和紙いろいろその1 和紙の強さのお話
和紙って実はめちゃくちゃ強靭なんです!
とお伝えすると、よく驚かれます。
日常の中で、本物の和紙の強さに触れる機会はなかなかないので、小学校の書道で使っていた破れやすい半紙が和紙、というイメージの方が多いのは、仕方のないことなのかもしれません。
ですが、和紙が使われている古い書物や美術品は、日本のジメジメした気候の中でも、かなり良い状態で現代まで保存されています。こういった日本の歴史的資料が残っているのは、和紙の強靭さによるところが大きいのです。
和紙の材料と強度
日本の古くからの製法で作られる和紙の多くは、楮や三椏、雁皮などの樹皮から採れる、細く長い繊維を絡まり合わせることで作られています。繊維が密接に絡み合っているので、水につけたり、引っ張ったりしても簡単には破れません。
一方、私たちが日々使っている紙(洋紙とも言われます)の多くは、パルプから作られています。パルプは植物の繊維を粉砕し、時には粉砕した繊維を薬剤で煮て、ペースト状にしてから紙に加工されています。そのため、繊維はとても短くなっており、薄い紙は水に濡れたり引っ張ったりするとすぐに破れてしまいますし、厚い紙でも何度も書くと表面がボロボロになったりしてしまいます。
近年日本で売られている多くの『和紙』と呼ばれる商品には、楮などにパルプを混ぜているものも多いです。しかし、パルプを混ぜてしまうと、和紙の強靭さを出す繊維同士の絡まりが少なくなるので、破れやすく、弱い紙になってしまうのです。
実際に破ってみました
こちらの動画で、実際に半紙、パルプ入りの機械漉き和紙、国産楮100パーセントの手漉き和紙を破って強さを検証してみました。
半紙が破れやすいのは予測できたのですが、太めの繊維が入った雲龍紙でも、パルプが入ると強度が下がり、破れやすくなることがわかりました。
国産材100パーセントの手漉き和紙は強い!
国産材100パーセントの手漉き和紙は、破れにくいことに加え、水につけても表面がボロボロになりにくいという特性があります。そのため、耐水性が求められる場面では、パルプの入っていない和紙が使われることが多いです。例えば、雅楽で使われる篳篥(ひちりき)の吹き口のリード部分、歌舞伎の三味線のバチの滑り止め(歌舞伎の三味線は血が出るほど演奏が激しいのです)、茶摘みのカゴの内側のカバーなどが挙げられます。美術の世界だけでなく、日本の伝統文化のさまざまなシーンで、国産材100パーセントの手漉き和紙は活躍しています。
パルプ入りの和紙は絶対ダメなの?
と言われると、そうではありません。ちぎり絵に使う和紙など、ある程度破れやすさが必要な紙もありますし、用途によって合う素材、合わない素材があるので、お好きな和紙を使っていただくのが一番です。
しかし、もし、和紙に絵を描いてみたけれど、重ね塗りをしたら破れてしまった…などなど、和紙の強度でお困りの方は、お使いの紙にパルプがたくさん入っているのかもしれません。
和紙は、素材、製法等本当に様々あり、知れば知るほど奥の深い世界です。和紙の強度や用途についてお悩みの方は、是非一度ご相談くださいね!
丸山雄進堂
大阪市中央区島之内2−6−23
06−6211-6226
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?