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堀紘一・津田久資著(2024)『本物のコンサルを選ぶ技術』クロスメディア・パブリッシング

コンサルとはどういうものかを理解しやすく語った本

年末年始の休みに読んでみました。以前から堀紘一氏の本は読んでいて、久しぶりの新刊だったのと、わたし自身がコンサルに転職したこともあって、興味深く読ませていただいた。

コンサルとして考えることの本質を理解しているかという点と、自分の頭で考え尽くしたのかという点は、社会人としても重要なことだと思う。これら基本となることを惜しみなく語られている点で、本書はコンサルなりたての人には参考に、既にベテランの域にある人にとっても、これまでの振り返りに適した本であると思う。

また昨今の「コンサルタントの俗化現象」とも言える事態を憂いており、本来のコンサル業に営んでいれば、安かろう、悪かろうのコンサルティングは生まれる余地はないと言い切る。

ハーバードでは「考えること」を教えており、単なるフレームワークや知識だけではないこともわかる。わたしが通ったMBAも単なる知識の吸収ではなく、ケースメソッドで徹底的に考えることを鍛えられたので、その点ではハーバードと同じく考えることを学べたような気もする。

本書では、コンサル側の問題点も指摘されるが、コンサルを使う側の問題点も多く指摘されており、この辺のことまで網羅できている本は少ない中で、本書の内容は大変良いと感じた。特に後出しジャンケンで細かいところにケチをつける点は、多くのコンサルをした人には良くあるケースではないだろうか。つまりは本質的な議論や方向性に合致していることなのかという点で齟齬が生まれている可能性があるということであろう。

考えるための拡散と収束、企業が抱える真の問題点やその本質、そして基礎となる演繹と帰納、この辺はきちんとおさえておかないと、社会人として論理的に説明することも出来ないだろう。

面白い視点では「結論仮説」というもので、いわゆる仮説検証なのであるが、ある程度の結論は熟練してくれば予測できるのかも知れないが、それを徹底的にクライアントに理解させながら進めることで、検証し共有していく過程を大切にしている点である。実はそれがクライアントとの共感に繋がり、その後のコミュニケーションや信頼性構築に寄与するということが理解できる。

さて、実際にコンサルを行うと、実はクライアント側にもMBAやDBAで学んだような人がいることも多い。その中で如何にそのクライアントの課題の本質に根ざした解決策を提示できるか、納得感を得られるのか、昨今はハードルも高くなっている。また、有名なコンサルでもクライアント側がメリットを感じなければ契約を即座に切ろうとすることも多くなってきたように思う。

その意味では、コンサルタントの俗化現象が進む中で、どう抜きん出たコンサルができるのか、本書を一読してみると、色々とヒントが隠されていることを知ることだろう。特にコンサル成りたての人には読んでみて欲しい、そんな一冊だった。

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