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『妻は470万円の女』

久しぶりに妻について振り返ってみようと思う。

以前にも『痛快クレイジーワイフ!?』というタイトルで妻のハチャメチャぶりを書かせていただいてはいるのですが、今回はハチャメチャというよりは『あんな事あったなこんな事あったな』なんてことを、今思い出せる範囲でつらつらと書いてみようと思います。(※でも後半、ハチャメチャになってしまいました。汗)


妻と出会ったのは知人の紹介でした。

会ったその日の服装もなんとなく覚えています、長い髪を後ろで1つにまとめて、ウエストがタイトにしまったサーモンピンクのワンピースにブラウンのロングブーツ。

初めて食事をしたその日、テーブルを共にをしたのは初めてだけど、仕事で何度か会っているという会話で盛り上がりました。

1番最初は僕が二十歳の頃。吉本興業内のオーディションがあって参加していた芸人ユニットnews(ニューズ)のメンバーだった僕ら、会社にも少しは押してもらえていたのか、そのユニットで日本テレビさんの深夜番組【吉本ばかな】というのをやらせていただいていた。

ある回の企画で、同じ日本テレビのゴールデン帯の番組【伊東家の食卓】に生活で使える裏技を考えプレゼンテーションをしに行き、出演させてもらいに行こうと伊東家の収録現場に訪れた。

その【伊東家の食卓】の出演者として、次女役で参加していたのが当時13歳だった妻だ。

裏技のプレゼンテーションをする企画だったため、当時の妻と話をすることなどはなく、その日は二十歳の若手芸人と中学生タレントとして互いの存在だけを確認するような形で終えている。

その次は、時間が流れて約9年ほどあとになる。【世界バリバリバリュー】という番組のスタジオ収録、番組収録中に司会の島田紳助さんが『俺、前世で森光子さんの息子やってん』と奇想天外なことを言い出した。当然若手の僕らやスタジオにいるタレントはここぞチャンスとばかりに口々にツッコミを入れる。

『ほな、お前ら森さんとこ行って確認してこいや』

『いいですよ!行きますよ!』

『森さんが認めたらお前ら罰として改名せーよ』

『なんでなんすか!?』

『自信あんねやろ!?』

『ありますよ!』

『ほな森さんが認めたらコンビ名をザ•ちゃらんぽらんに改名せえ』

今、思い返しても訳のわからないやり取りだが、この後に紳助さんから『お前も信じてへんやろ!?もし森さんが認めたら下着姿でウチまで遊びにこい!』

『なんでですかー!』とツッコミを入れていたのが21歳になった妻だった。

あまりに印象的な収録だったし、互いに必死で番組収録に挑んでいたのもあったのだろう、共演していたのは覚えていたが、結婚式でその時のVTRが流れた時、ひな壇で席が隣同士だったのには驚いた。

そんな出会ってるような出会ってないような2回があって(妻はもう一回クイズ番組で会ってるよ!挨拶行ったのに無愛想だった!と今でも怒ってるという件は一旦忘れます。)、この食事会をきっかけにきちんと互いを把握し、交際に発展したのが僕が34歳、妻が27歳だった。

デートでちょこちょこいろんな所に出かけたりはしていたが、初めて2人で温泉に行ったのが印象的だった。

1泊2日、場所は草津温泉。

名物の湯畑を見ながら『吉本ばかなのロケでも来たわ、そこのホテル泊まってドッキリとかしたなぁ〜、あっ、閉館してるやん!』

『本当だ!ヤバ!お化けでそうな感じになってる!笑』

そんな会話をしたのを覚えている。

せっかくの楽しい旅行でも、イベント的なこととかには参加したくない派の僕。

草津温泉のもう一つの名物、湯もみ。スノーボードより少し小さめのサイズの板の先端を、大きな浴槽に溜められた温泉に入れ込みリズムに合わせて、お湯をこねるように回す。それを体験できると知ってもやってみたいなどとは爪の先ほどにも思わない。

ところが彼女は違っていた。

『私やってみたーい!一緒にやる?』

『ええわ〜』

『そ、じゃちょっと行ってくるね!』

と言い残し手ほどきを受けて、湯もみを始めた彼女。

ニコニコと湯を揉むのならわかるのだが、彼女は違った。

『何これー!!!板重いんだけど!!超ウケる!!あつっ!!なんだよ、ちょっとお湯かかるじゃん!!!はははははははははははははははははは!!!!』

つられて周りの人も数人笑っていた。

湯もみ史上一番の単独爆笑ではなかろうか。

帰りの車でも印象的なことがあった。

サービスエリアに立ち寄り、トイレを済ませ、飲み物食べ物を買い込み、再び運転席に着こうと車を回り込んだ時だった。

『私、運転変わろうか?』

『え?ええよ、大丈夫やで』


『いいよ、疲れてるでしょ?私もいつも自分で運転してるから大丈夫だよ、変わってあげる』

こういう時は男が運転するものと勝手に思い込んでいた僕、多少の不安はあったが彼女の言葉に運転に対する自信がしっかりと感じられたので、ハンドルを任せることにした。

サービスエリアの駐車場から走り出して、本線に合流。

女性の運転だからじんわり車線変更するのかと思いきや、ボールを抱えたラガーマンが、巨漢のディフェンスを避ける姿を彷彿とさせるようなサイドへのアクセス!あっという間のハンドル捌きで高速道路3車線の1番右、追い越しレーンへ!
マンガだったら目ん玉だけその場に残して体と車がだけが移動し、目ん玉が後から追いつく感じになるやつだ!

アクセルワークも男顔負けで体にGを感じるダイナミックさ!

葛飾のシューティングスターここに誕生!と叫びたくなるようなドライブテクニックであっという間に帰宅しました。

※もちろん法定速度内のシューティングスターですのでご安心を。

帰宅してソファーでくつろいでいると、洗濯機に旅行で使った服を入れ込みながら彼女が何か喋り始めた。

『旅行好きだけどさ、帰ってきて洗濯しなきゃいけないのが旅行の嫌いなところ。まったくしちめんどくさいよ、ほんとに。旅行好きだけど!!』

と独り言とは思えぬボリュームだ。

この人おもろいなぁと確信した瞬間だった。

そして、この後に起こるのがデニム事件。

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