実践!トロッコ問題!
前回はこちら。
トロッコ問題とは、
ある人物を助けるために、
誰かを犠牲にするのは、
許されるのかという、
倫理学の課題。
二手に分岐する線路を、
ブレーキの壊れたトロッコが走ってくる。
その先に左手には複数の人。
その右手には自分の大事な人。
分岐レバーの前にいる
あなたならどうする?
女性二人。
「この前のトロッコの話覚えてる?」
「何だっけ?
インディージョーンズの新作の話?」
「完全に忘れてる。
違うよ。
トロッコ問題ってひとりを助けるか、
大勢を助けるかの選択の話」
「あ~あれね。
私のあれで正解じゃないの?」
「トム・クルーズは反則でしょ?
それにその状況がまず再現不可能だし?」
「そう?
あの答えで納得してないの?」
「するわけないでしょ。
そもそも答えのない問題だから、
ずっとみんな、
答えを模索してるんじゃない」
「じゃあ私が納得できる答えを、
実践してあげる」
「実践?どうやって?」
「一週間後、予定空けといて」
「いいけど」
「じゃあ一週間後ね」
そして…
一週間後。
「これってまさか?!」
「そう。
トロッコ問題のシチュエーションを、
リアルに再現してみたよ」
「ええ~!
線路もレバーもある。
あれ?
あそこの線路に寝てる人って本物?」
「もちろんそうだよ。
大勢の人は会社の上司の人達」
「上司?!
そんな人にこんなことさせていいの?」
「大丈夫。
ちゃんとお金で解決してるから」
「何その怖い言い方。
え?じゃあ、あっちのひとりって…」
「もちろん、トム・クルーズ本人」
「それも本物?!
えっ?えっ?どうやったの?」
「ちゃんとお金で解決してるから」
「怖い怖い。
あんたんちお金持ちなの知ってたけど、
そこまでいくと怖い~」
「そして現在、
私はトムと付き合ってる」
「もうわけがわかんない~。
私はここに居ていいの?」
「だってトロッコ問題の答えを、
知りたいんでしょ?」
「確かにそう言ったけど…」
「机上の空論だからダメなのよ。
やはりこうやって実際やってみないと」
「え?!本当にやるの?!
危ないって!
もしものことがあるじゃない。
そこまでしなくてもいいって!」
「大丈夫だから、見てて。
凄いものが見れるから」
「だってトムが、
脱出に失敗するかもしれないじゃない。
あなたの恋人なんでしょ?
もしものことがあったら…」
「心配しないで。
それにもうトロッコは出発してる。
もうじき見えてくるはず」
「トロッコ来てるの?!
危ないよ!止めようよ!」
「私がレバーを引くから、見てて」
「レバーを引くの?
話が違うよ!
レバーを引かず、
トムの方にトロッコが行って、
何やかんやで間一髪トムが脱出して、
みんな助かるって答えだったよね?」
「違うわ。
今回はレバーを引くのが正解なの」
「止めて!
あなたの上司なんでしょ?
ま、まさか…あの人達、
あなたが嫌いな上司なの?
ね、そうなの?
それはいくらなんでもダメよ!
人道的に!
嫌いな人だからってそんなことしちゃ!」
「来た!!
もうあと50m!!」
「ダメ!!
上司の人達を犠牲にしちゃ!!」
分岐点に差し掛かるトロッコ。
そしてレバーを引くと、
鉄のレバーがゆっくり逆へと倒れる。
「ダメーーーーー!!!」
パカン
分岐点の手前の地面に、
巨大な四角い穴が現れ、
トロッコはその穴へと、
流れるように消えていった。
「へ?」
「どう?」
「これって…
……
野球盤の原理やないか~い!!」
「凄いでしょ?
これ全部、トムが造ったの」
「結局、今回もトムが解決!」