喉元過ぎれば、咳も忘れる。
#20230719-171
2023年7月19日(水)
・・・・・・ゲホッガホガホガホ、ゲホッゲホッ。
だれが悲しくて、ノコ(娘小4)と同じ咳をしたいと願ったか。
ヒューヒューと空気を求めて喉が鳴るが、鼻が詰まっているので足りた感じがしない。
「やだ、ママ、マスクしてよ」
ノコが冷たい目で私を見やる。
だーかーらー、もうしてるって。
だれだよ。私がいくら「マスクしてください」といっても「イヤです。しません」っていった人間は!(※ 「怒り」のもとを見つめる暇が欲しい。)
むーくん(夫)が休日なので、ノコのお世話は丸投げしているが、髪結いだけはできない。ノコの登校前にベッドを這い出て、苦しい呼吸をこらえてノコの髪の毛を結っている。
「息かけないでよ、ママ。うつるし」
本当にどの口がいう、どの口が!
喋るとまた咳が出そうなので、私は心のなかで悪態をついた。
小学校の夏休みも間近。
家族全員ほぼ同時期に感染すれば看病する人がいなくてツライし、時期がズレても夏休みのために立てた計画が叶わなくなり厄介だ。ノコ1人だけで済めば、まだよかったのに、と思ってしまう。
目下無事なむーくんには、とにかく睡眠が大事、免疫力を高めて健康第一と口うるさくいっているのに、寝やしない。ノコが眠った後はTVやゲーム三昧だ。
そりゃあ、日中ノコの相手をしていると、ノコの就寝後の時間は貴重だが、今は自分の健康維持を最優先してほしい。
このところ「モリー先生との火曜日」という本を読んでいる。
カバーのそでに書いてあるあらすじをそのまま引用する。
ALSは手足や呼吸に必要な筋肉が少しずつ衰える病だという。だが、筋肉の病気ではなく、神経ーー脳から手足などへの「動かせ」という命令が伝わらなくなることによって、筋肉を動かせなくなり、結果筋肉が痩せてしまうらしい。
体は動かなくなる一方で、視力や聴力、体の感覚、内臓の機能は維持される。
この本ではALSを「精神は完全に目ざめたまま、ぐにゃぐにゃの外皮の中に閉じこめられている」と書いている。
モリー先生の症状がページをめくるにつれ、重くなっていく。
まずは足が動かなくなり、手をだんだん高く上げられなくなる。呼吸はどんどん苦しくなり、咳込むとなかなか止まらない。
激しい咳の発作の後、死の間際にあっても生きることを諦めないモリー先生がいう。
ここ数日、あまりにも頻繁に咳をするため、胸あたりが痛い。腹筋と背筋を酷使しているのだろう。
鼻も詰まっているので、酸素が足りない。咳込むと横になっているのが辛く、ベッドの上に座る。呼吸が少しでも楽な姿勢を探してしまう。
息苦しいことがこんなにしんどいとは!
モリー先生が咳き込む度に、私も酸素を求めてあえいでしまう。
喘息持ちの人は発作に脅え、常に不安なのかもしれない。街中で鼻にチューブをつけて酸素らしきものを引いている人を見かける。事情はわからないが、自分の体以外の力を借りなければ呼吸できないなんて、どんなに心細いことだろう。
そんなことを風邪ひとつ引いたことで強く感じる。
現金なもので、元気になればすぐ遠いことになりそうだ。
だから、書く。
少なくとも今はわかる。
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