South and North
一昨日こちらをみました。
BSプレミアムで放送されていた
アナザーストーリーズの
「愛の不時着」特集でした。
その内容は
(ネタバレがありますのでご注意下さい)
2020年2月16日に
あのトッケビをも超えた
視聴率21.7%という数字で
最終回を終えた韓国ドラマ
「愛の不時着」
2月23日にNetflixで
世界同時配信をされました。
パラグライダー事故で北朝鮮に不時着してしまった、韓国の財閥令嬢ユンセリと北朝鮮将校リ・ジョンヒョクの極秘機密の禁断の愛の物語。世界中がこのドラマに熱狂した。特に日本では2020年の流行語大賞にノミネートされた。
国境を越えて社会現象となった愛の不時着の知られざる秘密を、主演俳優ソン・イェジンと監督のイ・ジョンヒョ、北朝鮮の人々の3つの視点から迫った。
視点1 主演俳優:ソン・イェジン
『国は違っても愛は愛』
「このドラマは韓国以上に海外の方が愛してくれました。これまで出した作品より別格」韓国と北朝鮮の特殊な関係への好奇心がとっかかりだったが、観ていくうちに誰にでも通じる愛の物語。まるでロミオとジュリエットのような悲しくも美しいラブストーリー。
「国は違うけれど愛は同じ。だから世界の人に愛されたのでしょうね。」
そんな彼女は脚本を貰った瞬間、なんとも荒唐無稽、奇抜なアイディアに驚きながらも、それに感動し「やらない理由がなかった」と2つ返事でオファーを引き受けたそうです。
まず韓国の俳優が
北朝鮮の人を演じるのが大変!
劇中、北朝鮮の兵隊の中でも
特に愛国心の強かった
ピョ・チス役を演じた
俳優ヤン・ギョンウォンさん。
撮影前の1ヶ月半
脱北者の先生に
みっちり特訓して貰ったそう。
移動中も録音した音声を聴き
「身体は韓国にいても耳は北朝鮮に飛ばしていた」
制作にあたり脱北者13人を諮問委員会を作り俳優たちには、話し方、発音、歩き方まで徹底に特訓された。ヤン・ギョンウォンさんは他にも、韓国は兵役が2年なのに北朝鮮は10年もあり、戦友の絆も強いと聞き、演じたチスは、視野の狭い軍人ではなく「軍人としての責任感、国に対する誇りは人一倍強い」と考え、セリが語る韓国の文化に対しても「羨ましい」ではなく「拒否感」を感じるだろうと考えて、セリに食ってかかったという。ドラマの終盤、韓国に侵入した時でさえも拒否感を示したが、セリと時を過ごすにつれて親近感へと変化していった。ヤン氏は両国の分断を強調し過ぎるのにも気をつけ、「わからないと先入観を持ってしまうが、国は違っても人は同じ。違いは見せても、共感出来るところはしっかり演じる」と、いうところに配慮したそうです。
本作を2回観たという
ノンフィクション作家
キム・ジュソク氏は
「これまでにも北を素材としたコンテンツは結構あったが、その殆どが現実離れしたり、南北の戦いが殆どがだったが、今回は人間味のあった作品だったと、その魅力を語る。
その人間味を
最も色濃く示したのは
セリとジョンヒョクの
愛のドラマ。
台本を何度も読んで、イェジンさんがそのカギを見つけたのは、第4話ラスト、セリが市場で迷子になった時に、ジョンヒョクがキャンドルを掲げて探しに来るシーン。セリがジョンヒョクを好きになった瞬間。
このシーンをピークにするために、イェジンさんは、前半を逆算したそう。「強気な人物。誰にも頼らない。超ポジティブマインド。どうしようもない状況になった時、ジョンヒョクが自分を助ける姿を見て、本当の愛を知った」と、恋に落ちた瞬間を教えてくれました。
最終話。
ジョンヒョクが韓国に潜入し、
北朝鮮に強制送還されるシーン。
「撮影中、胸が痛く、どう演じたらこの気持ちが伝わるか」悩みに悩んだそう。
撃たれる危険を省みず、愛のために禁断線をまたぐ。その画面で固く握ったセリの手が、スローで離れる名シーンがありますが、これは台本にはなかったそうです。
ジョンヒョクを愛するセリになりきった俳優イェジンさんの心が自然にそうさせたのです。
2020年
コロナ禍真っただ中
世界に向けて配信された
「愛の不時着」
分断を越えた愛の物語は
先の見えないパンデミック
分断に苦しむ人々に
強い共感を呼びました。
イェジンさんが最も共感し
好きだというのが
劇中何度か出てくる
インドのことわざ。
「間違った列車がときには目的地に運ぶ」
「あなたには思い通りにいかなくてても将来を考えてみて。あなたには幸せでいてほしい。どんな列車に乗っても必ず目的地に着いて欲しい」
ジョンヒョクを元気づけた言葉。
視点2
北朝鮮をどう描くか?
監督:イ・ジョンヒョ
脚本を読み
そのぶっ飛んだ設定に戸惑い、
脚本家パク・ジウン氏に会いに渡米。
当時の南北関係は微妙な時期。
このテーマを扱うには
センシティブで
作家に覚悟を確かめに行きます。
「70年代の農村を舞台にしたような、素朴で暖かい、普通の人を描くドラマにしたい」
作家の言葉で
方向性を見つけました。
ロケーションに苦労
物語の大半が
北朝鮮で進むので前途多難。
最初は軍事境界線だけだったので
韓国で撮れると思ったそう。
実際には平壌でのシーンが多く、北朝鮮の建物が独特で、どこにもふさわしい場所がありませんでした。
いっそのこと
平壌で撮影が出来るかとも
探りますが不可能。
撮影前から難題山積。
諮問委員会に綿密なヒアリングを行い、北朝鮮のスローガンでも、政治的なものだけでなく、奉仕の心という面白いものがあると聞き、温かいイメージでリアルを追求しました。しかし素朴な雰囲気の場所は結局見つからず、舎宅村は全てセットで撮影。
その村の人民班長
ウォルスクを演じた
キム・ソニョンさん。
「何もなかった山の上に、北朝鮮の村を作って、ドラマに映らないところまで細かく作ってあり、タイムトリップしたみたいだった」
と当時を振り返ります。
また、監督は
「私が全体を見る人だとしたら、深さを作るのは俳優」
セリが村を去ったあと
自分は韓国から来たと
打ち明けるセリの置き手紙を
村の人々が読むシーン。
監督は始め
コミカルにしようと思いましたが
人民班長が泣き出してつられ、
切ないシーンになりました。
そんな苦労もし
莫大な予算と時間をかけた
ドラマが初回の視聴率は6.1%。
制作サイドは
さぞやショックだと思いきや
【TV試聴率は度外視】
だったそう。
最初からサブスクリプションによる世界配信を見越して作られていました。
制作会社スタジオドラゴンサイド
「韓国ドラマの最高の才能を投入し、必然なだけ資金を注ぐ。そうすればヒットは確実。ヒット作は資金をもたらし、それが次のヒットを生む。世界配信の時もプラットフォーム先の言いなりではなく、こちらでテーマと予算を握らないと自由に作れない。
配信Netflixサイド
「愛の不時着」は、かつての韓流ブームとは違う。国や文化を越えて愛されるのが質の良いコンテンツである。それが私たちの信念。「愛の不時着」はその証です。(BTSのヒットがその良い例)
この後
最大のネタバレがありますが
長くなりましたので
明日に続きます。