【今週の週末ワインごはん】#49 皮ごとかぼちゃのニョッキ栗ソースといわしバター再び、ワインにぴったりディップ3種
先々週の週末ごはんは、久々にディップをいろいろ作りたくなった。
我が家はパン、特にバゲットやカンパーニュなどハード系のパンでワインを飲むのが好きで、以前ギリシャをはじめとした地中海諸国の料理にはまったのを機にパンによく合うディップを作るようになった。ギリシャにはディップ類を含む「メゼ」と呼ばれる前菜料理が豊富でどれも美味しく、パンでディップが食べたいな、と思うとギリシャ料理の資料を見返すことが多い。
それと、実家から届いたかぼちゃが美味しそうなのでこれまた久々にニョッキを作った。通常かぼちゃのニョッキは固い皮は除いて作られるが、このかぼちゃがあまりに美味しそうなので皮ごと使いたく、皮ごとレンジで柔らかく蒸した後、ブレンダーでなめらかにマッシュして成形。かぼちゃを丸ごと食べているような、秋らしくてとても美味しいニョッキができあがった。ソースには冷凍していた栗を使ってより秋らしく。
◆ディップ3種(左からブロッコリーのエリオサラタ、ビーツのフムス、栗あずきの甘麹和え)
①ブロッコリーのエリオサラタ
「エリオサラタ」はギリシャのメゼ料理の一種で、レンズ豆+黒オリーブ+アンチョビにオレガノやにんにく、レモン汁を混ぜて作られる。気に入って時々つくるのだが、今回は思い付きでブロッコリーをベースにしてみた。茹でブロッコリーとレンズ豆には共通した風味があって相性も良く、ブロッコリー自体アンチョビやオリーブとの相性も良いので美味しいのでは?と。大正解。とても美味しかったので、ブロッコリーがある時期は定番になりそう。
今回は以下のレシピで。ブロッコリーよりもレンズ豆がやや少なめのイメージで、材料は全てフードプロセッサに入れて回して味を調整。3時間ほど経ってからの方が味がなじんで美味しい。冷蔵庫で2~3日保存可。
・茹でブロッコリー:50g
・レンズ豆(乾燥での重量):20g(茹でる)
・アンチョビ(自家製なので市販より塩分低め):2尾
・グリーンオリーブ:大5粒(本来のエリオサラタにはブラックオリーブを使うが、ブロッコリーにはグリーンオリーブの穏やかな風味の方が合うと思ったので)
・すりにんにく:少々(入れ過ぎると角が立つのでごくちょっぴり)
・オレガノ:適量(こすり合わせて入れると香りがよく出る)
・レモン汁:1/2個分(水分や味を見て調整)
・オリーブオイル:お好みで(アンチョビの油もあるので私はあまり加えませんが、お好みで)
②ビーツのフムス
ひよこ豆のディップ、フムスはご存知の方も多いと思う。元々レバノン料理だがその美味しさから全世界的に広まり、フランスやアメリカでもかなり好まれているようだ。ヴィーガン食として栄養豊富だからでもあるだろう。これもよく作るディップのひとつだが、今回は色鮮やかなビーツを混ぜた。ひよこ豆とビーツも相性の良い組み合わせの一つで、ビーツの土っぽさが気にならず、なんと言っても色が綺麗で食卓が華やぐ。
こちらも材料を揃えたら全部フードプロセッサに入れて回し、味を調えるだけ。作ってから1~2時間置いた方が味が落ち着く。保存は冷蔵庫で1~2日。
・茹でたビーツ(市販の水煮等でも可):50g
・茹でレンズ豆:50g(ビーツと同量)
・練りごま:大さじ1~2
・すりにんにく:少々(エリオサラタと同様、ごく微量)
・レモン汁:1/2個分(こちらも味や香りで調整)
・クミン:小さじ1/4程度(入れるとぐっとフムスらしい香りに)
・塩:微量
・オリーブオイル:少々(練りごまの油もあるので控えめでOK)
③茹で小豆と栗の甘麹(甘酒)ディップ
なんとなく負けた感じの一品。元々は茹で小豆に砕いた栗を混ぜ、塩味のディップを作ろうと着想していたのだがどうにも納得のいく味にならず、やむなく甘麹を加えて間違いのない味に。美味しいけれど意図とは異なる出来なので、レシピなし。
小豆はどうしてもあんこの味を舌が覚えすぎていて、なかなか冒険や発想の転換ができない。まあ、美味しい小豆なら茹でて軽く塩をしただけで十分美味しいんですけどね。
◆いわしバター再び
オイルサーディン+バター+レモン汁、という材料を見ただけで罪深いいわしバターは、以前一度取り上げている。この時もディップ祭りだった模様。
間違いなく美味しい一品だが、変化をつけたくて今回はレーズンを加えてみた。レーズンバターいわし版、という訳だがこれまた美味しく、控えめに少量つくったところあっという間になくなった。
オイルサーディンは竹中罐詰の天橋立オイルサーディンを愛用している。綿実油が非常にさらっとしてくせがなく、良い意味でいわし臭さがないので使いやすい。このオイルサーディンならレーズンとも全く喧嘩しない。
今回は以下のレシピで。こちらはフードプロセッサにかけるまでもなく、フォークの背等で簡単につぶれるし、少し食感を残した方が美味しいので木のスプーンやフォークで混ぜると美味しくできると思う。これも作ってから数時間置いた方が美味しく、冷蔵庫で3~4日はもつ。
・オイルサーディン:1/2缶(油を切って粗くつぶす)
・バター:20g(室温に置くか軽くレンジにかけて柔らかくする)
・レモン汁:1/2個分(水分量や味に合わせて増減)
・レーズン(なくてもよい):大さじ1(ぬるま湯か水でもどして粗く刻む)
・塩、こしょう:各少々
なお、残ったオイルサーディンは刻んだキャベツと共に春巻きの皮で巻き、クミン少々を振って揚げ焼きに。おつまみとして最高です。
◆皮ごとかぼちゃニョッキ、栗のブルーチーズソース
丸ごとの茹で栗も数個入っているので栗とニョッキがわかりにくい見た目になってしまったけれど、かぼちゃ小1/2個(種とわたを除いて正味160g)からニョッキ14個で2人分。
ソースは特になくても美味しいけれど、今回はブルーチーズの風味が食べたくなって合わせた。勿論大変美味しい。
作り方は至って簡単だけれど、ベースのかぼちゃをとにかくなめらかにすりつぶすことが肝要。これでできあがりの美味しさ(舌触り)が違ってくる。ブレンダーがない方は裏ごしするとよいと思う。丁寧につくると本当に美味しいです。
ニョッキの分量は、
・かぼちゃ:正味160g(種とわたを除いた重量。皮ごと柔らかく蒸すかレンチンし、ブレンダーでなめらかにマッシュ)
・薄力粉:30g(様子を見ながら加える)
・塩:ひとつまみ
これらをよく混ぜて打ち粉をした台の上で直径2.5~3cm程度の棒状にし、包丁で3cm程度に切って行く。模様をつけたりしても良いけれど、お互いくっつき合わないよう打ち粉をよくまぶしておき、食べる直前に茹でる。茹でる際は、浮き上がってからさらに1分程度が程よく火が通る加減。
ソースは牛乳200ccを半分程度に煮詰め、ブルーチーズ適量と黒こしょうを加えたものがベース。バターや生クリームを加えるとより濃厚で美味しい。今回はここに丸ごとの茹で栗と砕いた(というより砕けた)栗が数個入っている。茹でたてのニョッキを絡めて完成。
あとは大あさりを使った茄子とピーマンのサガナキ。
サガナキはギリシャ風「焼きチーズ」で、トマトソースを使う場合もあり、私はこちらのバージョンをよくつくる。角切り茄子と細切りピーマン、玉ねぎをフライパンで炒めてトマトを加え、少し煮込んで塩とオレガノで味を調え、耐熱皿に入れてフェタチーズをのせてオーブンで焼く。これもパンにいたくよく合う。ギリシャ料理は田舎っぽいちょっとバサッとしたパンに合う料理が多く、私のパンの好みと合っているので登場頻度が高い。野菜のサガナキには、海鮮の風味をちょっと加えると抜群に美味しくなる。
この日のワインは、ボージョレにはまだ少し早いけれど、カーブドッチから届いたばかりのファンピーヌーヴォー2024。開栓したては青りんごっぽい香りでやや固さや味の淡さ、ヌーヴォーっぽい若さも感じるものの、飲み進むうちにどんどん強力になるのがいかにもカーブドッチ。美味しかったです。