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歯は体の健康と繋がっている

今回は、船越歯科医院 院長である船越栄次先生の著書
「なぜ、歯ぐきが健康な人ほどいつまでも長生きできるのか」
という本の内容を紹介します。

健康的な食べ物の知識や医療技術の発達によって、私たち日本人の寿命は
格段に延びていて、人生100年時代という言葉も登場しました。
日本人の寿命は、100歳を超える人がこれからさらに増えて
くるかもしれませんが、健康で自立した暮らしを維持できる健康寿命が
短くては意味がありません。

たとえ長生きしても、病気や体の不自由に苦しみながら余生を過ごすのは
辛いことですから、そのような事態を防ぐためには健康寿命を
延ばすことに注目していかなければなりません。
歯科医である本書の著者が注目しているのは健康な歯ぐきで、
長年の治療経験とあらゆる研究によって明らかになった
歯ぐきと体の関係性が紹介されています。


歯学博士である森下真紀先生の著書では、「鏡を見ながら歯ぐきの境目や
歯の隙間を歯磨きしていると、どんなに頑張っても歯ブラシだけで
全てのプラークを除去することには限界がある」と書いていて、
歯ブラシだけでは60%しかキレイにできないと言っていました。

皆さんは、自分の歯は大丈夫だと言えるでしょうか?

・・・・・・

今回の内容を通して、口内環境のケアを大切にして、健康寿命を
維持するためのポイントを勉強しましょう。
今回の内容を読めば、きっとあなたも歯の健康を意識して
いただけるでしょう。





アンチエイジングと歯

健康な歯ぐきが体の健康にどのような影響を与えるのかについて、
皆さんは理解しているでしょうか?

・・・・・・

歯を大切にしてくださいと言っても、漠然としたアドバイスだけでは
イマイチ納得しづらいと思いますので、健康な歯ぐきが体の健康に
どのような影響を与えるのか理解していただきたいと思います。

そこでまずは、歯ぐきが健康で防げる病気を確認していきましょう。
メリットが把握できれば、口内環境への関心も高まってくるはずです。

現在の日本は、男女ともに平均寿命が80歳を超える長寿の国として
知られていますが、この寿命の中には男性で9年前後、女性は12年前後の
介護が必要な期間が含まれています。
この現状を見ると、いくら長生きできると言っても人生の最後は
病気や老いに苦しまないといけない悲しい現実があると分かります。



長生きしても、健康で充実した人生を送れなければ意味が
ありませんから、そこで注目されているのがアンチエイジングです。
アンチエイジングというのは、外見や内面を若返らせる
様々な方法のことで、需要が高まっている現代では、
医学や美容の分野で研究が続けられています。

運動や食事、睡眠、美容などのアンチエイジングは、
不健康な歯ぐきで口内環境にトラブルを持っている人のことは
考慮していませんから、健康な歯ぐきを大前提としています。
健康な歯ぐきでしっかり食いしばることができなければ
効果的な運動は行えず、食べ物をしっかり咀嚼できなければ
満足な食事も難しくなります。

さらに、不健康な歯ぐきを放置して多くの歯を失ってしまえば、
顔の印象や話し方も変わってしまいます。
顔は歯があるときと比べてずっと老け込んだ印象となり、
話し方においては、歯がないことによる発音の悪さが
目立つようになってしまいます。
このような状態では、アンチエイジングに力を入れても
健康的な若さを目指すことはできません。

つまり、若くあるためのアンチエイジングのベースには、
健康な歯ぐきが必要であるということです。
高齢になっても健康で人生を送るには、その土台となる歯ぐきをケアして
いかなければならないのです。





咀嚼は脳の活性化に必要不可欠

歯ぐきを健康的に維持することが体の健康に繋がっていると
説明しましたが、自分の歯で食べ物を咀嚼するということは
脳に直接刺激を送るため、脳の活性化に欠かせない行為であると
判明しています。
つまり、脳の働きも健康な歯ぐきを前提として成り立っているのです。

何か食べ物を口に入れたとき、私たちはその食べ物を分析するために、
脳がフル稼働で動き始めます。
口の中に入っている食べ物が硬いか、柔らかいか、甘いか、辛いかという
ことがすぐに分かるのは、脳が食べ物を分析しているためです。

さらに、最新の医学でも咀嚼の重要性は証明されていて、咀嚼による
脳の刺激が認知症予防に繋がることが分かっています。
実際に介護施設で行われた調査でも、入れ歯が合っていなくて
かみ合わせが悪い人や、入れ歯をしていなくて常に歯がない状態の人は、
認知症を発症しやすいということが報告されています。



著者も、40年以上歯科医として診察してきましたが、歯ぐきが健康で
咀嚼がしっかり行える人は、高齢になっても元気で
意欲的な人が多いと実感しています。
これは、咀嚼がいかに脳を正常に保つか分かる事例です。

このように、しっかりとした咀嚼をいつまでも続けるためには、
歯と歯ぐきの健康を守らなければなりません。
全く関係がないように思える歯ぐきと脳の健康は、咀嚼を通して
深い繋がりを持っていたのです。





歯周病を防げ!

きちんと毎日歯磨きしているはずなのに、歯ぐきがボロボロに
なっていくのは、歯周病菌のせいです。
口の中には400~700種類の細菌がいて、歯や歯ぐきの表面、舌、
頬の内側など、口腔内のあらゆる場所に存在しており、
歯磨きを習慣化している人でも1,000億~2,000億個の細菌が存在し、
歯磨きをあまりしない人では4,000億~6,000億個もの
細菌がいると言われています。

口腔内の細菌は大きく分けて善玉菌と悪玉菌、そして日和見菌の3種類に
分けることができますが、悪玉菌の中には歯ぐきを弱らせる
歯周病菌も含まれています。

歯周病菌は100種類以上存在し、歯ぐきに炎症を引き起こす
原因になります。
タンパク質をエサとして増殖し、歯に付着して歯と歯ぐきの間に
潜り込んでいくことで歯周病となってしまう訳ですが、この歯周病は
進行していくと歯ぐきだけではなく、中の骨まで溶けてしまい、
やがて歯を失ってしまいます。



歯周病は30代以上の8割が罹っていることで有名な疾患ですから、
大人の殆どは歯周病になっていると言っても過言ではありません。
歯周病菌は、口内で悪さをするだけに留まらず、大病の原因にも
なると分かっています。

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