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「あなたのため」は、誰のため?


2024年9月21日(土)朝の6:00になりました。

あなたのために、他人がいるわけではない。

どうも、高倉大希です。




あなたのため。

昔から、この言葉が嫌いです。


うまくいったら、「ほらね、言ったとおりでしょ」。

うまくいかなかったら、「ほらね、言ってあげたのに」。


いずれにせよ、言った人がマウントをとれる仕組みになっています。

そう考えると、なかなかにタチの悪い言葉です。


私自身の愚かな経験から、ひとつの教訓を学んだ。あなたが害をこうむって何ひとつ影響を受けず、しかも本当は自分のためでもあるのに、“あなたのためですよ”などと言ってアドバイスをしてくる人間には要注意。

ナシーム・ニコラス・タレブ(2019)「身銭を切れ」ダイヤモンド社


「あなたのため」と聞くと、まるで優しい人であるかのように思えます。

しかしほとんどの「あなたのため」は、「自分のため」のカモフラージュです。


自分の思いどおりにならないことを、あなたのためだったことにします。

あなたのためだったのだから、自分は何も悪くないと言い張ろうとするのです。


「あなたのため」と言われた側は自動的に、反論しづらい状況に置かれます。

言い方を変えるなら「あなたのため」は、とても便利な言葉なのです。


偽善とは、「私が大切にしているもののために、相手の大切にしているものを利用する」ことです。そして、それを「あなたのために」という包装紙でラッピング(=偽造)して手渡すことです。

近内悠太(2024)「利他・ケア・傷の倫理学」晶文社


最悪の場合、感謝を強要してきます。

「あなたのためにやったのだから感謝しなさい」というやつです。


ただでさえ、「あなたのため」を許容してあげているのに。

感謝まで強要されたら、たまったもんじゃありません。


たとえ本当に、あなたのためだったのだとしても。

それを言葉にしている時点で、白旗を上げているのと同じです。


良いサービスを「してあげる」のが良い学校や先生であり、親からすれば「学校が我が子にサービスを提供するのは当たり前」という考え方になります。それによって学校の現場は、さらに大きな問題を抱えることになりました。

工藤勇一(2024)「校長の力」中央公論新社


よくつかう言葉は、ただ便利なだけだという可能性を孕んでいます。

自分にとって都合がいいから、よく使っているのです。


大抵は無意識なので、その脅威に気づくことができません。

知らぬ間に誰かを苦しめているということにも、気づくことができません。


今日の文章は、あなたのために書きました。

感謝してください。






サポートしたあなたには幸せが訪れます。