1.5分小説 『恥ずかしがり屋のゾンビ』 #爪毛の挑戦状(4)
昔勤めていた会社に霊が見えるという人が現れ、半信半疑で職員一同チェックしてもらうことになった。
「あんたは背中に男が覆い被さってる」
「あんたは腰に赤ちゃんがしがみついてる」
「あんたは両足に二匹の猫が張りついてる」
などと嘘か実か、チラッと見ただけで次々と言い当てていく。
そのお告げを受けた職員達は
「塩持ち歩かないと!」
と顔を青ざめ大慌て。
私はといえば、とにかく虚弱体質でよく喉を傷めていたため「絶対首回りに霊が取り憑いているに違いない! 何人かは霊を背負っているはずだ!」と他の職員とは全く違う意気込みで臨んだ。
他の職員よりもまじまじと見つめられる。
これは複数人いるのかもしれない。もし何か憑いているなら潔くお祓いに行けばいい。
さあ、来い! ゾンビよ!
「あんたには……」
と口を開くも、やたらためるな、これは期待できるぞ! と胸を高鳴らす。
「何も憑いてない。はい次!」
とバッサリ切り捨てられた切なさたるや……
なんか告白してないのに振られた気分。
後日、クレンザーだと思い洗面台を磨いていたら
「それ盛り塩よ!」
と通りかかった職員に指摘され「そりゃ霊も呆れて寄り憑かんわな……」と思った私なのであった。
久しぶりの爪毛さんへの挑戦状です。途中まで書きながら「もしかしたら、いいお題があるかも!」ということで、それに合わせて調整した……というより、ありえへんくらい嘘みたいな実話です。せめて猫一匹くらい譲って欲しかった、という謎の敗北感が未だに残ってます。(犬派やけど、肉球が好き!)クレンザー事件も猫まんまです😇<だって、ちょうどええとこにあったんやもん!)
ついでに他のお題の作品もよかったら~🙋
↑ どちらを先に読んでもいいですよ~ ↓
↓ 後日談もあったりします。
最後まで読んでくださり、誠にありがとうございます。よろしければ、サポートいただけますと大変うれしいです。いただいたサポートは今後の創作活動に使わせていただきます!