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天気と慢性疼痛のつながり

アレルギーとたたかう理学療法士
及川文宏 より


今回は、気象と慢性疼痛の関係性について自律神経の関わりも含めて述べられている文献の紹介とそれに対する私見をお伝えしたいと思います。


とても分かりやすくまとまっている文献なので是非ご一読ください。
Mechanism of weather–related pain Jun Sato
Department of Physical Therapy, College of Life and Health Sciences, Chubu University Multidisciplinary Pain Center, Aichi Medical University


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気圧低下と疼痛増強

この文献では、坐骨神経を障害したラットが気圧を低下させた環境下で、どのような行動(疼痛行動など)を示すかどうかを観察しています。

結論からお伝えすると

【 気圧を 27〜40hPa 減圧させると,疼痛行動が増強した 】とのことです。

健常ラットにおいて、気圧の低下は血圧と心拍数を上昇させる事がわかっています。加えて,健常動物の血中ノルアドレナリンの量も気圧を低下させた際に上昇することもわかっています。

気圧変化はラットの交感神経を緊張させるストレス刺激であるといえます。

さらに,腰部交感神経の除去手術を施した坐骨神経損傷ラットは気圧を低下させても,疼痛行動が増強しなかったとのことです。

したがって

気圧低下による疼痛増悪のメカニズムには自律神経、特に交感神経の緊張が関係していることが強く示唆される

と述べています。


気圧を検知する内耳

気圧を検知する場所については、内耳にある可能性が高く、症状を持つ方は健康な方と比べて気圧の検知が敏感になっていることも述べられています。

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ー私見ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
自律神経のトラブルを持つ方の中で、頭痛やめまいといった症状を持つ方が多いですね。『内耳よる気圧の検知が敏感になっている』この部分を読んだ時、患者さんのいろんな症状を理解することができました。

自律神経が乱れている人において、気圧、気温、光、香り、圧力など、身体に加わる刺激に対して敏感になっている方が圧倒的に多いと感じます。元気な方が、気にならない程度の変化や身体状況を敏感に感じ取り、症状に結びつくことが多いですよね。健康な方には理解できない事が多く、周りの人からは精神面の問題と片付けられてしまうことが多くなりがちですね。症状だけでも辛い状況にも関わらず、自分の症状を理解してもらえない辛さも加わってしまうんですよね。

身体的な問題と精神的な問題とをはっきりと線引きすることが難しい場合も多いですが、この文献で述べられているように研究で分かってきていることをしっかりと知識として自分の頭の中に入れて、日々、患者さんやご家族と関わっていく必要がありますね。
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文献では、気温の変化と慢性痛の関係性についても述べられています。

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気温の変化と慢性痛の関係性

・環境温度を人工的に 22°C → 15°Cまで下げたところ疼痛行動が増えた

・交感神経を切除した坐骨神経損傷ラットにおいても、気温を低下させたら交感神経を温存した場合と同じく疼痛行動が増えた
 ➡️ 交感神経を除去しても、気温低下による疼痛増強を抑制できなかった
 ➡️ この反応に交感神経が必ずしも必要ではない

これらの結果から

慢性痛を増強させる2つの流れ

①環境温度の低下 → 交感神経を刺激 → 痛みの増強

②環境温度の低下 → 皮膚の冷覚受容器の活性化 → 痛みの増強

この二つが慢性痛を増強する流れの主役だと述べられています。


ー私見ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
気圧・気温における変化を感じとる「感覚器の過敏性」「自律神経の過剰反応」の二つが慢性痛と関わっていそうですね。

自律神経のトラブルを持つ方の症状の改善には、この二つのキーワードをもとに評価と介入を組み立てていく必要がありますね。

①症状の引き金(トリガー)となっているのは何か?
②引き金を検知する感覚器はどこか?
③感覚器からの情報を受け取る脳の部位はどこか?
④脳からの指令で症状を出してしまっている神経やホルモンなどの伝達経路はどこか?
⑤症状を出してしまっている効果器はどこか?

この5つの流れから症状を評価してみるとセラピストがどこに介入できそうかが見えてきそうですよね🍀
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最後まで読んでいただきありがとうございました。


アレルギーとたたかう理学療法士
及川文宏
より
日本アレルギーリハビリテーション協会
アレルコア
福のしま研究会
 YouTube(アレリハちゃんねる)noteでは、アレルギー疾患や自律神経に対する理学療法についてお伝えしています。

アレルギーや自律神経に対するリハビリテーションの講習会情報につきましては、以下のHPをご覧ください。

無料のLINEチャットでは、自律神経についての情報発信をしています。
LINEオープンチャット「自律神経の知識箱🎁」


【今後の研修会予定】

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自律神経セラピストBasicコース
【アーカイブ配信全9講座】

全9回講座(90分 × 9回)
①-1「概論:自律神経の解剖生理学」
①-2「自律神経を変化させる要因」
①-3「ストレスと自律神経」
動画公開期間:
2023年11月23日〜2024年 1月8日

②-1「血流(血管)と自律神経」
②-2「内臓と自律神経」
②-3「睡眠と自律神経」
動画公開期間:
2024年1月17日〜2024年 3月3日

③-1「神経・筋膜の機能解剖」
③-2「排便の運動学」
③-3「便秘の原因」
動画公開期間:
2024年3月13日〜2024年4月28日

※自律神経セラピストBasicコースの概要や講座の内容につきましては、こちらからご確認ください。

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『エビデンスに基づいた身体と心の結びつき』

アーカイブ配信:2024年1月15〜25日
講師:理学療法士 及川 文宏
    看護師  栁沼 愛
内容:自律神経、免疫、心のつながりについて、エビデンスを含め、理学療法士と看護師がそれぞれの視点で紐解きます。
・人と向き合う上で大切にするべき価値観やスキルについて
・患者さんの本来の生命力を引き出すための関わり方
・ヒトの本質の理解の大切さ
・「病気と健康」の理解に関する異なる視点

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『栄養とリハビリテーションのつながり』

〜参加者の素朴な疑問を解決する座談会〜
日時 2月6日(火) 20:00~21:00
会場 zoom
講師 管理栄養士 和田 宵湖
参加費 500円
内容 「栄養とリハビリのつながり」について、栄養士とリハビリ職種の間の疑問点や誤解を解消するための座談会となります。患者さんの回復過程を理解する上で知っておくべきポイントをお伝えします。
・参加者からのご質問に管理栄養士の和田先生がお答えする
・「栄養とリハビリテーション」における参加者の悩みの共有と対策の相談
・参加者同士の情報共有

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『睡眠障害の予防と改善に向けた理学療法』

日時 2月28日(水) 20:00〜21:30
場所 zoom(後日アーカイブ配信あり)
講師 理学療法士 及川文宏
 一般社団法人日本アレルギーリハビリテーション協会  
内容 
・睡眠障害、睡眠負債とは
・睡眠不足になるとどうなる?
・肥満と睡眠不足
・コルチゾールとメラトニンの役割
・熟睡のための5つのコツ
・睡眠障害者の身体的特徴
・睡眠障害者の評価ポイント
・熟睡できる身体、姿勢分析

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『自律神経障害の病態メカニズムとリハビリテーション 』

日 時:3月13日 (水) 20:00~21:30
場 所:ZOOM(後日アーカイブ視聴あり)
講 師:京都橘大学 健康科学部 理学療法学科
    助教 重藤 隼人 先生

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