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【読書感想文】『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』

(このnoteは3分で読めます。約2,500文字)
会社の先輩にオススメの本として『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』を紹介されました。野球自体のルールは分かるものの、プロ野球中継を見るほどの野球ファンではない私にとって、野球チームの監督の話を書いた本を興味を持って最後まで読み切れるかどうか不安でしかありませんでした。

しかし、読み始めてみると驚きました。野球ファンではない私も前のめりになって読み進めました。それほど引き込まれるものでした。

このnoteでは、鈴木忠平さんの『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』についての読書感想を書きます。内容の要約でなく、あくまで私の感想ですのでご了承ください。主観的な感想も多くございますので皆さまの広いお心で読んでいただけますと幸いです。

【総評】
オススメ度:★★★★★
読みやすさ:★★★★★

【対象とされる読者層】
・野球ファン
・マネージャーや管理職
・『プロとはどういうものなのか』気になる方

✅1、総評

この書籍の構成は大きく2つポイントがあります。1つ目は時系列順に話が進んでいく点です。章立てを確認すると2004年から2011年までの出来事が時系列順に進んでいくことが分かります。2つ目は、その時々の登場人物と筆者の出来事が入り組んで表現されている点です。各章でフォーカスされている人物は異なり、まるで短編小説を読んでいるかのようでした。各章でフォーカスされている人物の物語とその裏で取材活動をしていた筆者の出来事が交互に出てきます。

書籍自体は420ページあり、分厚い書籍ですが、この2つのポイントが読者を飽きさせずに読み進められる方法になっているのだと思います。

『これが正解』というものがない監督業という世界において、1つの事例を学ぶことができる書籍です。書籍に記載されていること全てが参考になるというよりは、自分のやり方として取り入れられそうなものがないか探しながら読むのが良いと思います。


✅2、印象に残った内容と感想

2-1、2008 第6章 中田宗男 時代の逆風

第6章の登場人物は、スカウトを務めた中田宗男さんです。次の試合で勝つための人材を求めている落合監督に対して、5年後・10年後の試合で勝てるための人材を求めるスカウトの中田さんが対立的に書かれています。

若い選手を使わないことに対する批判への落合監督の言葉が印象的でした。

「なんで、みんな若い奴を使え、使えって言うんだろうな?与えられた選手ってのは弱いんだよ。何かにぶつかれば、すぐ潰れる。ポジションってのは自分でつかみとるもんだ」
落合は白いものを白いと言っているだけだというような表情をした。
「不公平じゃないか。若いってだけで使ってもらえるのか?今、うちにファームで三割打っている奴がいるか?ベテランにだって生活権はあるんだぜ」

『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』

これは自分自身にもグサッときました。社会人5年目は若いと言えば若く『経験のためにこれをやってみて』と与えられることは少なくありません。(チャンスを)『与えられた選手ってのは弱いんだよ。』は刺さりました。

章のタイトルに含まれている『時代の逆風』とは、中田さんのことを指しているというよりは、第2回WBCの選手招集に対して、中日の選手が一人も応じなかったことを指しているように思います。

2-2、2010 第8章 和田一浩 逃げ場のない地獄

第8章の登場人物は和田一浩選手です。骨折している中試合に出続けたエピソードが記載されていますが、この章でも『この世界は実力主義だ。年齢は関係ない』といった第6章の内容に通じる記載が出てきます。

また、以下の記載は印象に残りました。

例えば、どこかを傷めた選手に、落合は「大事を取って休め」とは決して言わなかった。痛みを訴えてきた選手に対して、落合の口から出るのは、「やるのか?やらないのか?」という問いだけだった。
「できません」と答えれば、次の日には二軍のロッカーにいることになる。それだけだ。権利と引き換えに、冷徹に結果と責任も求められる。その天秤が釣り合わなくなれば、自分の指定席には別の誰かが座ることになる。

プロ野球という世界のリアルな厳しさが伝わってきます。

2-3、2011 第9章 小林正人 「2」というカード

第9章は、小林正人投手が中心人物のようですが、2011年当時の球団社長の交代の出来事の方が印象的に書かれています。

『ファンを大事にしなくてはいけません』と強調する新球団社長の言葉とは逆に、

「よくファンのために野球をやるっている選手がいるだろう?あれは建前だ。自分がクビになりそうだったら、そんなことを言えるか?みんな突き詰めれば自分のために、家族のために野球をやっているんだ。そうやって必死になって戦って勝つ姿を、お客さんは見て喜ぶんだ。俺は建前は言わない。建前を言うのは政治家に任せておけばいいんだ」

という言葉が印象的でした。ファンのためにという話はピンときませんでしたが、就職活動をしていたとき、『世の中のために』という言葉を使っている人をよく見ました。その当時は、『正しいことを言っているんだろうけど、なんかしっくりこないな。』と思っていました。その違和感の正体がわかった気がしました。


✅3、書籍紹介

※冒頭部分に記載した内容を再掲します。

このnoteでは、鈴木忠平さんの『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』についての読書感想を書きます。内容の要約でなく、あくまで私の感想ですのでご了承ください。主観的な感想も多くございますので皆さまの広いお心で読んでいただけますと幸いです。

【総評】
オススメ度:★★★★★
読みやすさ:★★★★★

【対象とされる読者層】
・野球ファン
・マネージャーや管理職
・『プロとはどういうものなのか』気になる方

過去の読書感想文はマガジンでまとめております。ぜひ読んでみてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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