんだから!
期間は来月いっぱいだから大丈夫!
また、おかわりしちゃおうかな…
あっ!
私の今年の目標…
ダイエットだった!
すっかり忘れてた!
ヤバい!
表参道のジムに行かないと!
あっ、そうだ!
表参道って…
今日、ランチの約束してた!
もうすぐお昼じゃない!?
ごめんね、行かなきゃ!
じゃあ、またね~♪」
「またね……」
「はぁ~………」
表参道のレストラン。
「それでさ…
今日、彼女に連絡入れたの。
今度、渋谷のカフェに行こうって!
そしたら、断られた」
「奇遇~。
私もスタバ行こうって誘ったら、
断られたんですけど」
「私たぶん…
半年ぐらい断られてんだけど」
「え?!
私もなんだけど!」
「前はフッ軽女子で、
誘えばすぐ来てくれたよね?」
「そうだよ。
困ったら彼女に連絡すれば、
どんな状況でも来てくれてたよ」
「どうしたんだろうね~?」
「何かあったのかなあ~?」
自室。
「私…2人に言ったよね?
それは大変だね~って、
言ってたよ…2人とも…。
なのになんで?
なんで誘ってくるの?
いや、誘ってくれるのは嬉しいよ。
でも私、いま…
火星だから。
週末に行けるわけないじゃん!
それは再来週でも無理よ!
急にロケット用意できないもの!
ランチより高い運賃じゃあ、
気軽に帰れるわけないじゃん!
あの2人…大丈夫かなあ…」
表参道のレストラン。
「やっぱり一流企業だから、
忙しいのかな~」
「それはあるかも~。
あの会社って上場企業でしょ?
週末も休めないのかも~」
「でもその一流企業、旭化成で、
月末厳しいってことある?
私はないと思うけどなあ~」
「事情があるんじゃない?
じゃあ、お金掛けずに、
たこ焼きパーティーでもしない!?
彼女の家で!」
「いいね~♪
前にもやったね!
じゃあ私、彼女に連絡しとくね!」
「楽しみ~!
彼女の家、遊びに行きたかったんだよね~!」
「私も~!!」