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朝のことごと

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思想断片集
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#文芸

朝のことごと 4

朝のことごと 4

 名前のつかない料理はない。例えそれがどれほど美味であっても、名前がなければ褒めようがないし、再び作ることも誂えさせることも叶わない。
 省みれば、我々の生活というやつは、周りをどれほどの言葉に囲まれ、成立しているのか。まるでまとまりのつかない、下手な文章のなかに溺れながら、暮しているようなものではないか。椅子、机、トンボ鉛筆、ウコッケイ、バレッタ、ボックスステップ、K2、桐花大綬章。世は、既に饒

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朝のことごと 3

朝のことごと 3

 世界が我々の目に見えぬものであると説いたのは、仏陀であり荘子であった。 
 仏陀は、修行を覚悟したとき、一国の王子という地位を捨てて、旅に出た。城門を出でて、生老病死の四苦に出会ったとされる。ただ見るだけではない、世界を、何かしらの手触りをもって、確信したらしい。
 荘子は、世界は混沌としていると言った。世の中には、言葉にならぬものがあると。言葉にならないから、世界は混沌としているのだろう。確か

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