「やりたいことがわからない」と焦っている人へ
こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。
夢ややりたいことを見つけて、それに向かって人生を歩もう――。
この考え方がたった1つの正論のように世の中に浸透し、それしか成功する方法はないかのように思い込んでいる人は多いようです。
でも、その考え方がすべてではない。たとえ今、明確な夢ややりたいことを持っていなかったとしても、あなたが今想像している未来をはるかに超える現実を手に入れる方法は存在する――。
そう断言するのが、ミリオンセラー『人は話し方が9割』をはじめ、数々のベストセラーを送り出している永松茂久さんです。
永松さん自身も、かつて「夢ややりたいことが見つからない」と悩んでいた一人でした。そんな永松さんが師匠にその悩みを打ち明けたときに言われたひと言があります。
「やりたいことが見つからない? 良かったじゃないか。」
この言葉の裏に隠された、私たちが「働く」意味とは何か? その意味に気づき、今の仕事に対する向き合い方が変わり、その先の人生も大きく変わっていく――。
誰にとっても人生において大きなテーマである「なぜ働くのか」という問いに対して、永松さんが真っ向から挑んだ最新刊『君はなぜ働くのか』が、12月11日(一部書店では先行販売中/Amazonは12月8日発売。ただいま予約受付中)にいよいよ刊行されます。
8万6000部を突破した前作『君は誰と生きるか』と同じく、かつての著者である「僕」と「師匠」との対話で繰り広げられる、「働くこと(働き方)」の本質。
「やりたいことが見つからない」「夢を持っている人がうらやましい」「今の仕事に充実感がない」「転職するかどうか迷っている」「いつかは起業して成功したい」「経営者として、ここから先の方向性に悩んでいる」「働くことの意味を見つけたい」などと考える人たちに、勇気と希望を贈る1冊です。
そこで今回は、同書発売に先立ち、同書の「まえがき」「プロローグ」「目次」を全文公開します。
*
◉やりたいことが見つからない。
◉夢を持っている人をうらやましく思ってしまう。
◉今の仕事に充実感がない。
◉他の会社に転職するかどうか迷っている。
◉仕事の人間関係に悩んでいる。
◉いつかは起業して成功したいと考えている。
◉経営者をやっているが、ここから先の方向性に悩んでいる。
◉人から「すごい」と言われることを何か一つでもやりたい。
◉「また会いたい」と言われる魅力的な人になりたい。
◉好きな仕事をしながら生きていきたい。
◉働くことの意味を見つけたい。
――こんな思いを持っている人に向けて本書を贈る。
まえがき──「やりたいことがわからない」と、無駄に焦ってはいないか?
「あなたには夢がありますか?」
もし、今、そう聞かれたらあなたは何と答えるだろう?
この本はそう聞かれることに対して明確な答えを返すことができない人、もしくは、この質問をされることに抵抗がある人のために書いた。
「明確な夢を持ち、具体的な計画を立て、一歩一歩クリアしていけば、必ず実現する」
世の中には、この考え方がたった一つの正論のように浸透していて、それしか成功する方法はないかのように、多くの人が思い込んでいる。
しかし、初めに断言する。方法はこの一つだけではない。
たとえ今、明確な夢ややりたいことを持っていなかったとしても、あなたが今想像している未来をはるかに超える現実を手に入れる方法は存在する。
しかし、実際にそのことを伝える人は少ない。
だからこそ、この本は、僕自身の経験を通して、そのもう一つの方法を知ってもらうことにより、あなたが今の自分自身を否定することなく、もっと楽に、もっと楽しく理想の未来を実現してもらうために書いた。
もうちょっとシンプルに言おう。
世間一般に流れ漂う夢神話から、あなたを解き放つこと。
この本の目的は、この一点だけだ。
今、夢を持てない人が増えている。
やりたいことさえ見つければ、その方法を教えてくれる本やインターネットの情報は山のようにある。
昔のように身分差別でやりたいことをあきらめなければいけなかったり、「こうやって生きることが一般的だ」という昭和の価値観は大きく崩れた。
しかし、「どうやってそれを実現するか」の手前にある「そもそも、自分は何をしたいのか?」という問いの答えを持っていないから、多くの人が今を漂うように生きているのだ。
そんな状態で「夢を持て」という、ある意味での強迫観念に迫られて、無理やり自分のやりがいを探そうとしたり、人から笑われないために見せかけの夢を準備して、適当にその場をやり過ごそうとしてしまう……。
そんな不毛な時間を、この本を読むことで、もう終わりにしてほしいのだ。
やりたいことがわからない。明確な夢を持てない。
全然、大丈夫。
あなたの人生は、ここからバラ色に満ちたものとなる可能性を秘めている。
決してバカにしているわけじゃない。僕は本気でそう確信している。
同時に、自信を持って言い切る。
夢がなくてもうまくいく。
逆に、今の時点で中途半端に夢など持たないほうが、その可能性は高くなる。
正直、最初にこのことを師匠から教えてもらったとき、僕は半信半疑だった。
「そんなことでうまくいくはずがない。やっぱり、明確な夢を持たなければ……」
そう考えていた。
しかし、今となっては、師匠が教えてくれたこの人生の歩き方に、感謝でいっぱいになる。
なお、この理論に自信が持てるのは、僕がうまくいったからだけではない。
飲食店の経営、執筆、講演を通して僕のまわりのスタッフたちがどんどんうまくいくようになったこと。
そして、そのメソッドを他の会社や、やりたいことのわからない人たちに伝えていったところ、彼らの人生がどんどん開けていったことが大きな確信の理由だ。
だからこそ、あなたにぜひシェアしたいと思い、筆を執った。
この本を読んでいただくことで、あなたが手にすることができるメリットを、思いつくままにいくつか挙げてみたい。
◉自分がなぜ働くのか、その意味が明確になる。
◉日常の仕事が今より数倍楽しくなる。
◉これまであなたがやってきたことに自信と確信が持てる。
◉「やりたいことを探さなければ」という不安から解放される。
◉まわりの意見に流されず、自分のペースで仕事を構築できるようになる。
◉チャンスが向こうからやってくるようになる。
◉努力することなく、あなたの魅力が上がる。
◉「また会いたい」と言われる人になる。
◉自分が本当にやりたかったことに気づくことができる。
◉「無理だ」と思っていたことが、実は実現可能だったことに気づく。
◉日本一の大実業家の仕事に対する考え方が身につく。
もちろん他にもあるが、大きくまとめるとこんなところだろうか。
ただし、このメリットを手に入れるためには条件がある。
それは、あなたが今、何のために働いているのか、その意味を明確にするということだ。最初はその問いに対して明確に答えることができなくてもいい。
あなた自身を僕に重ねながら読んでもらうことで、あなたはこの講義を僕の隣で受けたことになる。
同時に、読み進めていくにつれ、あなたの中に僕の師匠の言葉が無理なく染み込んでいき、「なぜ働くのか」が明確になっていくことを約束する。
もう一つ付け加えておきたい。
「自分には明確な夢があり、そこに向かって突き進んでいる」
欲張りかもしれないが、そう答える人にもこの本を読んでほしい。
なぜなら、その夢に向かう道のりを支えてくれる大きなヒントが、この本にはあるからだ。
なぜ冒頭からそう自信を持って伝えることができるのか?
それは、夢を持っていようが、今の時点で夢が見つからなかろうが、それ以上に大切なものについて書いてあるからだ。
2005年、30歳のとき、ここから先の人生が見えなくなってしまったときに、僕はある大実業家と出会い、いろんなことを教えてもらうことができた。
まず一番初めの講義、それは「人間関係」についてだった。
この講義は、約18年近く経った今でも、僕の人生を大きく開いてくれた1日だったと確信している。
その教えの衝撃については、前著『君は誰と生きるか』という本に書かせてもらったので割愛させていただくが、今回の本に書く内容は、そのときの衝撃と同じ、いや、ひょっとすると、もっと大きなものだったかもしれない。
舞台は今から17年前、人間関係の講義から半年が経った2006年の春。
その日の講義のテーマは「働くということ」についてだった。
プロローグ──やりたいことがわからない? 良かったじゃないか。
君は誰と生きるか?――。
初めて師匠にこの問いをもらってからというもの、僕の人間関係、そして日常は大きく変わった。
身近な人を大切にする。
この考えを念頭に置き、忠実に守っていくと、僕のまわりの人たち、そして仕事が驚くほどうまくいくようになっていった。
あの教えが間違いなく、僕にとって大きな人生のターニングポイントだったことは間違いない。
2005年、今から18年前に出会った人生の師匠からもらったその教えをベースに、人として、男として、そして何よりも一人の仕事人として、僕は新しい人生を歩き始めていた。
師匠のもとに通い、かけがえのない人生の教えをもらった中で、人間関係に続いてもう一つ、とても大きなテーマがある。
それは、「仕事に対する考え方」だった。
「君は誰と生きるか」、この講義から半年後、今から17年前の2006年3月の講義で、僕はもう一つのターニングポイントと呼べる新しい問いをもらった。
ここからは、その一連の流れについてお伝えしていきたいと思う。
「さて、人間関係もだいぶよくなったみたいだし、いよいよここからは本格的に仕事の話をしようかね」
「お願いします」
「最初に言っておくけど、このテーマは伝えるのに時間がかかるよ。君が身につける速度に合わせていきながらだから。それでもいいかい?」
「もちろんです。どれだけ時間がかかってもついていきます」
「私の仕事論を実際に身につけるのはきついよ」
「根性だけはありますので」
この時点では、この言葉の意味と重さをのちのち骨の髄まで叩き込まれることなど、つゆほども思っていない、のんきな僕がいた。
やっと受けることができる日本一の大商人の本気の仕事論。いよいよだ。僕は腹に力を入れて講義に臨んだ。
しかし、その気合いとは裏腹に、最初の質問ですでに僕の心は折れそうだった。
それは、何気なく師匠から聞かれたことが僕としては一番答えづらいことだったからだ。
「君はここからどうなりたい? 明確な夢とか、やりたいことはあるかい?」
きた、夢。
やりたいことの質問。
さて、なんて答えよう?
これまでの経験上、師匠には見せかけの嘘を言ったって、そんなものは通用しないことはよくわかっている。仕方ない、また怒られるか。僕は観念して言った。
「あの、師匠、怒られることはわかっているんですが、言っていいですか?」
「ん? どうした? 怒らないから言ってみな」
「あの、僕、夢っていうか、その手前のやりたいこともよくわからないんです」
しばし一時の沈黙が流れた。たぶん一瞬だったとは思うが、僕にとってその沈黙は永遠に近かった。
「そうか……」
そう言った後、師匠は笑顔になった。そして、それまでになく大きな声で言った。
「そうかあ! そりゃ良かったなあ!」
「はい……?」
「今の時点でやりたいことがわからないんだろ? だったら、これから何でもできるじゃないか! おめでとう!」
これまでも師匠にいろんな価値観をひっくり返されてはきたが、僕にとってこのリアクションと言葉が、それまでの中で一番衝撃だった。頭のまわりにクエスチョンが飛びまくっていた僕に、師匠はこう続けた。
「そうか、わからないか、良かった、良かった。それならたくさんのことを教えることができるな。ワクワクしてきたぞ。わはははははは」
「そ、そうなんですか!? 良かったです。あはははは」
なぜ目の前の大実業家は、こんなに喜んでいるのだろう?
その意味はまったくわからなかったが、師匠に合わせて僕も笑ってみた。
「実はね、夢がなくても、人って簡単に成功できるんだよ。いや、ないほうがかえって大きく育つと言ってもいい」
「ありがとうございます。なんか安心しました」
「さて、始めようか。夢が見つからないのはわかった。じゃあ、今回の講義の核になる、もう一つの質問をしよう」
師匠の講義はいつもシンプルな問いから始まる。
今回はどんなテーマが来るんだろう?
少しの不安と大きなワクワク感に包まれている僕に、師匠はこう聞いた。
「君は、なぜ働いてる?」
――第1章につづく
目次
まえがき――「やりたいことがわからない」と、無駄に焦ってはいないか?
プロローグ――やりたいことがわからない? 良かったじゃないか。
第1章 夢がなくてもうまくいく
◎アナタノユメハナンデスカ?
◎夢が持てないのって、そんなに悪いことですか?
◎仕事に必要なのは遠くの夢ではなく、今、ここ、目の前
◎「5W1H」のうち、働く上で一番注目すべきもの
◎モチベーションの正体
◎僕たちが無意識に一番使っている言葉
第2章 働く意味の見つけ方
◎僕らはみんな商人である
◎本当の意味で、好きなことを仕事にできる人が少ない理由
◎そもそも「仕事」って何だろう?
◎なぜ自分を犠牲にしてはいけないのか?
◎仕事の意味の見つけ方
◎「仕事を楽しむ力」を身につければすべてうまくいく
第3章 道が開ける一問一答会
◎「たくさんの質問を集める」という使命
◎「心の癖」という厄介なもの
◎素直さと柔軟性を持っていますか?
◎仕事においての一問一答プロジェクト
◎就職活動でそんなに悩む必要はない
◎若い人が仕事力を伸ばすためにおすすめの会社
◎与えられた役割にどう向き合うか?
◎1日でも早く、その役職に足る自分になろう
◎転職を考えたときに役に立つ「3カ月の法則」
◎この質問者の3カ月後に起きた意外な顛末
◎起きていることはすべて、今の自分にちょうどいいこと
◎すぐにでも転職を考えたほうがいいとき
◎どうしても嫌な人からは全力で逃げろ
◎起業して成功する人の条件
◎君はラーメン屋の多い街で何屋をする?
◎起業は、まずこの部分を徹底してやるべし
◎起業するのに、今の立場は関係ない
◎相手のいいところを学ぶ習慣を身につける
◎仕事で伸びる人の条件
◎悔しさをくれる人は、ライバルではなく先生である
◎なぜあの人の伝え方は心に響くのか?
◎伝えるときに、自分の我を抜くことができるか?
第4章 仕事がうまくいく人のルール
◎「魅力」について深く考えたことはあるか?
◎「また会いたい」と思われる人のルール
◎「仕事力」が伸びる人、伸びない人
◎どれだけまわりの人の力を活かせるか
◎2代目、3代目の後継者に伝えたいこと
◎夢と見栄を混同してはいけない
◎「すごいと言われたい」という地獄
◎名誉欲に負けて大切なものを見失ってはいないか?
◎「すごい」に固執した人の落とし穴
◎うまくいったときの予習をしておきましょう
◎世の中のお店は、全部自分のためにある!?
◎「総理大臣も芸能人も無名の若者もみんな対等」という価値観
◎「商いは飽きない」の意味を間違えるな
◎拡大する生き方、シェアする生き方
◎僕が本を書く仕事を選んだ理由
◎それが行くべき道ならば自然と開ける
◎人が天職にたどり着くパターンと順番
◎出版を突き詰めていくうちに開いた新たな扉
最終章 君はなぜ働くのか
◎多くの人が夢を持てない時代的背景
◎夢を持ちにくい時代に生まれて
◎目標より目的を深めたほうがうまくいく2つの理由
◎人生を旅行にするか、冒険にするか
◎人生に期日を決めるな
◎日本一の大実業家に課された気が遠くなる宿題
◎学んだことは結果を出してこそ初めて自分のものになる
◎人は、結果を出した人の言葉に耳を傾ける
◎「カッコいい働き方」とは?
◎人は何のためにがんばれるのか?
エピローグ――人生に意味を持つということ
あとがき――やっとこのテーマが書けました
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9刷・8万6000部を突破した(2023年12月5日現在)前作『君は誰と生きるか』の刊行から約1年、著者の永松茂久さんが挑戦してくださったテーマが「働き方(働く)」です。
前作が「人間関係」、今作が「働き方(働く)」。
誰もが悩みを抱える人生における2大テーマであり、思わず向き合うことを先送りしてしまいがちな「人生の問い」でもあります。
今回の企画テーマ「働き方(働く)」の立ち上げの際、まず決まったのが本書の帯のキャッチコピー「やりたいことがわからない? 良かったじゃないか。」でした。これは本書の中で登場する「師匠」が「僕」に投げかける言葉なのですが、このメッセージの裏に広がる、人生の可能性、意外性、そして、成功者の多くがたどり着く言葉であることがわかります。
今、夢とかやりたいことがなくても大丈夫。
本書を読み終えたとき、「君はなぜ働くのか?」 この問いに対する、あなただけの「答え」が見つかります。それは、今の仕事に対する向き合い方はもちろん、人生そのものを変えてくれるはずです。