ブログに悩んでいる人に贈りたい【#うちの積読を紹介する】
1冊読み終わった勢いで、このnoteを書いている。
文章で注目されたいとか、もっとリアクションが欲しいとか、書くことに悩んでいるあなたに、この本をぜひ読んでほしい!
朱野帰子・著『会社を綴る人』
実はこの本、ずっと積読になっていたんです。
ホントは、あらすじの「『文章を書くこと』で社内で起こる小さな事件を解決していく」ってところにひかれて購入したんですけど。
いざ読みはじめると、主人公のポンコツぶりがツラ過ぎて…。
いや、ひどくないですか?
うちの職場にいたら、イライラしそう。
とにかく、主人公・紙屋(仮)くんのダメサラリーマンっぷりにすっかり辟易して、ずっと読まずにいたんです。
でも最近、書けないなーとか、そもそもなんで書いているんだっけ?と思う内に、この本の存在を思い出しました。
主人公は前述のとおり、何をやらせても失敗ばかりのポンコツサラリーマン。
育ちはいいのに、いつもあたふたしている彼は、最近、老舗の製粉会社の総務に配属された。
自他共に認めるドジな彼。
でも彼には、ひとつだけ取り柄があったのです!
それは、書く才能。
彼の書く力は、社内の人の心をちょっとずつ動かしていく。そうこうしていく内に、いつしか会社に激震がーてなお話。
その彼と対比して登場するのが、同僚の榮倉さん(仮)。
仕事ができる美人さんで、外面はいいけど、実は自分の匿名ブログで職場の出来事について毒を吐きまくって、ウサを晴らしている。
紙屋くんはひょんなことから、彼女の毒吐きブログを見つけてしまう。
当然、彼女は自分のことを罵倒していて―。
もしも職場で当たり障りなく接してくれる同僚が、実は陰で自分のことをこきおろしていたら…。
普通、距離を置きますよね?
私だったら、絶対近づかない!
だって怖いもん。
でも紙屋くんは違う。
彼は活字中毒がゆえに読むんです。
書かれているのが自分のことだとわかっていて、本人に読んだ感想を伝え、ブログの愛読者になってしまう。
怖いもの見たさなんだろうけど。
たとえ自らをこきおろされようとも、読み物として面白ければ評価する。面白くなければ「面白くない」と言いきる、的確な読者なんです。
どうしたら読者に読んでもらえるか。
紙屋くんも榮倉さんも考えていることは同じ。
相手の立場に立って、とことん考える紙屋くん。
読まれる方法、ウケがいいタイトルを常に考え続けている榮倉さん。
決して榮倉さんのやり方が悪いワケではないけれど。
人は紙屋くんの言葉の力で動く。
もうね。読んでいて、榮倉さんに放つ紙屋くんの一言が、グサグサ刺さるんです。
だって、褒められたい!誰かに認められたい!
それでいて身バレしたくない、傷つきたくないって榮倉さんは、自分の姿そのものなんですもの。
だからこの話は、紙屋くんの成長を描いているけど、榮倉さんの物語でもある。
ブログには一定数の読者がいて、「私、ちょっと書けるのよ」って思っていた彼女は、使えないと見下していた紙屋くんに、気づかされることになる。
なんで書くのか。誰に対して書くのか。
読者にも問いかける作品となっています。
後半になって、なんで主人公をここまでポンコツ設定にしたのか気づいた時、うわっ!って衝撃を受けました。そういうことだったのか!って。
彼の不器用な生き方が、誰かを変える。
お仕事小説としても、楽しめます。
気になる方は、ぜひ手に取ってほしい作品です!