ハリマコード
宇宙からの交信。
地球外から、
特殊な波長の電波を受信。
研究者の解析により、
文字表と一通の手紙であることが判明。
ハリマメッセージと呼ばれたこのコード。
世紀の大発見と各メディアも、
連日、大々的に地球外生命体を特集。
解明された宇宙語も、
教育番組でレギュラー放送。
文科省の指定校では、
宇宙語の教科を追加。
専門教員の採用も順次増員を表明。
ここは指定校。
1年B組教室。
「授業始めます。
日本で宇宙語を学ぶ初めての授業です。
何台か報道カメラが入ってますが、
緊張せずいきましょう。
では今日は簡単な挨拶から。
目次飛ばして4ページ開いて。
まず自己紹介してみようか。
じゃあ三浦。
自分の名前当てはめて読んでみて」
「はい。え~と…
オッチョ チョメチョメ ハヤト ミウラ」
「発音はいいぞ。
ただ宇宙語は、
最初と最後のアクセント上がります。
最初と最後の音量を上げる感じ、
オッ↑と、ラ↑の部分気をつけて」
「はい」
後ろの座席の男子生徒2人。
「おい…おいっ…」
「なに?…今、授業中…。
しかも全国放送だぞ…」
「そんなのどうでもいいよ…。
なあ、あれどう思う?」
「何が?」
「宇宙語だよ」
教師が別の生徒を指名する。
「じゃあ、次の頁を橋本」
「はい。
ゲジボーボースネハドコ」
再び男子生徒2人。
「正直言っていい?」
「いいよ」
「宇宙人来てないのに覚えるって、
意味あるのって感じ。
英語の方が有り難いんだけど」
「それな。
でも俺が気にしてるのは、
そこじゃないんだよ」
「何か気になんの?」
「俺のスーパー仮説、
聞いて貰っていい?」
「仮説?いいよ」
「宇宙人って
映画によく出てくるじゃん?」
「出てくるね」
「でも種類が2種類だけって知ってた?」
「2種類?
火星人とか金星人とかそういうの?」
「違う。
大きな分類で、
友好的か侵略者ってこと」
「あ~、言われてみれば、
どっちかしかいないね」
「今回のハリマコードも、
友好的な宇宙人からのギフトだろ?」
「そうだよね。
言葉の壁の開放。
惑星間情報交流って、
言われてたし」
「それはおめでたい奴らの考え方さ」
「違うの?」
「俺は最初、
初めてラブレーター貰った奴の
反応だと思ったよ」
「ん?よくわかんない」
「だからさ、
貰った奴が浮かれてて、
それがどんな人物か
見失ってるってこと」
「んん?」
「送り主は、
友好的でも侵略者でもないってことだよ」
「えっ?」
「これ送信した奴、
迷惑系…愉快犯だと思う」
「そ、そんな!」
「じゃあ、次の頁の
"最近運動不足だ"を大島読んでみて」
「はい。
デデンブヨヨンブヨヨンモチハラ」
「どう聞いても日本語だろ。
しかも言葉に悪意しか感じない。
これを送った張本人は、
きっとどこかで動画撮影してるか、
高笑いしてるぜ、きっと」
「うわ~、
これは国家レベルで恥ずい!」