KUROGIN|広島県①
和風。といったらどんな言葉を連想しますか?僕は「粋」とか「雅」とか日本古来の文化に根付いたそういう雰囲気を思うことが多いです。
四季を楽しみ、自然と一体感を得る、そんな風情を最近はなかなか感じられていないなぁとしみじみ。こんにちは。日常に余白が欲すぃFUKUNARYの田村です(笑)
さてさて、前回の記事に続いて8年前の2014年。残布で自由にをテーマにしたTHE NPU企画から路線変更、自社ブランドをすすめはじめていたそんな頃。当社のことを知った僕は、この縫製工場に勤める意欲が生まれはじめてた、今回はそんな頃のお話です。
ひろしま素材 × ひろしま縫製。そんなコンセプトになっていくTHE NPUからFUKUNARYへの入口。当縫製工場が自社ブランドを立ち上げるに際し、素材に注目していくきっかけになった金襴緞子KUROGINについて書いてみようと思います。
展示会場で出会うご縁から
和風で雅な柄だなあと感じたファーストインスピレーション。手に取ったこの生地の名前は「金襴緞子」という聞きなれない言葉。
THE NPU企画での展示会を重ねていたある日、素敵な出会いがありました。広島でスミアートをテーマに様々なアートワークで活躍されている川原信子さん。その出会いをきっかけにご紹介いただいた生地こそ、この度の主役の「広島産の金襴緞子織りの技法(引き箔織り)を使った生地」です。
この素材の端切れを当社に持ち込んでくれたところからFUKUNARYの素材ストーリーは始まります。
【金襴緞子】検索してみると以下の記述が。
花嫁を飾る着物の帯として広く使われていた時代があります。現在はそういった役目が少なくなり掛け軸や額縁など美術品を引き立てる表装に使われている高級織物。
昔話の桃太郎でも「お宝」として金襴の織物が描かれています。現在の活躍の場は、掛け軸に使われる表装裂地や和雑貨、雛人形に使ったりと多岐に渡っています。
僕も思い出してみれば、子どものころの里帰り田舎の仏間にあったお線香の香りがする座布団が、まさにこの素材だった気がします。
中村金襴工場@福山
この織物。産地としては京都・山梨が有名ですが、こちらは中国地方で唯一金襴を製造している会社で、1927年創業 広島は東部に位置する福山市神辺に所在する中村金襴工場が生産。
他社が真似できない独自の技術で金襴を作り続ける中村金襴工場。昔ながらの技術に当時のテクノロジーを活かし、自動織機(糸をセットしたら機械が編み上げてくれる機械)を全国でもいち早く導入。業界で初めて独自開発して作った金襴の自動製造機があります。
工場におじゃまして見学させていただいたこともあるのですが、何かの儀式ですか?!っていうくらい空中からたくさんの糸筒から出た糸たちが一か所に集約されていってて、大きな音を立てながら生地が織られて出てくる。みたことないそんな景色は圧巻でした。
こうしてこれまで手織りでコツコツ作っていた和生地の製造。デリケートなシルク糸を切ることなく反物を織っていく自動化ができ、高級生地の品質を下げることなく安価にお届けすることが可能となりました。
また自動化とは言っても情報システム的なデジタル部分はデザインの方向だけで、実際に織っていく機械については歯車と鉄骨で組まれた大きなアナログ機。
量産に欠かせないこちらの織機のメンテナンスについても、日々研鑽を重ねられていて。機械工学の知識と経験が必須で、こういった点も工場で使う道具に対しての向き合い方にとても似ていて深く感銘を覚えました。
こうして出逢った生地を
ご縁でつながった新しい素材。点と点が結ばれていく福山は神辺町~当社。お互いのできることをリスペクトしながら、この「金襴緞子」という素材がどう活かされ、FUKUNARYシリーズに仕上がっていくのか。次回の記事でその点をまとめて参ります◎
というわけで
よりブランドへ親しみを持って頂けますように。
引き続き更新をお楽しみに!
広島出身、クリエイティブな活動が好き。FUKUNARYの創生から係わっています。作ることが好きで自宅アトリエにて彫金創作も行っています。その他、縫製、音楽、お絵かき、他には言葉を紡いだり。たくさんの学びを経て、やりたいことを素直に。全ての手仕事に尊敬をこめて。
Twitter >> @fukunary
Instagram >> @fukunary
WEB SHOP >> FUKUNARY
FUKUNARY feat. MIKASA
9.KUROGIN|広島県①