「ユニークな料理専門店が舞台の小説」3選 FIKAのブックトーク#35
こんにちは、FIKAです。
毎回1つのテーマで数冊の本を紹介しています。
今回のテーマは「ユニークな料理専門店が舞台の小説」。
ちょっと変わった料理を専門に出すお店の小説を3冊紹介します。
「神楽坂スパイス・ボックス」 長月天音
神楽坂の路地裏にたたずむ「スパイス・ボックス」は姉妹で営むスパイス料理専門のカフェです。
ん?
スパイス料理ってどんな料理?
「スパイス」と聞くと香辛料たっぷりのインドカレーくらいしか思い浮かばない人も多いと思います。
一緒に働くみのりも、姉のゆたかが「スパイス料理専門の店を開きたい」と言った時は、イメージがつかめず反対しました。
でも、ゆたかが作るスパイス料理はカレーだけじゃありません。
北アフリカ料理のタジン鍋、ドイツのザワークラウト、ビリヤニ(インド風炊き込みご飯)、スパイスのきいたミルクティーにクリスマス菓子、そしてもちろんインドカレーまで、世界にはスパイスを使ったいろんな料理があるんです。
スパイスには疲労回復や食欲増進など様々な効能があります。それを知り尽くしたゆたかが作り出す、美味しくて元気になれるスパイス料理をお楽しみください。
「しあわせガレット」 中島久枝
ガレットとはそば粉入りのクレープのこと。具によってはメイン料理にもデザートにもなる、フランスのブルターニュ地方の料理です。
ガレットとクレープの専門店「ポルトボヌール」の女主人の多鶴さんが焼くガレットはどれも絶品ですが、お客にはひとつだけ守らないといけないルールがあります。
それは「頼んだガレットをシェアしないこと」。
…えーっ?
色々食べたいから、一緒に来た人と別のものを頼んでシェアしたいと思いますよね。
でも多鶴さんは「ガレットはその人のために焼いた一皿だからその人自身で食べきってほしい」と言います。
自分で選んだものを自分で食べるのは当たり前のはずなのに、そうできなくて残念な思いをしたことがありませんか?
一見、融通のきかないルールに見えますが、こういうささやかな自己決定権を手放してはいけないのだ、と多鶴さんの下で働く詩葉は思うのです。
メイン料理なら
「春野菜とカマンベールのガレット」
「鰯のグリルのガレット」
「辛いソーセージのガレット」・・・
デザートのクレープなら
「ヘーゼルナッツペーストとココア」
「クレープ・シュゼ」
「フルーツやアイスやチョコレート全部のせ」・・・
どれが食べたいですか?
一枚全部食べきってくださいね。
りんごのシードルもありますよ。
「谷中びんづめカフェ竹善」 竹岡葉月
びんづめカフェ?
これまたイメージしにくい料理ですよね。
東京の下町で一人暮らしをする大学生の紬は実家から送られてきた大量の野菜を持て余して捨てようとした時、見知らぬ外国人にとがめられます。彼は紬を自分が経営するカフェに連れていき、あっという間に大量の野菜を「びんづめ保存食」に生まれ変わらせました。
英国人セドリックが営むのは「びんづめカフェ竹善」。野菜や果物を保存食にしていろんな食べ方を楽しむカフェだったのです。
さて、セドリックが作ったのはなんと「玉ねぎのジャム」。ジャムは甘いものと思い込んでいた紬ですが、クラッカーにのせて恐る恐る食べてみるとおいしい!酢とグラニュー糖と鷹の爪で煮込んだ玉ねぎは、チーズや肉料理と合わせてもおいしく、もちろん保存もききます。紬はすっかり「びんづめ料理」の虜になってしまいました。
「竹善」では他にも「オイル漬け」「甘露煮」「コンポート」などの調理法で作った保存食をサンドイッチの具やデザートにしたり、「コーディアル」という果物とハーブのシロップで作る飲み物も提供しています。
「びんづめ」がこんなに種類豊富で美味しそうだなんて意外です。食べてみたいなあ…
以上、3冊の本を紹介しました。
食べてみたい料理がありましたか?
読んでくださってありがとうございました。