【回顧録】アーサー王からプログレ、葛生千夏へ派生しグラン・ローヴァ物語に沼った話
文字にするのは初めてだと思うが、私は幼い頃から神話や伝説を読むのが好きだった。
「円卓の騎士物語 燃えろアーサー白馬の王子」
きっかけはドラゴンクエストや指輪物語が流行るずっと前、小学生の時に見た「アーサー王物語」のアニメ。
アーサー王物語といえばファンタジーの原点ともいえる北欧伝説だが、当時のアニメは「燃えろアーサー・白馬の王子」という残念なタイトルに加え原作にはない敵キャラが出てきたりして、ファンタジー要素はあまり無かった。
アーサー王役は熱血声優の神谷明さん、トリスタン役はクールな井上真樹夫さん。
というのも、当時はロボットアニメ全盛期。
放送時間帯も日曜19時のロボットアニメ枠だったから、ヒーロー色を前面に打ち出したかったのだろう。
関連グッズが売れるわけでもない異国の伝説をアニメ化するなんて、よくスポンサーがOKしたなぁと思うが(玩具化されたのは聖剣エクスカリバーぐらいでは?)、お子様向けゴールデンタイムだったこともあり、私の周囲では結構視聴率が高かった。(特に女子)
「トリスタンとイゾルテ」のトリスタンはアーサー王物語の円卓の騎士の1人。
アーサー王繋がりでファンタジーの世界へ
さてこのアーサー王物語との出会いをきっかけに、私は歴史物やファンタジー系の漫画や小説を読むようになった。
ちょうど世代だったというのもあるのだろう、私の愛読雑誌は商業誌の中でもファンタジー要素高めな「花とゆめ」「プリンセス」からオタク指数高めの「コミックトム」へ、小説なら「朝日ソノラマ文庫」(元祖ラノベ。懐かしい!)からハヤカワ文庫にまで派生。
かの名作グイン・サーガなどは難しくてよくわからないくせに背伸びして読んでいた。(10巻ほどで挫折)
絵はあまり好みではなかったが、指輪物語から影響を受けた「妖精国の騎士」、ギリシャ神話を題材にした「アリーズ」なんかもよく読んでいた。
しかし当時はネットやSNSも無かった時代。
漫画ならともかくファンタジー小説ともなると、同じ嗜好の友達は皆無だった。
それでなくとも好きなものほど人に言えないタイプの私である。
この秘密の趣味を誰かと共有することはついぞ無く、やがてRPGやアニメなどで再現され始めた時は、自分の感性が認められたようで嬉しかった反面、その商業路線化に少し萎えた。(今で言う同担拒否?)
ファンタジー繋がりで古楽からプログレへ
やがてこのノスタルジック志向(嗜好?)は、音楽にも派生。
大人になってからはケルト音楽やバロック音楽といった古楽に傾倒し、それ系の楽器をプロについて習ったり(この話題は身バレ必至なのでなかなか書けない)、一大ブームとなったプログレッシブ・ロック(リック・ウェイクマンとか IONAとか)を聞いた時期もあった。
こちらは初めて買ったプログレのCD。
イエスの元メンバー、リック・ウェイクマンのアルバム。
和製プログレミュージシャン葛生千夏さんと出会う
その流れの中でたまたま出会ったのが、日本のプログレミュージシャン(と呼んでいいのだろうか)葛生千夏さんの音楽。
有名なところではゲーム「ポピュラス」のメインテーマや「ファイナルファンタジーⅥ」のCMソングになるかと思うが、彼女はDTM(デスクトップ・ミュージック)業界では知る人ぞ知る偉才のアーティストだった。
ポピュラスのメインテーマ
私が葛生さんを知ったのはゲーム音楽からではなく、やはりアーサー王繋がり。
彼女は元々、慶応大学で高宮利行氏(アーサー王研究の第一人者)に師事しイギリス中世文学を研究していたそうで、私は高宮氏のアーサー王関連の本を追いかけていた折に偶然彼女を知った。
たしか初めての出会いは「ユリイカ」での対談特集だった。(わが家の本棚にもある)
彼女の代表アルバム「シャロットの女」を初めて聞いた時は、雷に打たれたような衝撃を受けた。
なぜなら私のアーサー王伝説のイメージそのままの世界だったから。
Amazonで検索したところ、CDは既に廃盤だった。
タイトル曲 Lady of Shalottは、イギリスの詩人アルフレッド・テニスンの詩に曲をつけた作品。
塔に幽閉されたエレイン姫はアーサー王の忠臣ランスロット卿(実はアーサー王の妃と熱愛不倫中のモテ男)に恋焦がれ・・・という切ないお話なのだが、後にこのストーリーはさまざまな物語にアレンジされ、今に語り継がれている。
こちらはファイナルファンタジーⅥ
久しぶりに曲を聞き返してみると、RPGとファンタジーとの親和性もさることながら、ケルト文学に造詣の深い彼女が作る音楽とファンタジーの親和性は必然だったのだとつくづく思う。
葛生千夏さんを聴き漫画「グラン・ローヴァ物語」にハマる
更にこのCDから派生して、葛生さんがイメージアルバムに参加していた「グラン・ローヴァ物語」にもハマった。
当時はマイナーな漫画だと思っていたが、イメージアルバムが作られたということは一定の人気があったのだろう。
こちらのイメージアルバムも既に廃盤。
イメージアルバムの影響を受け、この漫画の世界観には見事に引き込まれた。
調べてみるとやはりというか、作者の紫堂恭子さんは指輪物語の作者トールキンに多大な影響を受けた方だった。
その作風は一見少女漫画、でもどことなく同人ぽさ(失礼)と劇画感が同居するのはそのマニアック性ゆえ?
ちなみに現在葛生さんは(おそらく研究のため)イギリスへ留学され、音楽活動は休止中。
たまにバラエティ番組の効果音などに彼女の音源が使われているのを聴くのみだが、そのたびに音が穢れるからやめてくれー‼︎と叫びたくなる、いちオールドファンなのだった。
以上、コアな話題におつきあいいただきありがとうございました。
(サブカル趣味に寛容なnoteの風土に感謝!)
Lady of Shalottというバラの品種もあるようです。