見出し画像

技術指導から、感性支援へ。幼稚園絵画指導の大改革記⑦ -作品展の振り返り-

藤枝順心高等学校附属幼稚園での、2年間にわたる絵画指導大改革。
下記記事から、数話にわたって書いています。

藤枝順心高等学校附属幼稚園は
年幼〜年長までの4学年、全15クラス380名のとても大きな幼稚園です。
今回のプロジェクトでは、授業作りや展覧会づくりのサポートを主に
担任の先生方、副園長、主任教諭の合計17名を対象に
研修や、報告↔︎フィードバックというかたちで関わりました。

2年間の変遷は、大きく3つの目的に分けることができます。
フェーズ1:2022年8月〜2023年6月 ブロック研修に向けて
フェーズ2:2023年10月〜2024年2月 作品展に向けて
フェーズ3:2024年5月〜2024年9月 持続的な指導に向けて

今回は、フェーズ2の最終話!
作品展の振り返りです。


フェーズ2-6:作品展の振り返り

2日間の作品展を終えた、2週間後。
先生方からフレッシュな振り返りが届きました。
その内容を、いくつかご紹介します。

楽しかった!
今年はじっくりひとりひとりの絵を鑑賞し、「この子はどういう思いで描いたんだろう」塗りつぶした絵や線だけの絵でも、勢いがあったり丁寧に描いていたりしていて、自分自身も絵画への見方が変わり、何回見て回っても楽しかった。

抽象画を見て、保護者の方はどんな風に思うのだろうかと心配していましたが、保護者の方から
・一つのテーマで誰一人として同じものがなくて、こういうのは初めて見ました
・(「あたたかいハンカチ」というテーマの作品を見て)本当にあたたかそうです、年少でもこういうのが描けるんですね
・(幼稚園の制作によって)描くことが好きになったようで、家でもよく描くようになりました
などの声が聞かれました。
準備は大変でしたが、子どもたちも保護者の方にも、そしてもちろん職員も十二分に満足した作品展だったと思います

他のクラス、他の学年のアイディアに感動し、いちお客さんの視点で見て、とても素敵だなーと思った

保護者の方が子どもに対して「すごいね!」「こんなに描けるようになったんだ!」と褒めてくれたり、中には涙を流してくれたりする方もいて嬉しかった

自由表現だからこそ、教材研究をもう少しこれから取り入れて、子ども達の可能性や個性を引き出せるようになりたいなと思いました。とても学ばせていただきました。

今年の作品展は、チャレンジがたくさんできた

昨年に比べて、子どもたちが保護者の方と会話をしながら見ている姿がたくさん見られ、子どもたちの思いもストレートに見る方たちに伝わったのではないかと思う。

はじめは不安だらけだったが、飾り方を変えるだけでも見え方が変わることや、子どもの表現の幅広さにおどろいた。作品展当日、子どもたちの気持ちが強く入った作品が並ぶと、すごく迫力・パワーがあってとっても楽しかった!!

フェーズ2-7:まとめ

読んでいる私も、目頭熱くなるような振り返りから
なるほどー!と唸ってしまうような、冷静な振り返りまで。
多様な目線が興味深いなと思いつつ
その多くから
最初は本当に不安だったこと
それでも進んできたこと
そして、やってよかったと思ってくださっていること
が伝わってきました。

こどもたちの表現がよかった、ということ以外に
・先生方がお互いの展示から、学びのきっかけや気づきを得ていること
・こどもと保護者のコミュニケーションが活発になっていること
がとても印象的です。

こどもたちの作品、そしてクラスごとの展示方法が異なることによって
お互いの刺激を生む構造が生まれ
抽象画によって、解釈の多様性が視覚的に現れることで
コミュニケーションが多様になる。

ブロック研修会、作品展と
大きな挑戦の場をふたつ乗り越えた先生方の中には
楽しんで学習の種を見つけていく
素晴らしい探究心が育っているように感じました。

"やってよかった"は、とても嬉しい感想ですが
それで終わらない、先生方の姿勢に
大きな希望を感じました。

<フェーズ3につづく>



いいなと思ったら応援しよう!

田中 令|UMUM
いつも長文を読んでいただきありがとうございます! サポートは、企画のための画材&情報収集に活用させていただきます。