
月夜のたまさんのオススメ韓国映画『詩人の恋』を観た感想を書いてみました。
今日も私のnoteを読んでくださりありがとうございます。
candy@です。
いつも素晴らしい表現や描写で映画のレビューを書かれている
月夜のたまさんが先日紹介されていた韓国映画『詩人の恋』
たまさんのレビューから興味を持ったので観てみました。
とてもしっとりと心に余韻の残る映画でした。
『詩人の恋』
たまさんの記事にあらすじは書かれているので詳しくは書きませんが
タイトルから線が細くて陰のある繊細な詩人が美しい女性に恋をする物語かなと一瞬思います。
しかしこの詩人は体型も少し太り気味で背も低い、いつも自信なげな表情でパッとしない男性です。

詩人のテッキ
彼の創作した詩も最近はあまり評価されないし、スランプに陥っています。
全然売れない詩人なんです。
結婚はしていますが家計は妻の働きで賄っている状態です。
そんな彼が恋に落ちる相手は 美しい青年セユン
その時点で叶わぬ恋だとなんとなく想像してしまいます。
セユンは寝たきりの父親と、気が強く冷淡な母親と暮らしていて貧しい生活
家族(家庭)にも恵まれていません。
でも父親のことは心の底では愛しています。
ちょっと報われない人生に、やけになっている彼は不良たちと遊んだり
学校にも行かずドーナッツ屋さんでアルバイトをしています。
そんな孤独を抱えるどこか悲しげなセユンに一目惚れしてしまう詩人のテッキ
ちょうど妊活中の妻のガンスンが妊娠した頃でした。
ガンスンは夫の変わった様子に気づきます。
それは彼がセユンと出会って書いた詩から彼女は察するのです。
『夫には好きな人がいると』

やがてそれは女性ではなく青年(男性)なんだとわかります。
働き者でしっかり者の妻のガンスンはテッキにあれこれきつい言葉を投げかけますが、本当は詩人である優しい夫を愛していると思いました。
彼女がテッキに内緒でセユンと会って、『別れて欲しい』と言うシーンでそのことをとても感じました。
結婚前にテッキが彼女に会いにきたが会えなかった帰り道、彼の後ろを追いかけて見た彼の仕草に愛おしさを感じたことをセユンに話します。
「バス停までの短い距離なのに空を見上げたり、道端に立ち止まったり、花屋さんで花を見つめたり・・・詩人さんって私とは違う世界を生きているんだな〜と思ったの」
ハンサムでもお金持ちでも才能があるわけでもないテッキ
でも彼は優しさは人よりも多くて溢れているんです。
そしてそれをセユンに押し付けるのでもなく不器用ですが彼なりのやり方で地味に与えるのでした。
一見したら父性愛のようにも見えるのです。
お互いにこれが恋愛感情なのかそれとも同情なのかわからない時もありました。
そんな夫の揺れ動く心の機微を察知した彼女は、心のどこかでテッキが妻を愛してはいないと感じていて
あえて気乗りしない夫を駆り立てて妊活に積極的になっていたのだと思いました。
優しい夫なら子供と妻を見捨てないからと信じて
「人間って欲張りね、
結婚できない時は結婚できさえすればいいと思っていたのに、結婚できれば子供も欲しくなるなんて」とガンスンがテッキに言います。
彼女の言葉には何か確かなものがないと(例えば子供)彼をいつか失ってしまうのかもしれないという不安が見え隠れするのです。
テッキはセユンと家族のどちらを選ぶのか?
初めは妊娠した妻と別れてセユンと生きようとテッキは決めます。
そしてセユンにその気持ちを伝えにいくんです。
しかしテッキの気持ちはストレートにセユンには届きません。
結局、殴り合いの喧嘩になって別れてしまいます。
きっとセユンも悩んでいたのです、奥さんと子供のことも考えて。
その後
テッキはセユンとの苦しい恋のおかげなのでしょう、人間としても深みが出て、成長し人の心を打つ素晴らしい詩を創作することができました。
それは出版されるほどにまでになりました。
そしてテッキはいつかセユンに会う日のためにお金を用意していたんです。
詩人として成功したテッキのところに不良から立ち直ったセユンが会いにきます。バイク便の仕事をしていてテッキの出版された本を届けに来るんです。
セユンはテッキの生まれてくる子供のために別れを選んだ、とその時打ち明けます。
そして今度はセユンがテッキに一緒に生きようと言い出すんです。
しかしテッキは大金の入ったキャッシュカードを渡して好きなことをするために使えと言います。
「俺もお前を利用したんだ、俺がお前と一緒に生きていくはずがない」と
わざと冷たい態度でテッキはセユンを突き放します。
そこにもテッキの優しさが溢れているんです。
実は以前にもテッキはセユンにお金を渡したことがありました。
その時は無様ですがセユンを失いたくなくて彼を繋ぎ止めるために・・・
今回は違いました。
彼はセユンと別れるためにお金を渡したんです。
それは彼の心のけじめとしてどうしても必要なことだったから
そしてどこにも行けないと嘆くセユンが羽ばたくことができるように
彼はやっぱり妻と生まれてきた子供を見捨てることはできなかったし
未来ある若いセユンを束縛したくない、自由に飛び立たせたかった
それはセユンへの恋心が愛へ変わった瞬間でもありました。
人は全てを手にすることは難しい
詩人としては成功を手にいれたかもしれませんが、セユンとの恋は諦めなければならなかった、そしてそれを選んだんです。
最後のシーンで詩を書き終わったテッキが彼のそばで眠っている我が子を見つめて ひとすじの涙を流します。
これでテッキの恋は終わったのだというかのように・・・
恋は実らないから美しい
それが初恋なら、なおいっそう美しい・・・
テッキのセリフに「詩人は悲しんでいる人の代わりに泣いてあげる人」という言葉があります。優しいテッキはこれからも心の中で泣くのでしょう。 それは彼が詩人であり続けることを意味するのでしょう。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
そして月夜のたまさん素敵な映画を教えてくれてありがとうございました。
映画の予告編です。
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