2024年6月前半の読了本+感想と、活動報告
こんにちは!
本日6/16日は、神保町PASSAGE SOLIDAさんで1日店長をさせていただきました!来てくださった皆様、ありがとうございました!
そして最近は
「俺の推し本。」の第二回の収録に向けて絶賛読書中です!
オンエアは7月から、毎週日曜日です!
6月の前半は束の間、地元・徳島県に帰っていたこともあり、移動中などに読書が捗りました〜!
面白い本が多くて嬉しいし、焦ります!
そして『第一芸人文芸部 創刊準備二号』買ってくださった皆様ありがとうございます!
発売1ヶ月たち、たくさんの方が読んでくださって嬉しいです!
取扱店舗も徐々に増えているので、ぜひ近くにないかチェックしてください〜!(後半に一覧を載せています)
今月の読了本の感想を綴る前に
なんと「ほんのひととき」さんが取材してくださったので、ぜひこちら読んでいただきたいです!!
第一芸人文芸部のこと、文学フリマのこと中心にたくさんお話しさせていただきました↓↓
それでは、6月前半に読んだ本です〜!
2024年6月前半に読んだ本
① 『厭な小説』 京極夏彦
「厭だ。」で始まり、「厭だ。」で終わる、厭なことをテーマに綴られた短編集。
ほんまに厭。
漢字が「嫌」じゃなくて「厭」なのも厭に拍車をかけている。
読み始めて主人公に感情移入してしまうと、厭なことから早く抜け出したいあまりどんどんページをめくってしまう。途中、次の短編まで残りのページ数を数え「まだこんなに厭なことが続くのかよ……」と絶望しながら読み進めると、厭なことはどんどんエスカレートし、最後まで救いがないまま物語は果ててゆく。
ああ……なんて厭な読書体験だろう。げんなりする。
全くお勧めしない。読書を始める1冊目の人になんて特にお勧めしない。
ただ怖いもの見たさ、いや、厭なもの見たさがある人は肝試し感覚でぜひ挑戦してほしい。
主人公は身に降りかかる厭なことの原因を何とか解明しようとする。または、法則性を見つけるために四苦八苦する。それが人間の自然な反応なのだろう。しかし答えはないし、逃れられないほど不条理に襲ってくる厭なことは制御不可能。そして読み終わった頃には、厭なこともこんなに色々と種類があるのだと感じられる。全てパターンが違う「厭」なのだ。三章くらいまで読み進めると、次はどんな厭を体験させてくれるだろうと、不思議と興味が湧いてくる。
その「厭さ」も絶妙なラインを突いてくる。最悪ではなくただただ不快で、生理的に受け付けない。
例えば天気についての記述があるが、暑すぎるでもなく、寒すぎるでもなく、大雨でも大雪でもない。
「まるで霧吹きで吹かれたかのように全身均一に濡れた。濡れたというより湿った。(中略)汗とも雨ともつかぬ湿気でワイシャツが肌に貼りつき、もの凄く不快だった」と書かれている。梅雨の時期の、あれだ。厭だ。
最後まで読み切った自分を褒めたい。
② 『超・殺人事件』 東野圭吾
社会派ミステリ、本格ミステリ、日常ミステリなどの作品が多い東野圭吾さんが、「笑い」に振り切って書いた一冊。隠れた名作との紹介もされている。
8編の短編が収録されており、どの作品も推理作家が主人公。かなりコメディタッチで描かれている。
最初の「超税金対策殺人事件」だけでも読む価値がある。めちゃくちゃ面白い。思わず笑ってしまう。
初めてのヒット作が出た主人公。友人の税理士に確定申告を頼んだら、予想外に多額の税金を払うことになりそうで、夫婦で愕然としてしまう。
お金はすでに使ってしまっていて、さらに残念なことに小説家が税理士に提出していた多くの領収書は経費として計上できないようなものばかり。
時は12月。担当の税理士は「いま書いている連載小説にそれらの経費にまつわることを書けば、経費として計上できる正当な理由になる」とアドバイスを送る。主人公の連載小説『氷の街の殺人』の舞台は旭川からハワイになり、婦人用コート、パソコン、温泉旅行代など全て物語に登場させるため、小説は破綻していく。
もう1作あげるならば「超読書機械殺人事件」が面白かった。小説の要約はもちろん、絶賛から酷評まで、自動的に書評を書いてくれる機械「ショヒョックス」が巻き起こす業界の悲喜劇。めちゃくちゃ笑ったし、星新一を読んでいるような感覚だった。
③ 『おとぎカンパニー 妖怪編』 田丸雅智
「もしも現代社会に妖怪がいたら…?」をテーマに書かれたショートショート集。二次創作をテーマに書かれている『おとぎカンパニー』の妖怪版。
いや〜面白い!
子なきじじい、ぬりかべ、河童、砂かけばばあ、ぬらりひょんなど、お馴染みの妖怪が大活躍。各話の主人公は妖怪のパワーに翻弄されたり、感謝したり。愛嬌ある妖怪や現代社会に適応できずに困ってる妖怪も出てきて、作風豊かで面白い。
特にお気に入りなのは座敷童子をテーマに書かれた「座敷男」と、百目が登場する「目の代行」。
「座敷男」では、仕事もプライベートもうまくいかない主人公の元に、元・座敷童子が現れる。成長してしまったので童子ではなく、男だという。かつて古民家で座敷童子として活動していたが、家は取り壊されて新築となり、そこに座敷はなくなってしまったと悩みを打ち明ける。
「目の代行」では、長いパソコン仕事で眼精疲労が溜まった主人公の元に「目の疲れにお悩みですか?」と、百目が現れる。目のプロフェッショナルとして、疲れを回復させるサービスをしているらしい。それには自分の目を預けることが必要だが……。
くすりと笑えて、妖怪が大好きになる一冊だった。
④『鏡地獄』 江戸川乱歩
(無料で読めます)
主人公の友人が趣味に没頭した挙句、狂っていく話。
幼い頃からレンズや鏡に異常な愛着を持っていた彼。凹面鏡で虚像を使って遊んだり、顕微鏡でノミを観察したり。やがて中学を卒業すると、上の学校には進まずに、自宅に専用の実験室を設置する。さらに両親を亡くし、莫大な遺産を受け継いだ彼は、どんどん鏡を使った実験をエスカレートさせ、狂気じみたものになっていく。もはや止めてくれる人はいない。
最後は内側が鏡張りの球体を拵え、その中に入り込む。取っ手が壊れて出られなくなり、大小さまざまな顔の自分、歪んだ顔の自分を見続けて発狂してしまう。
ここまで自分のやりたいことを貫いた友人に憧れの情念を抱いた。
⑤『断食芸人』 フランツカフカ
(無料で読めます)
【もっと断食できるのに!】
1922年、カフカが晩年、38歳の時に発表された短編小説。
断食芸は、19世紀のヨーロッパで実際に行われていた興業の演目らしく、断食を行う芸人が日に日に衰えていく様を見世物にしていたのだとか。恐ろしい。
今はハンガーストライキかファスティングでしか断食は聞かないけど、なくなってほんまに良かった。めっちゃしんどいやろ。
と、読む前には思っていたが、主人公が断食芸をしている理由が「収入のため」「誰かを養うため」とかではないことが面白かった。
断食が「芸」として成立しない世界であっても、この人なら断食している。まさに狂人。むしろ「芸」として成立する世界で良かったとまで思わせてくれる。
あらすじ。
かつては人気の芸だった断食芸。町中が沸き立ち、断食が続くにつれ、断食芸を間近で見るために席を予約するものまで現れたほどだった。
断食芸人は格子の付いた檻の中に入り、敷き詰めた藁の上に座ってじっとしている。檻の中には他に時計が置かれているばかりである。断食芸人は時おり水で口を湿らす他は何も口にせず、また人目に隠れて物を食べないようにと常時見張りが付いている。
芸に対して誇りを持っている断食芸人は、見張りが厳しければ厳しいほど喜んだ。興行は決められた日数である40日間続けられ、それが終われば音楽とともに人々の間に出迎えられる。
しかし断食芸人は、40日で断食をやめなければならないことに不満であった。もっとできるのに!
そしてやがて時は流れ、断食芸の人気はすっかり衰えてしまう。人々はもっと別の見せ物を好むようになった。
断食芸人がこれ以上「芸」を続けていくなら、相棒の興行主と別れてサーカス一座と契約しなければならない。
サーカスに入団した断食芸人の檻は動物小屋とともに並べられるが、珍しい動物を見にやってきた人々は、やはり断食芸人に興味を示さない。断食芸人はすっかり忘れ去られてしまう。
しかし、人気がなくなったことで断食芸人は40日を超えて、自分が望むだけの断食を続けることができるようになったのだった。
ここからラストシーンに続くが、最後めちゃくちゃ印象に残る。
断食した理由をネタバレすると、「自分に合った食べ物を見つけることができなかった」ことらしい。面白すぎる。
ボケなのか、マジなのかわからない。
ボケだとしても体張りすぎだし、マジだとしても、口に合う食べ物を見つけられなかったとしても、食えよ(笑)
⑥ 『30年でこんなに変わった! 47都道府県の平成と令和』 内田宗治
なんでこういう地理本って、定期的に読みたくなるんだろう。好きなんだよなあ〜。面白い。
公式の紹介から、どんな本か引用すると
『80~90年代に習った「日本の姿」と現代の「日本の姿」は全然違う!』をコンセプトに、『この30年で、静かに激変している日本を県別に細かく解説する47都道府県本』である。
日本一を誇っていた産業が衰退した県、逆に生産量日本一を実現した県。地域を代表する企業がなくなった県、新たに企業が立地した県。歴史の教科書に載っていた事項がなくなった県、新たに記述された県。新たに世界的な観光地が生まれた県。新幹線や空港が新たに開通して経済活動が変わった県。
などなど、知識のアップデートに!
今後の予定
6月後半のnoteではもうちょっと増えそうです〜!
① 7/4 BSよしもと 『第一芸人文芸部 俺の推し本。』公開収録
BSよしもとでオンエアされた特番『第一芸人文芸部 俺の推し本。』をたくさんの方々が見てくださったおかげで、レギュラー化が決定!
こちら第2回の公開収録です!
場所:下北沢B&B
時間:2024/07/04(火)19:00〜
メンバー:ピストジャム、ファビアン、バイク川崎バイク
ゲスト:Coming soon!!
こちら3本撮りで、各回ごとに特別ゲストが登場し、4人で推し本について話すイベントです!
② カレー出します!
カレーと文学が融合したおもしろ企画に参加させていただきます!
本屋が仕掛ける“ココでしか買えない”読書体験「華麗に文学をすくう?」
赤坂に店舗を構える「双子のライオン堂」さんと、神保町・秋葉原などで「書泉」「芳林堂書店」の2つの屋号で「アタマオカシイ本屋」を展開する株式会社書泉さんの共同企画です!
小説を書いて、その中に登場するカレーがレトルトカレーとして実際に発売します!
執筆メンバーはこちら
・尾崎世界観(ミュージシャン・作家)
・高山羽根子さん(作家)
・青木杏樹さん(作家)
・オルタナ旧市街さん(作家)
・浅生鴨さん(作家)
・第一芸人文芸部:ピストジャム(芸人・作家)ファビアン(芸人・作家)
豪華執筆メンバーに入れていただいて光栄です!
リリースはこちら↓↓
第一芸人文芸部の活動報告
① 毎週水曜22時〜 stand.fm生配信
「今週の推し本」コーナーでは本の紹介、そのほか文学ニュースについて語ったり、活動報告も行なっています!
お便りコーナーもあるので、質問等お待ちしております!
ぜひ聴いてください!
第一芸人文芸部の活動のベースとなっております!
次回6/19日は吉本ばななさん日記の『724の世界 2023』について話します!
文芸誌『第一芸人文芸部』の発売店まとめ
『第一芸人文芸部 創刊準備号/創刊準備二号』ともに一般流通していませんが、以下の本屋さんで取り扱ってくれております。
自信作です!ぜひゲットしてください!
※在庫は各店舗にお問い合わせください。
拙著について
① 『きょうも芸の夢をみる』
2023年3月に発売した“芸人”をテーマにして書いたショートショート&短編小説集『きょうも芸の夢をみる』について、こちらに発刊への想いを綴っています。
そして以下のリンクから芸人の解散をテーマにして書いたショートショート『エルパソ』を無料公開しているので、ぜひ読んでみてください!
② 小鳥書房『本屋夜話』(「小鳥書房文学賞」詞華集: とりをめぐる12話の物語)
こちら小鳥書房さん主催の小鳥書房文学賞を受賞させていただき、その後発売されたアンソロジーです。
“とり”をテーマにした12作。僕の『私・芸能人・鳥』という作品も掲載していただいています!
小鳥書房さんのページはこちら↓↓
過去のアーカイブ
① 特別番組「第一芸人文芸部 俺の推し本」
② Amazon Audible 『本ノじかん』
2023年10月〜2024年3月までの半年間、パーソナリティを担当させていただきました!豪華なゲストと本や創作について語っているのでぜひ!
また番組内の『クチヅタエ』という企画で、バイク川崎バイク(BKB)、しずる・村上、3時のヒロイン・福田、ニッポンの社長・辻、レインボー・ジャンボたかおのリレー小説の連載が完成し、第23回では全員集まって反省会をしています!各回の朗読は、声優の白井悠介さんです!
登録30日間は無料なので、ぜひ聴いてください!