【読書感想文】『コーチングのプロが教える「ほめる」技術』
(このNOTEは4分で読めます。約3,400文字)
コーチングを学んでいる友人に『オススメの本はありますか?』と質問すると、『コーチングのプロが教える「ほめる」技術』をオススメしてくれました。
ご縁があって就職活動中の学生の方とお話する機会があるため『学んでおいて損はないだろう。』と思い早速購入してみました。
このNOTEでは、鈴木義幸さんの『コーチングのプロが教える「ほめる」技術』についての読書感想を書きます。内容の要約でなく、あくまで私の感想ですのでご了承ください。主観的な感想も多くございますので皆さまの広いお心で読んでいただけますと幸いです。
【総評】
オススメ度:★★★★☆
読みやすさ:★★★★★
【対象とされる読者層】
・20代後半〜60代
・部下を持っている方
・管理職
・社長
読了までの時間を計ったところおよそ60分でした。約150ページほどなのでサクッと読めるかと思います。
✅1、総評
ページ数が少なく、かつ内容も具体的で簡潔であるため読みやすい書籍でした。データを用いた科学的な根拠等が出てくる本というよりは具体的な事例を用いてHow Toを紹介するような書籍です。
コミュニケーションスキルに関する書籍や傾聴に関する書籍を読んだことがある方は、そういった書籍と内容が重複しているように感じるかもしれません。
書いてある内容はすぐに理解できる内容だと思います。しかし、実践し続けるのは非常に難しい内容だとも思いました。この書籍に記載されている内容を身につけようとすると、同じコーチングに興味ある方とフィードバックし合いながら実践していくか、コーチングのセミナー等を活用しなければならないような印象です。そう感じるほど、自分一人だけで習得するのは難易度が高い内容だと思いました。
『できますか?』と聞かれると、即答で『イエス』と回答できますが、『やり続けることができていますか?』と聞かれると、大半の方が『ノー』と答えてしまうような気がします。
2009年に出版された書籍ですが、内容は色褪せてはいません。
✅2、印象に残った内容と感想
2-1、第1章 人を動かすアクノレッジメント
第1章では、アクノレッジメントの概要説明となぜそれが必要になってきているのかが述べられています。
アクノレッジメントは簡単に言うと『認めること』であり、『認めること』の代表的な手法が『ほめること』です。
説得されてやらされた行動よりも、自発的に決めた行動の方が達成する可能性が高くなります。目的を決め、それに対して自発的に行動しようとするときモチベーションはマックスの状態になるでしょう。
しかし、モチベーションが常に高いとは限りません。モチベーションが高い状態であり続けるにはエネルギーが供給され続ける必要があります。コーチングではそのエネルギー供給のことをアクノレッジメントというと筆者は述べています。
2-2、第2章 認めること、ほめること
第2章では、認めることや褒めることの具体的な事例が紹介されています。
印象に残っているのは『4 相手の存在価値を高める紹介』でした。筆者曰く、自分を紹介されるときに嬉しいのは、自分自身がどんな人間かという経歴を紹介されるのではなく、紹介する人本人にとって自分はどのような存在だったかを紹介されたときだと。
『○○さんは、大学では××を学んでおり、△△という書籍を出版されています。』という紹介ではなく、『○○さんの△△という書籍は、私がマネジメントに悩んでいるときにヒントになることを教えてくれて、心が楽になりました。』などの紹介の仕方です。
『確かに、紹介者にとって自分がどんな存在だったかを言われたら嬉しいよな。』と思いました。
2-3、第3章 たった一言で気持ちは伝わる
第3章では、アクノレッジメントの具体例の紹介が続きます。私にとっては若干抽象的だなと思う内容でした。
『3 本気のあいさつ』では、ウィルをもって挨拶をするのとしないのとでは受け手の印象が異なると述べられており、機械的に挨拶をするコンビニ店員とディスニーランドのキャストの挨拶を引き合いに出していました。
記載されている内容自体に異論はなく、理解できなくはないのですが、抽象的だなと感じました。
例えば、『『その人が笑顔であってほしい』というウィルがあった場合、真顔の挨拶ではなく、相手が笑顔になれるようにこちら側も笑顔で挨拶する方が良い。なぜなら、嘲笑は別として、笑顔で接せられて嫌だと感じる人は少ないはずだから。』と書かれていればある程度納得できるのですが、『ウィルをもった挨拶の方がアクノレッジされたとの思いが高まります』はよく分かりませんでした。
2ー4、第4章 人によって接し方はさまざま
第4章では、アクノレッジするにしても相手のタイプによってその手法は異なるという説明がなされています。
アクノレッジされる相手は、『コントローラー』『プロモーター』『サポーター』『アナライザー』の4つのタイプに分類されています。ちなみに、それぞれのタイプの命名は実態とずれていていまいちのような気がします。
『コントローラー』とは、誰かに自分の行動などをコントロールされたくなく、自分で意思決定していきたいと思う傾向が強いタイプです。『コントローラー』に対して、褒める等のアクノレッジをしてしまうと『何かやらせようとしているのでは?』とマイナスな印象を持たれてしまう可能性があります。『コントローラー』に対しては、本人を褒めるのではなく『君のチームの田中君は最近ずいぶん成長してきたな』と周りを褒めることによってアクノレッジするのが良いと述べられています。
『プロモーター』とは、とにかく褒められれば褒められただけ木に登ってしまうタイプです。『プロモーター』に対しては特に注意することなくアクノレッジして問題ないと述べられています。
『サポーター』とは、自分が注いだ愛情にチアして、無意識のうちに相手に相手に代償を求める傾向が強いタイプです。『サポーター』は周囲からの期待に応えようと、こつこつ努力するタイプですが、その努力を認めてほしい!という強いメッセージは出しません。しかし、相手がその努力を評価してくれるかどうか虎視眈々としているそうです。『サポーター』に対してはこまめにアクノレッジすることが重要だと述べられています。
『アナライザー』とは、話をするときに慎重に言葉を選び、考えをまとめ整理しアウトプットする傾向が強いタイプです。『アナライザー』はアウトプットをするのに時間がかかる傾向があるため、事前に質問事項などを共有し準備をしてもらうとスムーズに会話することができ、アクノレッジしやすくなると述べられています。
2ー5、第5章 相手にあったコミュニケーションを選ぶ
第5章では、新しい部下がチームに入ってきたときのアクノレッジメントについてや、年上の部下に対するアクノレッジメントについて紹介されています。
2ー6、第6章 アクノレッジメントで何が変わったのか
最終章では、小説風にアクノレッジメントで何がどのように変わったのかエピソードが紹介されています。
仕事面だけでなく、私生活においてもアクノレッジメントが活用できるエピソードも紹介されています。
✅3、リモートワークだからこそアクノレッジメント
『コーチングのプロが教える「ほめる」技術』に出てきた内容ではありませんが、リモートワーク時代だからこそアクノレッジメントが必要なのではないかと思いました。
書籍の帯にはアクノレッジメント=存在承認と記載されています。
リモートワーク以前はオフィスという物理的な空間があったため、その空間にいることによってその組織の一員であるという存在承認をつくりやすかったと思います。
しかし、リモートワークが普及して物理的空間を用いた存在承認が難しくなってきています。だからこそ、認めることや褒めることがアクノレッジメントの重要度を上げているように感じました。
✅4、書籍紹介
※冒頭部分に記載した内容を再掲します。
【総評】
オススメ度:★★★★☆
読みやすさ:★★★★★
【対象とされる読者層】
・20代後半〜60代
・部下を持っている方
・管理職
・社長
読了までの時間を計ったところおよそ60分でした。約150ページほどなのでサクッと読めるかと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。