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「サムライ・スタートアップ:戦国武将の起業戦略」10/N

第9章:スパイ大作戦!半蔵、ビジネスの世界に参上!

風林火山の驚異的なデモを目の当たりにしたサムライ・スタートアップ一同。信長は藤井の厳しい視線を背に受けながら、次の手を打つべく密かに戦略を練っていた。そして彼が思いついたのは、なんと「スパイを送り込む」という一世一代の大作戦!

信長はCFOの家康に、しれっとこう言った。

「なあ、家康、お前が知っているあの忍び…呼び出してくれないか?」

家康は理解したように頷き、ニヤリと笑った。

「ふむ。服部半蔵のことですね?」


家康はさっそく、昔ながらの召喚術(実際は謎のリクルートメッセージ)を送り、数日後には例の男、服部半蔵が現代に姿を現した。時代を超えてやってきた忍者は、家康の前に姿を現すなり、一礼しながらこう言った。

「お呼びですか、家康様。忍びの本分、心得ております。」

家康は半蔵に最新のスーツを差し出し、「現代に馴染むにはこれを着ろ」と勧める。半蔵は興味深そうにスーツを眺め、渋々腕を通したものの、ボタンの付け方さえわからず、戸惑いの表情を浮かべた。

「…これはいかなる装束でござるか?まるで甲冑のように窮屈ですな。」

家康は苦笑しながら、現代のビジネスマナーも一通り教え込んだ。名刺の渡し方、メールの署名の書き方、そして「お疲れ様です」を頻繁に言う理由まで。半蔵は真剣に聞いていたが、内心「なんだこの儀式の多さは…」と半ば呆れていた。


そしていよいよ、風林火山への潜入作戦が開始された。株式会社風林火山の「中途採用支援員」という肩書きで潜入することにした半蔵だったが、最初から苦戦することに。

まず、入社早々のオリエンテーションで、上司からこう言われた。

「当社ではフレックス制度を導入していますので、柔軟に働いてください。」

半蔵はフレックスの意味がわからず、「この者は柔軟な身体を持っていると見抜いたか!」と勘違いし、妙な体勢で挨拶をしてしまった。周囲からは不審な目で見られ、彼の背後で囁かれる「なんかちょっと変わった人事の人…」という噂が広まる。


さらに、半蔵の忍者スキルも現代のビジネスでは少々過剰に映ることがあった。例えば、会議室に隠れ忍ぶつもりで天井裏に潜り込んだところ、エアコンの風に煽られてくしゃみをしてしまい、会議中の社員たちを驚かせてしまったのだ。

「こ、これは…忍びの技が現代の気候に適応しておらぬとは!」

そう呟きながら、半蔵は己のくしゃみに少しの自戒を込めた。


しかし、忍びの本領発揮はその夜に訪れた。オフィスが静まり返った深夜、半蔵は一人こっそりと風林火山のデータベースにアクセスを試みる。忍び足で床を踏みしめ、ハイテクなキーボードの操作にも不慣れなまま打ち込み始める。

パスワードの欄に「SHINGEN-LOVE123」と入力してみると、あっさりとアクセス成功。

「信玄殿、これは油断が過ぎるでござるな…。」

彼が見つけたファイルには、なんと「謎のファンド」と風林火山の機密情報がびっしり記載されていた。巨大な出資額、最先端技術の供給リスト、そしてサムライ・スタートアップへの妨害計画…。

「これは…なんとまぁ、恐ろしき計画が立てられておるではないか!」


翌朝、半蔵は朝一番で信長と家康に報告を行った。

「信長様、家康様、風林火山には強力な支援者がいるようでございます。その名も『義の心ファンド』。奴らは資金と技術を提供し、我らの妨害を画策しておりまする。そしてこのファンドのトップは、上杉謙信・・」

信長は目を細め、静かに「謙信…」と呟いた。そして、家康に向かって言った。

「家康、俺たちも手を抜くわけにはいかん。これで明らかになったが、我らはもはや最強の2人が組んだ会社と全面対決することになる。」

家康も険しい表情で頷き、半蔵に礼を述べた。

「よくやった、半蔵。これからも引き続き任務に励んでくれ。」

半蔵は真剣な表情で一礼し、「かしこまりました!」と答えるも、心の中ではこう思っていた。

「現代の戦場も案外面白いものでござるな…。次はどんな任務が待っていることやら。」

こうして、半蔵はさらに現代社会の不思議な戦いに足を踏み入れていくのだった。

サムライ・スタートアップと風林火山&義の心ファンドの「仁義なきビジネス戦争」は、新たな局面を迎えようとしていた…。


一方で、このスパイ大作戦が藤井にバレた。

信長がオフィスに戻ると、藤井パートナーが待ち構えていた。いつも穏やかな藤井の顔が険しい。ドアを閉めると、いきなり「信長さん、あんた一体何やってるんだ?」と切り出した。

「…何のことだ?」

「服部半蔵だよ!家康さんから聞いたぞ、風林火山にスパイを送り込んだって!」

信長は軽く肩をすくめて、「お前、藤井、これも立派な戦略だ。風林火山が何をしているか見極めるためだぞ」と言い放った。

藤井は額に手を当て、「信長さん、あのね…ビジネスってのは戦国の戦いとは違うんだよ!なんかもう完全に倫理の外に行っちゃってるぞ!」

信長は鼻で笑って、「お前、藤井、それでも天下を取るには情報戦が肝心だろう。俺は抜かりなくやっている!」

藤井は目をむいて、「抜かりなくって…服部半蔵を会社のサーバーに忍び込ませるって、ヤバいだろ?普通に犯罪だぞ、これ!」

信長は涼しい顔で言い返した。「ふん、バレなければ問題ない。それに、お前もその『風林火山』の危なさを見ただろう?放っておいて、いずれ首を取られるのはこっちだ。」

藤井は深いため息をつき、少し呆れ顔で言った。「信長さん…もしバレたらどうすんだよ?風林火山だけじゃない、他の投資家たちも黙っちゃいないぞ。どうする?謝罪会見でも開くか?」

信長は一瞬、考え込むそぶりを見せたが、「バレたら?その時は俺が詫びを入れる…と言いたいがな、まぁ、それも策のうちだ」とどこか楽しそうに笑った。

藤井は肩を落としながら、「頼むから、普通にやってくれよ、信長さん。お前のせいで俺の胃に穴が開きそうなんだから…」

信長はニヤリと笑い、「藤井よ、お前も天下取りの片棒を担いでるんだ。その覚悟を決めろ!」

藤井は頭を抱えながら、「もう、信長さんがうまくいくことを祈るしかないか…」と呟いた。

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