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フランシス・ベーコン著、佐藤けんいち編訳(2021)『超訳 ベーコン 未来をひらく言葉 エッセンシャル版』株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン

簡潔で理解しやすい人生訓

このシリーズは、休み時間にサクッと読めるのと、Kindle unlimitedを利用して読めるので、気軽に読書ができることから重宝しています。今回はベーコンを選択してみました。著者のベーコンに関しては、日本ではあまり知られていない方なのかも知れませんね。

それだけに本書の「はじめに」のところでのベーコンの人となりや背景を解説してあることで、これからベーコンのエッセンスに触れる前に準備が整う手筈になっている本書の構成は素晴らしいと思う。

最初のエッセンスは「チャンスを逃すな」という点で、世の中チャンスが多い人は良いけれど、なかなか絶好のチャンスというのは巡ってこないことが多い。でもその稀なチャンスにきちんと仕事をすることができた時の感動は忘れがたく、そのチャンスに巡り合うために自身の技量を磨くことだったりする。

そして「変化をおそれるな」、「過去にとらわれるな」と続く。
最初からストライクゾーンにビシッと決まるフレーズで語りかけてくれることが素晴らしい…
言葉では簡単であるけれど、人間自分が変化することとなると躊躇するし、誰でも自分の過去を美化しやすく、その過去を気にしてしまうと、それこそチャンスを逃してしまうもので…

「逆境でこそ美徳が輝く」というのも力強い言葉で、自分も肺がんのステージ3Aながら抗がん剤として分子標的薬の効用に頼り生命を繋いでいる状態でありながらも、組織の不正を警告し、その不正が隠蔽されることに納得できず、さっさと仕事をやめてしまった。高い薬代を考えれば組織にぶら下がることの方が楽だったかも知れないが、それでも専門職倫理としては許せないものに従うことはできないということで、一気に人生が逆境になってしまった。ただ自分としての美徳は守ることができた…

そんな状況でも、まだしぶとく生きていられるのも、この「逆境でこそ美徳が輝く」という言葉に親しみを感じるのも、その選択は間違っていなかったと思うからこそなのであろう…

本書は、ビジネスでの考え方として「競争相手がいない分野を選べ」や「高い地位は幸せをもたらさない」など合致しているところも多く、また「なにごとも自分の手柄とは思わないこと」「猜疑心は頭脳の欠陥だ」「多く知れば猜疑心はやわらぐ」という点や、「傷つきやすい人は怒りやすい」というサラリーマンだったら良く経験しているであろうことや、「怒りを抑える最上の方法は時間を稼ぐこと」等の処世術もしっかりと書かれている。

また「悪を知らなければ善は無防備になる」という教訓も登場するし、「完璧なお世辞や気配りは逆効果」、「復讐しないのは真の勝利」「復讐を考え続ける人生は不幸だ」など、その考え方に共感できる。復讐するような時間があれば、それを自分の時間として別のものに使った方が、よっぽど自分のためになるわけで、人間の器の大きさを示すという点では参照出来るだろう…

その他、本書からは学習に関して「哲学や基礎研究があらゆる学問を育てる養分になる」ことや「学ぶとは自分の成長を実感すること」、「学問は実際に役立つ」ということで、わたし自身も社会人になってから大学、大学院を働きながら修了したので、それにより歳はとっても可能性は広がったことを実感しているので、納得できた次第。

今回も、この本のシリーズで、休み時間に貴重な視座を得るとともに、そこから色々と考えることができた。

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