🔲〈書評〉訂正可能性の哲学（東 浩紀 著）3

※ 訂正可能性の哲学での 書評と感想を書いています。

※ （本書文から） 
△ 著者は、人工知能民主主義（著者 造語）は、実現しないと、断言されています。
※ 確かに、シンギュラリティは かなり先の話ですし、全てAI判断は危険ですから、人々が納得はしないでしょう。
そして、データを改ざん する者もいるかもしれませんし、アルゴリズムを自分達の都合のよいものに する者もいるかもしれません。・なにせ、今でも ある種の誘導はあります。（バカにしているのか？と思う動画等 薦めてくる場合あります）

△ 著者は、ビッグデータからは、個人の全体像を捉えるのが 難しいと。そして 何でも全体の割合として 捉えるので、個人が その割合のものと違っていても、おまえは こうだ！と決めつけられてしまうと。
そして それが差別と偏見に繋がると、危惧されています。

※ 私見では、前記のこと その通りと思いますし、個人がない社会は、暗黒の世界です。（一部に都合のいい 固定観念の全体主義へ。そして 完全な監視・管理社会へとの 可能性が大）
しかし、ここでも 差別するのと、良いものを求めるは、区別して考えることが いると思われます。
・そのいい例が、子宮頸がんワクチン。ごく一部の副作用でる者のことで騒いで、年間 三千人 見殺し的。もちろん、少数の犠牲は仕方がないと 言うつもりはありません。しかし ワクチン打てば（若い頃） 助かるものを悪くいい、（特に左派 メディア・一種の偏見報道）年間 三千人見殺しとは、酷い話です。

△ 本書には、アルゴリズム的統治性（造語）のことが 紹介されています。
著者は、このことでも 差別 偏見にが 問題と。そして 割合だけで済ますので、アブノーマルを放置してしまうと 危惧されています。

※ 私見では、もし AIアルゴリズムが進めば、監視 管理社会も進むと思われますので、アブノーマルな者も かなりマークされます。（この本書で あとで出てくる、中国・予防拘禁のように）
・今でも なんだかの 監視・マークは、ある場合も ありますが。

△ 本書には、社会心理学者 ショシャナ ズボフ氏 書籍中での、ビッグデータ関連事項があり、興味深い内容です。

△ 本書中、分割投票制と委任投票制のことが記されています。
・このことで 著者、個人の主体と 投票後（悪政あったとき）の後悔がなくなると 危惧されています。

※ このことでの 私見は 、良心をもって主体的に考える人が、どれほどいるか？真面目に後悔する人が どれほどいるか？です。（外環境とか知識量の問題で）
・ちゃんとした 思考力 （理性とも）持っている人は、人口の半分程度と言う 学者もいます。
・そして、人間 それぞれに 理屈をもっています。（ご都合主義も含めて、自分のことを棚にあげても）また そうでないと やってられない、生きていけない 人々もいます。（自尊心メーター 保つため）

（また 世の中、自信がない為での、うつ病者だらけに してはいけない、という考えも必要です）

・それから、 意見（それぞれの理屈）の相違  対立があるはずです。（だから、AI判断でと、いう声も出てくる）
・こういうことは、よい生まれ、育ち的、一流大まで行けた 人達には、分かりずらいことかも しれません。（特に 同じ様なレベルの者としか 付き合わない者は）
※ それでも、投票での一番の要因は、自身の利害関係ですが。そして どんなものでも、やってみないと分からないは あります。（改善、訂正ありきで）

※ あと 私見で、データ系・I T系の人達から、AI分析、アルゴリズムに、人の心理面のことを入れるとの声も ありそうです。（定性分析的）
・そして ゲーム理論でのジョン フォン ノイマンのように、データ、アルゴリズムでの分析は 大まかなものが 分かるもので、全てが分かる訳ではない。との声も多くあるでしょう。（当然 理工系にも賢い人は たくさんいる）

△ 本書中、著者は 主義・主張に対し、遡行的訂正可能性をと 訴えられています。
※ これには、クリティカル シンキング・批判的思考力（良い面と悪い面を見分ける力）がいると考えられます。
知性（思考力、判断力）は大事です。

△ 著者は、ルソーの小説、新エロイーズから、独自の解釈を示されています。
「僕たちは、ゲームとゲームでないもの、社会と社会でないもの、愛と愛でないものを 区別することができないと」
※ 私見では、これでは全て相対主義になってしまう、社会にとってよくないこと。（何も答えはないのだから、デタラメでいいとか、言いだす輩もでだす。そして うつ病者やカルト宗教へも増える）
・その人その人で、何か定義するが いります。（たとえ ジョハリの窓 的ものがあっても）
もちろん、著者が言われる通り、訂正（変化）することもあると、認めたうえで。
（他者に、一方的迷惑をかけない、という 条件がつきますが）

△ この書には、ミハイル バフチン（旧ソ連 哲学者）についての、著者の考察が 述べられています。
・そこから、ドストエフスキーは 進歩主義には 反発していたと。
例として、ドストエフスキー地下室の手記  中に、
「人間は、決して理性や利益の命ずる ところではなく、自分の望み通りに行動することを 好んだのだ。自己の利益どおりに することもあれば、利益に反することを望む場合もあると」
・この文から、著者は、 人間には全体を拒否し 破壊する自由もあると。ユートピアも 決して全員を救うことはできない、これがドストエフスキーの哲学だと。
※（私見で、前記のドストエフスキー文は 心理学の出番です）
そして 前の文、逆説的には、幸せな人間が多い世の中を 少数の自分勝手な人間のせいで、壊すなどは 許されないということ、何でもかんでも反発すれぱいいということではないと、考えられます。
世の中 その場その時での、ある種の ルールと道徳（信念的）はいります。
ドストエフスキーも、のちの円熟期の作品には、何にでも限度がある 節度がいるとのことを 記しています。
（結局 理性・知性がいる）
その限度、節度で もめるときありますが。
・このことから、ドストエフスキーも 著者の論理 通り、訂正・変化したと いえるかもしれません。

△ 本書中、ミハイル バフチンのドストエフスキー小説での、多音声（ポリフォニー）のことが記されています。

※ 私見で、ドストエフスキーについては、天才 ドストエフスキー あらゆる人の立場での 意見と感情表現が できた。
・（安部公房は 現実を小説に落としこんだ と評価しています。ドストエフスキー小説）

△ 著者の、アレクシ ド トクヴィル
・アメリカの民主主義に対する、ハーバマスとは違う解釈がでており、素晴らしい内容です。
・（なるほど と、思う考察です）

△ 著者は、正義とは、訂正を続けて いくことであると。※（何でも変えるは 問題ですが）

※ そして、正義に関連して 私が思うところは、近年 正義という言葉が、マスゴミの手により貶められた、ということです。まるで、自己中心的人間の言葉みたいに なっている。原因の一つに、既得権益者たちが、庶民にあまり正義感 もってもらうと困るがあると 思われます。
（自分達の権益が 保てなくなるので・賢さの方も そうですが）
（そして、正義感を タレントのスキャンダルとかの 小さなものへ 向かわしている）

△ 本書で 著者、正義・愛・自我・自由・美・国家 等、本当は存在しないと、すべてが幻想だと みなが知っていると。

※ 私見で 前記のことは、人の思考上では間違いなく あります。
そして、抽象的思考力がなければ、人間ではなく ただの喋る猿です。
抽象的思考力なければ、人としての幸せなど ありえない。
（ただ食って 寝て、排泄して、SEXして、自分の感情的こと喋るだけ。あと  なにかに 洗脳されるだけ。・マスゴミ、新興宗教 等）
あと 抽象的思考力なければ、何かの定義さえ できない。思考力のない、クラゲやアメーバが 定義はしてはくれない。

・あとは、J.S.ミルの「満足した愚か者より 不満足なソクラテスのほうがいい」が思い浮かびます。

△ 本書中 著者、人間の思考を、操作できる時代がくると、言っております。

※ 私見で このことは、倫理上問題があると 考えます。そして、操作するでも エンハンスメントでも、人間の自然的な善いもの（倫理観・良心・共感力 等）への進歩と、基準づくりがいると 考えます。
・このことは、自然＋人為といえます。（著書中、著者の ルソーに関する考えと、同じ感じですが）

△ 著者は、科学技術の進歩により、自分達が幻想の世界に 囚われていることを 突き付けられるだろうと、述べています。

※ 私見で、汎神論の立場からの観点では、確かに 世の中は 神の小説なので 幻想の世界ともいえますが、その 神の小説こそが、まぎれもない、間違いない 現実といえます。（悲喜こもごもの、不確定要素ありの、変化ありの）
そして 抽象的世界にも、真実はあると、私は主張します。
・あと 何も信じるものがないは、人間性喪失に繋がる ものがあり、危険です。
・それから、アカデミズム、専門性の人達は、抽象的思考力 弱い者達のことを、よく分かっていないのかも しれません。（客観力なく自己中心、幼稚な信念のみ、金銭のみ 見かけのことのみで 中身なし、そしてプライドのみ 高い者のことを）
そして 思考力が弱い者の方が、人口多いか、または 半分ぐらいかです。
本書中の、カズオイシグロのいう通り、自分と同じぐらいの レベルの者としか 付き合いがない、可能性があります。（専門家も、思考力弱い者も）

△ 著者談、本書での このような書き方・考え方は、専門家からは、あまり評価されずと 書かれています。
※ 私見で、その要因は・専門とは違うことが載っている・専門と思考の仕方が違う・習ってきたことと違う が、 あると思われます。

△ 最後に 著者は、正義や愛の感覚を変えていくことが、哲学だと 考えるようになったと、述べられています。

※ 私は、この考えには 賛成です。
（何でも変えるは 問題ですが）やはり、何かの事案には、考察には、是々非々で 善いものは残し、悪いものは変えていく、そして 発信していく（この中で 様々な議論）が、重要と思われます。
そして 未来像も示すことも。
これらを、世代を跨いでも 続けていくが、善い世の中には 必須と考えられます。

※ 最後に、本書 訂正可能性の哲学は
、何かと考えさせられる 良い書籍です。また この様な教本を、東 浩紀氏には 出していただきたいと、思っています。（善き未来に）

※（終）