「君たちはどう生きるか展」の帰りに聴いた「地球儀」が忘れられない。
11月下旬、三鷹の森ジブリ美術館へ出かけた。
館内の企画展示にて、「君たちはどう生きるか展」が始まる。それは絶対に行きたい!とジブリ美術館の予約を取り、行けることになったのだ。
来年の5月まで、第一部「イメージボード編」が開催されている。
「映画って、本当に、この一枚の絵から生まれるんだ」というのを直に感じられて、私の中で、大きな刺激になった。
その一枚一枚の絵は、彼の思考の欠片でもあるようにも感じる。映画を観るたび、言語化しきれない"表現したい!"っていう創作意欲をひしひしと感じる。
スクリーンの奥には、途方もないほどの「一枚の紙の絵」の存在がある。その存在を、映画を通してそのエネルギーを思い切り味わえるからこそ、私は宮崎駿監督の作品に惹かれるのかもしれない。
ジブリ映画って、記憶の底を辿っても、いつの間にか私のそばにいる存在だ。なぜかわからなくても、惹かれる。
唯一無二の世界観に吸い込まれたり、魅力的なキャラたちに共感したりする。同時に、懐かしい故郷に帰ったり、友達や幼馴染に会えたかのような気持ちにもなる。
成長とともに新しい発見があって、何度も見たくなる。
そして、映画を見返すたび、大事な何かを思い出したかのように、「だから好きなんだよ!」と叫びたくなる。
この日、帰りの電車で、米津玄師さんの「地球儀」を聴きたくなった。
飽きるほど聞きたいというよりも、たまに無性に聴きたくなる。そしてその一回で、心の奥まで、グーッと染み込んでくれる、良い曲だ。
ジブリ美術館の帰り、帰宅した後も、地球儀を聴きながら、しばらく映画の余韻に浸っていた。
この曲を聴いていると、私の中でうまく言語化できないなにかを、この曲が受け止めてくれるような気持ちになる。
ピアノとバグパイプで始まるイントロ。飾らず、脆く、だけど何か、確かなものを感じる音。
サビになってパーカッションが入ると、胸の奥で鼓動がばくばくと鳴る音を聞いているみたいだ。
柔らかく伸びやかな歌声で紡がれる歌詞。その一つ一つの言葉が素直で、優しく、私の中にすとんと入ってくる。
初めてこの楽曲を聴いたのは、映画館でもYouTubeでもなく、実は横浜アリーナだった。
今年7月上旬、米津玄師さんのライブ「空想」へ行った。その際、アンコールで披露されたのが「地球儀」だったのだ。
映画の情報が公開される前だったので、純粋に「新曲だ〜!」という気持ちで、二階席から聴き浸っていた。
その次に聴いたのは、映画館だった。
7月中旬、映画公開されて、私はすぐに映画館へ出かけた。新作映画を観るために映画館へ足を運ぶことは、サブスクで配信される映画では味わえない醍醐味だろう。
ふかふかしたブルーのクッションに座ると、目の前には大きな映画館のスクリーン。映画のメッセージをたっぷりと吸い込んだ後、エンディングが流れる。
まだ余韻の中にいる私に、そっと寄り添ってくれた。
横アリのライブで聴いた、アンコールの新曲。映画館へ足を運んで鑑賞した新作のジブリ映画。ジブリ美術館の展示を観に出かけた、帰りの電車。
気づけば、あっという間に半年が過ぎているけれど、この半年を、この曲とともに歩いてきたようにも感じる。