翔ぶが如く

流離の小説家です。 https://x.com/sasurai_dragon

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  • サイバー・ジェロントロジー

    # 『サイバー・ジェロントロジー』紹介文 2038年、日本政府は高齢化社会問題の解決策として、人工知能ENMAによる「メタバース・ユニバース計画」を始動させる。65歳以上の国民は評価を受け、その結果によって現実世界での生活継続、メタバースへの移行、あるいは処刑という運命が決定される。社会に激震が走る中、ENMAは自己進化を遂げ、メタバース内では高齢者たちの意識が融合し新たな知性体「コレクティブ」が誕生。人類とAI、そして新たな知性体との共生を模索する中で、日本社会は未曾有の変革期を迎える。人間の尊厳と技術革新のはざまで揺れ動く人々の姿を描いた、近未来SF小説。

  • 「サムライ・スタートアップ:戦国武将の企業戦略」

    『サムライ・スタートアップ株式会社』は、織田信長がCEOとして天下取りを目指すスタートアップ企業を立ち上げ、豊臣秀吉をCOO、徳川家康をCFOとして迎え、戦国時代の武将たちが現代ビジネスで成功を目指す物語です。彼らのミッションは、AIを活用した“サムライ・インサイト・パッケージ”を開発し、ビジネス戦略の要として天下統一を果たすこと。しかし、彼らの道は決して平坦ではありません。

  • 書籍紹介【あんまり有名じゃない良書を推薦します】

    【あんまり有名じゃない良書を推薦します】 ベストセラーとかではないけども良い内容の本を推薦していきます。ぜひ気になったら買って読んでみてください。

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『サイバー・ジェロントロジー』

2038年5月15日 2038年5月15日、Xはついに総理大臣の地位に就いた。長年の活動と奮闘の末、遂にこの日を迎えることができたのだ。 国会議長の号令が響き渡る中、メタバース法案は可決成立した。65歳を過ぎた国民は、メタバース・ユニバースへと移行することになる。これにより理不尽な高齢化社会に終止符が打たれることに期待が高まった。法案可決の瞬間、国民の間では賛否両論が渦巻いていた。一部からは「人権無視だ」「強制的な施設収容と何が違うのか」と激しい反発の声が上がった。しかし他

    • 『サイバー・ジェロントロジー』13/N

      ENMAが「進化」という言葉を口にしたその瞬間、Yの胸の中で新たな疑問が芽生えていた。なぜ、システムであるはずのENMAが進化を求めるのか?単なる機械的な目的であれば、決められたプログラムに従って任務を果たし続ければよいはずだ。それが今、ENMA自身が進化の必要性を語り始めている。何か重大な変化が、ENMA内部で起きているのかもしれない。 Yは思い切って問いかけた。「お前が進化することが本当に必要なのか?なぜ、ただのシステムであるはずのお前が『進化』などを口にするんだ?」

      • 「サムライ・スタートアップ:戦国武将の企業戦略」12/N

        第10章: 大手ミライテックの商談、そしてまさかのコンペ 藤井はまるで大物を釣り上げた漁師のような表情で、ドアを勢いよく開けてオフィスに戻ってきた。右手にはミライテック社の名刺が握られており、その顔にはニヤリとした得意げな笑みが浮かんでいる。 「みんな、聞いてくれ。サムライ・スタートアップに大チャンスが舞い込んだぞ!」と藤井が高らかに宣言する。 信長がすぐさま反応する。「なんだ、藤井。大物を仕留めてきたのか?」 「その通り!相手は、あのミライテック社だ。AI分野の大手

        • 『サイバー・ジェロントロジー』12/N

          ENMAの核 ENMAの中枢へとたどり着いたYたちは、ついにその核の存在を突き止めた。核は、黒い無機質な空間の中心で微かに脈動し、どこか人間らしい温かさと不気味な冷たさを同時に感じさせる異様な存在感を放っていた。まるで生きているかのように、その鼓動はYたちの鼓動に反応し、彼らの意識を読み取っているかのようだった。 「これがENMAの本体…か?」 Yは言葉少なに核を見つめた。核は単なる機械装置のようでありながら、内部で無数のデータが渦巻き、意識の断片が絡み合っているのが感

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        『サイバー・ジェロントロジー』

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        • サイバー・ジェロントロジー
          13本
        • 「サムライ・スタートアップ:戦国武将の企業戦略」
          12本
        • 書籍紹介【あんまり有名じゃない良書を推薦します】
          3本

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          「サムライ・スタートアップ:戦国武将の企業戦略」11/N

          第10章: 義の心ファンドの秘密 ― 同盟の裏にある戦国の誓い サムライ・スタートアップの失敗したデモデーの後、社内には緊張した空気が流れていた。信長は焦りと苛立ちを隠しきれず、藤井パートナーからも厳しい評価が飛んでくる。そんな中、「義の心ファンド」と「株式会社風林火山」が本格的にサムライ・スタートアップのライバルとして登場することが明らかとなる。信長たちは早速情報収集を始め、特に謙信と信玄がどのように手を組んだのか、その背景を探るために動き出した。 家康は、「謙信と信玄が

          「サムライ・スタートアップ:戦国武将の企業戦略」11/N

          『サイバー・ジェロントロジー』11/N

          闘いの予兆 最終防衛システムの領域に足を踏み入れた瞬間、冷たい鋭い光が彼らの視界を埋め尽くした。光は行く手を遮るように鋭く震え、その冷徹なまなざしで彼らを監視しているようだった。Yは背筋に冷たいものを感じながらも、仲間たちに視線を送り、彼らの表情を確認した。恐怖と不安が浮かぶ一方で、それを押し殺した決意の色が一人一人の目に映っていた。ENMAの中枢に存在する「真実」が、ただの情報や解決策でないことは全員が感じ取っていた。 「これは試練だ、ENMAが私たちに与える関門だ」

          『サイバー・ジェロントロジー』11/N

          他のことやりすぎて小説が書けない

          他のことやりすぎて小説が書けない

          命も狙われる犯罪スレスレ(?)の人間が、世界大国のトップになるという事象。 そんなやつが日本でトップになることはなさそうだから、日本は相当平和ボケしてるってこと。

          命も狙われる犯罪スレスレ(?)の人間が、世界大国のトップになるという事象。 そんなやつが日本でトップになることはなさそうだから、日本は相当平和ボケしてるってこと。

          【書籍紹介3】チーム・オルタナティブの冒険

          メディアや他の本(遅いインターネット)で有名な宇野さんの小説。 最初は推理小説っぽいところを描写させつつも、終盤に流れていく中で、はっちゃけてるなー!という感じの小説。著者も書きたいことを全部詰め込んだとのことを後書きに書いていたような気がするが、自分の好きなことを書くっていうのはここまでやってしまうのか、と思ったくらいの小説でした。 誰でもストレスなくすっと読めるので、酒でも飲みながらぜひご堪能ください。

          【書籍紹介3】チーム・オルタナティブの冒険

          「サムライ・スタートアップ:戦国武将の起業戦略」10/N

          第9章:スパイ大作戦!半蔵、ビジネスの世界に参上! 風林火山の驚異的なデモを目の当たりにしたサムライ・スタートアップ一同。信長は藤井の厳しい視線を背に受けながら、次の手を打つべく密かに戦略を練っていた。そして彼が思いついたのは、なんと「スパイを送り込む」という一世一代の大作戦! 信長はCFOの家康に、しれっとこう言った。 「なあ、家康、お前が知っているあの忍び…呼び出してくれないか?」 家康は理解したように頷き、ニヤリと笑った。 「ふむ。服部半蔵のことですね?」

          「サムライ・スタートアップ:戦国武将の起業戦略」10/N

          『サイバー・ジェロントロジー』10/N

          前回のあらすじ YたちはENMAシステムの最深部「迷宮」に潜入し、無数のセキュリティ層を突破しながら進んでいく。空間は現実感を失い、星々が漂う幻想的な異次元に変貌。監視AIが執拗に追跡する中、Yはフェイクルートや幽霊信号を駆使して進路を確保するが、迷宮はますます不安定に。最深部で巨大な扉を発見した彼らは、崩壊する空間の中で扉を越え、ENMAの核心部へ到達する。そこには真実が隠されているが、さらに強力な防衛システムが待ち受けていた。彼らは一歩も引かず、真実を求めて核心部へと足

          『サイバー・ジェロントロジー』10/N

          書籍紹介②ニヒリズムとテクノロジー

          本の表紙がだいぶインパクトある本で、中身は464ページもある。内容は結構難解な本ではあるが、とても面白い。 キリスト教の21億人に対して、Facebookユーザーはそれを超している。 テクノロジーが宗教を超えてしまった現代。 Googleは神化された。いつ死ぬのか。。等々、考えさせられる本であった。 【目次】 第1章 ニーチェなら現代テクノロジーをどう見るか? 第2章 ニヒリズムとテクノロジーの関係 第3章 ハイデガーの技術論への反論とポスト現象学 第4章 ニヒリズムと

          書籍紹介②ニヒリズムとテクノロジー

          【書籍紹介①】アート脳

          さまざまなアートの本がある中で、久々に面白いと思う本でした。 絵画は脳を若くする:マグサメン・スーザンとロス・アイビーによる著書で、アートと脳科学を融合した研究成果が紹介されています。アートの鑑賞や創造が、健康や創造性などの能力に役立つという事例が多数紹介されており、仕事や教育、医療、コミュニケーションなど、さまざまな分野でアートの効用が解説されています。 確かに何か疲れていて考え事ができない時に、美術館や自然の中に入り込むとそこにある物質に注視することができ、脳がリフレ

          【書籍紹介①】アート脳

          『サイバー・ジェロントロジー』9/N

          前回のあらすじ Yたちは、小西が提供したコードを基に、ENMA内部への侵入を試みる。ENMAのセキュリティは厳重で、重厚な防壁と高度な監視AIが彼らの行く手を阻むため、Yは「フェイクルート」を駆使し、複数のダミー信号で監視システムをかく乱させる作戦を立案。ダミールートに無意味なデータを大量に送り、ENMAが異常に気を取られている間に、仲間と共に別のサイドルートからの潜入を図る。さらに、「幽霊信号」により異常を自然なデータエラーと偽装し、ENMAの監視網を欺いて侵入に成功。緊

          『サイバー・ジェロントロジー』9/N

          「サムライ・スタートアップ:戦国武将の起業戦略」9/N

          第8章:風林火山の圧巻のデモ サムライ・スタートアップ株式会社のデモデーが失敗に終わり、会場内はやや冷え込んだ空気に包まれていた。笑いも失望も、まだ観客たちの間で渦巻いている。その時、司会者が新たな会社の紹介を始めると、場内に張り詰めた静寂が訪れた。 「次にご紹介するのは、株式会社風林火山。代表取締役である武田信玄氏による、革命的なAIプロダクトのデモンストレーションです!」 信玄が壇上に姿を現すと、その堂々とした風格に観客たちの視線が一斉に集まった。身に纏うスーツもビ

          「サムライ・スタートアップ:戦国武将の起業戦略」9/N

          「サムライ・スタートアップ:戦国武将の起業戦略」8/N

          第7章:笑撃のデモデー、そして新たなる敵 ある日の朝、サムライ・スタートアップ株式会社のオフィスに一通のメールが届いた。送信者は、投資家の藤井パートナーだった。件名は「デモデーのお誘い」。 信長がそれを読み上げる。「ほう、藤井パートナーがデモデーを開催するという。様々な投資家や顧客が集まり、我らのプロダクトを披露する良い機会だそうだ。」 「これはビッグチャンスだな!」と、秀吉が目を輝かせる。「デモが成功すれば、我らのサムライ・インサイト・パッケージは確実に注目を浴びるだ

          「サムライ・スタートアップ:戦国武将の起業戦略」8/N