見出し画像

代替食も突き抜ければ新ジャンルになれる

こんにちは、食品業界で働いているらびです!

昨今、食品業界で話題になる事が多い「代替食」をご存知でしょうか?

近年、急激にポピュラーになってきた代替食といえば「代替肉

動物肉を使わずに、大豆やえんどう豆を使ってお肉そっくりに再現したもの、またはお肉と近い満足感・栄養を持つ製品のことです。

画像1

写真:大豆から作られる100%肉不使用のインポッシブルバーガー
(Impossible foods社より引用)

時代は既存のものが、新しいものに徐々に置き換えられながら進んでいきます。代替する製品は「これまでに存在しなかった」革新的な物もあれば、廃れてしまった「古き良きもの」の場合もあります。また、「完全に取って代わってしまう」パターンもあれば「新たなジャンルを確立してしまう」パターンもあり、代替食のカテゴリはダイナミックで興味深い分野なのです。

そこで今回は、現在市場を席巻している「代替食」を紹介して、古きを学び、新しきを想像(創造)するきっかけにしようじゃないか!という心意気で書いてみましたので、ぜひ食に興味のある皆さまにも、ご覧いただければ嬉しいです。

1. カニカマ

画像2

トップは日本生まれのカニカマ。スケトウダラという魚のすり身を、卵白でん粉などで繋ぎ、香料・調味料・色素などを加え成形した、加工食品です。

こちら、もともとは日本のスギヨという会社が「食用クラゲの代替」を目的に開発したものですが、今では「カニ風味のかまぼこ」として、新ジャンルへと昇華。欧米でも人気を博しており、フランスでは「SURIMI」という名称で、サンドイッチの具材やサラダにも入っており、定番商品として有名になってます。

2. マーガリン

おそらく知らない人はいない、代替食界隈の大御所。菜種油・大豆油などの植物性油脂に、食塩、香料、乳化剤などを入れ乳化(油と水が均質に混ざり合った状態)させた食品です。

19世紀末フランスに、高価であるバターの代替食として、ムーリエという科学者に開発されました。ムーリエは牛脂に牛乳などを混ぜて硬化させた「オレオマーガリン」と呼ばれる元祖マーガリンを作り、ユルゲンスとヴァン・デン・バーグという人物に「特許権」を売却しました。

画像3

写真:Gathering Old Recipes

そして、このユルゲルスとヴァン・デン・バーグは「マーガリン・ユニ」という会社を創業。その後、世界的最大級の食品・消費財メーカー「ユニリーバ」という会社へと変貌していきます。

画像4

ユニリーバ社のブランド一覧(HPより)

現在はトランス脂肪酸問題がきっかけで人気は落ちておりますが、世界の食(特に製菓・製パン分野)を支えている「代替食」であった事は間違いないと思います。

3. コーヒーフレッシュ(コーヒーポーション)

最後はコーヒーフレッシュ。植物性油脂を主原料として、砂糖、脱脂粉乳、乳化剤、香料などが配合されている、加工した植物性油脂になります。

画像6

日本のコーヒーフレッシュの歴史をwikiで調べてみると、1970年代にメロディアンやめいらくによって発売され、その「保存性の高さ」「価格の安さ」「手軽さ」から一気に普及したとあります。

また、海外ではCreamer(クリーマー)やWhitener(ホワイトナー)なんて呼ばれている類似食品があります。「コーヒーメイト」と呼ばれる食品は1961年にカーネーション社によって開発され、現在はネスレのブランドとなっています。

画像5

ネスレ社のコーヒーメイト(写真:Amazonより)

さて、一部消費者から叩かれがちなコーヒーフレッシュ。理由は「牛乳だと思ってたけど、実は違った!!」というものが多いとの話。同じ食品業界に勤める者として、商品が叩かれているのは胸が痛いですが、やはり「誤認性が高い」ことは否めないと思います。なんせ、何の知識もない人が見たら、どう見ても牛乳ですもんね・・・(ある意味クオリティは高い)

叩かれるリスクを減らすためには、既存商品と誤認されないように、慎重にプロモーション、ラベルによる周知などをする必要がありそうです。

最後に

実は日本って、代替食が豊富なんです。今回取り上げた製品以外でも、ホッピー、発泡酒、がんもどき、魚肉ソーセージなんかも、考え方によっては「代替食」と言えます。

やっぱり、「何かを代替する事」って「ビジネスの王道」です。消費者が気付いていない、既存製品の課題をあぶり出し、改良した商品・異なる商品で潜在ニーズを満たす。そして最初は代替食として売り出していた「偽物」達も、カニカマ、マーガリン、コーヒーフレッシュのように、いつのまにか「新しいジャンル」として確立しちゃうんです。やっぱり面白いですよね。

これを踏まえ、私個人としても・職業人としても気をつけたいのは、これから自分が全く理解できないような新しいものがでてきても「頭ごなしに否定しない事」。

例えば、「日本では〇〇は流行らないよ」とか「あんなまずいものは流行るわけがない」とか、直感的に言ってしまう事は避けたいです。

代替品が出る事によって、自分がこれまで愛してきた「伝統品」や「既存品」を否定されている気分になってしまう心理もよくわかるのですが・・・とにかく、よく知りもしない事を、いきなり否定することだけは、気をつけていきたいですね。


おしまい

この記事が参加している募集

お気持ちだけでも十分嬉しいです!ありがとうございます。