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【ファザコン2.0】親父、クソじじい、お父さん。
後悔しない親孝行って、あるんだろうか。
介護が身近になって数年。私の携帯は、1分で10回以上鳴ることがある。近い記憶から消滅。何度も何度も同じことを伝えて。ひと呼吸おいて、また伝える。優しい言葉を掛けても、大好物のロールケーキを送っても、何をしても、これでいいのか、本当に分からない。
志村けんの予習効果
志村けんの「だいじょうぶだあ」には、たくさんのコントがある。中でも、ひとみばあさんや、孫いっぱいの爺さんキャラクターは「まさに!」で、驚きが隠せない。
「ようこさんよう、飯はまだかえ?」
「ボケにしないでよーじゃかじゃん」
孫の名前を呼ぶ「明菜、今日子、静香、南野、浅香唯は?(そんな名前の孫いない)」
子供の頃は、「んなこと、ありえないでしょwww 」と思いながら大爆笑してた。でも今は、これが現実なんだから面白い。全然ひいたりしない。むしろ「クスっ」と笑える。明らかに、予習効果である。志村けん、ありがとう。
思春期のワダカマリ
九州男児は気性が荒い(←もちろん全員じゃない)というし、仕方がないのか。リモコンが飛ぶ、箸が飛ぶ、とにかく家の中をいろんなものが飛びまくる。体も声も大きい親父を怒らせたら大変なことになる。反発したらどうなるか、なんて知ってるけど、ムリ。思春期だもん。言いたいこと抑えるなんてできない。結局5倍くらいの勢いでやり返されて、ボッコボコになる。泣いて泣いて、枕を殴って、悔し泣き。晴れない気持ちは、写真をビリビリに破って切り裂いて解消した。
「この人の世話にならなくても生きていける自立した人間になる」
「歳とったときにゃ、覚えとけ。くそじじい」
人に従順になれない性格や、自立への異常なこだわりは、この原体験にある。
親子の不思議
結婚式の日、ワダカマリは雪解けする。当日の朝まで、バージンロード歩くとか、マジで嫌だなあと思ってた。でも、いざ、同じ歩幅・同じ方向に歩いてみて「あれ?こんなにヨレヨレだったっけ」と。親父と組んでいた腕を新郎に渡すとき、小さなため息をついてた。後ろ姿が寂しそうに見えた。
ああ、私は長い間、親父像を更新してなかったんだ、と思った。式も終盤、手紙を渡すシーンのこと。記憶にないから、赤ちゃんぶりかもしれない。久しぶりにぎゅっと抱き合った。なんとなく耳元で「ありがとう」て伝えたら、グッと息を止めるのを感じて。
その瞬間に、全部消えたんだよ。恨みも怒りも悲しみも、やるせなさも、必要なくなった。溶けて全部なくなったのだから不思議なもんだ。
ちゃんと聴いてくれよ
雪解けも束の間、すぐに介護が必要な状況になった。今は、担当医、ヘルパー、ケアマネ、ケースワーカー、区役所、宅食配達の方、など、強力なサポーターの存在に助けられて、なんとか命をつないでいる。いつ、どうなってもおかしくない状況だから、毎日生きた気がしない。着信画面は、いつも怖い。
そんな状況下でも、父の主張は決まってこれ。
「俺の言葉をちゃんと聴いてくれよ。勝手に判断しないでくれよ。」
歯の間からスースー空気をもらしながら、細い声で伝えてくる。
日々の体調によって対応が変わるから「あーしたほうがいい。こうしたほうがいい。」の提案が、サポートチームから頻繁に出る。その度に、良かれと思ってみんなで試してみるんだけど、これが裏目に出ることも多い。私たちは一生懸命やっていても、本人にとっては、ありがた迷惑だったりするから難しい。
そんな時に思い出すのは、このムービー。トヨタ宣伝部時代に、隣の席に座ってた先輩が制作していたもの。当時から、ちょくちょく見ては、普通に感動していたんだけど。今見ると、なんとも言えなさが増してる。浸透する深さが違うっていうか。とにかくリアリティが違う。
人の真意なんて、どこまでいっても、わからないもの。人の気持ちを他人が理解しようと思うこと自体が、おこがましいくらいだ。
でも、この動画のように、互いに心を開き、全身で感じ取ろうとしたら。なんだか、かなり深いところで、何かが重なり合っているように見える。普段なら、わかりようもない感情が、不思議と伝わってしまうことってあるんだと思う。分かち合い、ってこういうことなのかもしれない。
まっすぐ聴く、まっすぐ伝える。
なぜ、あんなに頭ごなしに
「ダメだ、こうすべきだ」
と怒られ続けたのか、ようやくわかった。
その理由を、今、1つ1つゆっくり教えてくれるから。というか、私が1つ1つ丁寧に聴いているからだ。
その言葉、言ってみてどんな気持ちになる?
どうして、そう思うようになったの?
そっか。心を痛めることがあったんだね。
家族に、同じような思いをして欲しくない、って思ったんだね。
こういう対話ができるようになった。年齢のせいもあるかもしれないけど、人と「まっすぐ話す」ということを職にしているのも大きい。
拗れた糸を紐解くように、大切な対話ができてるということを、しみじみ噛み締めている。
「後悔しない親孝行」なんてあるのか。あるなら、それは何なのか。今は全くわからない。きっと、その時にしかわからないんだろう。でも、なんとなく「まっすぐの交換」が大切なんだな、と思う。
自分の心にまっすぐ生きていないと、人の心にまっすぐ向き合えないから。
だから私は今日も、明日も、まっすぐ生きようと思う。
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今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました!
命がきらめく、唯一無二のシゴトを。
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大薗 史奈 (おおぞのふみな)
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