「書道の本」3選 FIKAのブックトーク#27
こんにちは、FIKAです。
毎回1つのテーマで数冊の本を紹介しています。
今回のテーマは「書道」。
今日11月2日は「書道の日」なので、書道に関する本を3冊紹介します。
「墨のゆらめき」 三浦しをん
「書道」「代書屋」そして「ブロマンス」がキーワードの小説です。
主人公は老舗ホテルに勤務する続と書家の遠田の二人。
招待状の宛名書を依頼したのがきっかけで遠田と親しくなった続は書の美しさに魅せられていきます。
読者は登場人物の書く字を見ることができません。それなのに見える気がするんです、遠田の書く字が!
子ども向けの書道教室で「風」という字を自由に書かせている時に。
好きな漢詩を一心不乱に書いている時に。
「湧き水みたいに澄んだ感じだけど遊び心もある」と言われる遠田の字が目に浮かぶかのように読者にイメージさせる三浦しをんの描写力がすごい!
書道だけでなく、二人は依頼人に代わって手紙を書く「代書屋」の仕事も引き受けています。続が依頼人になり切って文面を考え、遠田が依頼人そっくりの筆跡で清書するエピソードも面白い。
飄々と生きているようで実は遠田には凄惨な過去があります。そんな彼とは対照的な生き方をしてきた続と二人で織りなす男の友情が心にしみ入る物語でした。
「雨にシュクラン」 こまつあやこ
「書道」は日本だけのもの、と思っていませんか?実はアラビアにも「書道」があるんです!
主人公の真歩は書道が大好き。ところが、憧れの書道部がある高校に入学したのもつかの間、家庭の事情で引越しすることになり、わずか半年で学校を辞めてしまいます。
図書館のボランティアがきっかけで真歩は「アラビア文字」を初めて目にします。イスラム教の聖典「コーラン」を美しく書くために発達したアートである「アラビア書道」に興味を持ち、近所のトルコ料理店で行われるアラビア書道の体験教室に参加します。
筆もインクも紙も、そしてもちろん文字も日本の書道とは全く異なるアラビア書道。でも、アラビア文字の流れるような弾むようなリズムのある連なりに真歩は心を惹かれ、図書館の展示企画でアラビア書道の作品を書こうと決心するのです。
いろんな文化や価値観に出会いながら、葛藤や迷いを乗り越えて成長していく姿を描く、とても風通しのいい青春小説でした。
「アラビア書道」見てみたいなあ…
「誰でもカンタン!「いい字」が書ける!」 武田双雲
みなさんは自分の「字」に自信がありますか?私はありません…もっと字が上手だったらなあと思っています。
でも、書道家である著者は「この世に、字が下手な人など一人もいません」と言い切ります。「どの字もその人らしくて、とても「いい字」です」とも。
いわゆる「美文字」でなくてもいい。一人一人の顔が違うように、字にもその人の個性がある。だから字が下手だというコンプレックスを持たずに自分の字を大切にして書くことを楽しんでほしいと言います。
同時に「いい字」を書くために大事なポイントがいくつかある、とも言います。
雑な字、小さい字、薄い字は書かない
自分の字を客観的に捉える
上機嫌で丁寧に書く …などなど
なるほど、こういう意識で書いた字が「いい字」なのですね。
この後、ひらがなや漢字のポージング(きれいに見えるポイント)に関する具体的な書き方のレクチャーもあるのですが、一番大事なのはやはり、字を楽しく丁寧に書くということにつきるようです。
字を書く時の意識が変わりそうな本でした。
以上、3冊の本を紹介しました。
書道の世界は奥深いですね。
読んでくださってありがとうございました。
(おまけ)普段は週1の投稿ですが、10月27日から11月9日の「読書週間」は2週間連続投稿にチャレンジ中です。よかったらお付き合いください。
(読書週間第7日目)(折返し地点!)