適応障害の人の取り扱い説明書
まずはじめに
私は今年の春に『適応障害』と診断を受けました。
発症当時については下記の記事をご覧ください。
適応障害になって、少し時間も経ち、やっと自分のこの障害を客観視できるようになりました。そして、同じように適応障害に苦しむ方と出会い、情報共有の場を持ち、励まし合い、助け合い、病気になった人にしかわからないであろう辛さを分かち合う経験もしました。
本人は辛いです。
でも、ふと思ったこと。
それは、適応障害となった当人の周りにいる、家族や親しい人も辛いのだということ。
何をしてあげれば良いのか、分からないんですよね。
私の家族や親しい友人も、「何をしてあげればいいのか分からないから何か辛い」と言ってくれていました。どうやって接することがいいのか、そりゃ分からないですよね。
適応障害になった私視点ですが、そんな方々の力に少しでもなれるように、適応障害の人の取り扱い説明書なるものをまとめてみましたので是非参考にして頂けると幸いです。
※あくまで個人の経験談と見解に基づくもので、症状や治療方法の相性はその人によって異なるものです。そのことをご承知置きのうえ、ご参考にしていただけると幸いです。
※私もまだまだ療養の最中かつ勉強不足でして、経験や知識については、
引き続きアップデートをさせていただく予定です。
適応障害とは
まず、適応障害について、『適応障害の真実』内で、和田秀樹先生は下記のように述べられています。
適応障害とは、生活のさまざまな場面で生じる日常的なストレスにうまく対処することができずに精神状態や行動面において支障をきたす病気のことを言います。(和田 P14)
体感として、適応障害とは、もともと100あったエネルギーが、ストレスを我慢することにおいて、80になり、60になり、20になり、5になり、そのわずかなエネルギーしか保持していない状態に、やはりストレスがのしかかり続け、もうパンクをしてしまい、体と心が危険信号を発しているような状態だと思っています。
そして、適応障害とは、気分障害のうちの1つとみなされています。よく、鬱病の手前が適応障害だと思われる方がいますが、そうではなく、適応障害と鬱病は違う障害として分類されているんですよね。
厚生労働省は、「気分の変動によって日常生活に支障をきたす病気」を総称して「気分障害」と分類しています。気分障害は厚生労働省の統計上で「うつ病」「双極性障害」「気分変調症」「その他の気分障害」の4つに分類され、適応障害は「その他の気分障害」に含まれます。(和田 P14)
適応障害を患っている人の数は、病院にかかっている統計に表れる人数だけでも日本全国で40万人以上とのことですので、今や、珍しくない病気です。
精神科医の診療を受ける患者の10%程度が適応障害によるものだともいわれています。厚生労働省の調査によると2017年における精神疾患の総患者数が419万3000人とされていますから、単純にこの10%が適応障害だとすれば日本全国で40万人以上の患者がいることになります。(和田 P3)
適応障害の辛さ
鬱や適応障害など、このような気分障害のことを、
心の風邪という言い方をしますよね。
この記事を読んでくれている方がメンタル疾患を経験されたことのない場合、これだけは伝えたい。私が思うに、心の風邪という表現は適していないと思います。大抵の人が想像する何十倍にも辛いです。
私の場合は、症状として表れているのは、
コントロールのできない気分の落ち込み、不眠、頭痛、強い倦怠感、気持ち悪さです。
骨折であれば徐々に骨がくっついてくること、切り傷であれば少しずつ傷口が浅くなっていくことが目で見てわかりますし、良くなっていることが実感できます。風邪であっても、一般的には1週間もあれば良くなりますよね。
でも、気分障害は目で見て回復傾向が分かるわけではありません。良くなっていることが非常に実感しにくいんです。そして、良くなったと思ったら、急に症状が悪化することも多く、その不安定な状態が長期にわたり続きます。
もう、元からメンタルがズタボロなのに、追い打ちをかけてメンタルがやられます。
重複になりますが、健康な人が想像する以上に当人は非常に辛いです。
とってもとっても辛いのです。
適応障害の人の取り扱い説明書
適応障害の人を支えるあなたの気遣いや愛情が、病気を治療する一要素には十分なり得ます。当人の治療に協力し、愛情をたっぷり与えてあげていただけると、光栄です。
では、どんなことに配慮して頂くことが大切か、
ご参考にしてください。
休める環境づくりが重要
適応障害の人は、体と心のエネルギーが枯渇している状態であるので、
休養することでエネルギーレベルを少しずつ元に戻していく必要があります。
なのですが、適応障害を患わった人はエネルギーのレベルが各段に低く、体も心もストレスを防御しにくい状態なので、少しのストレスに対しても過敏に反応してしまうのです。
たとえば、私の場合は、「音」と「光」と「人混み」にかなり敏感になりました。
もとから、HSP気質でこれらに少し過敏であった自覚はあるのですが、やはり適応障害になってからは、この3つに対して過剰すぎると言って良いほどストレスに感じることが多くなりました。
<ご参考までに私の症状>
・交通量の多い所にいくと騒音が心地悪くザワザワとします。【音】
・あまり気になったことがなかったのですが、赤ちゃんの泣き声も、耐えがたい時があります。【音】
・蛍光灯の白く強い電気が嫌で目がちかちかとします。【光】
・人の多い場所へ行くと、一気に力が抜けて体が怠くなり横たわりたくなります。【人混み】
本人も過剰に反応してしまうことが普通でないことは分かっているのですが、これはどうしようもないことなので、エネルギーがフルチャージできるまでは特にその人が一番休める環境を作る手助けをしてあげてもらえると嬉しいです。
どういった環境が一番休まるか、一緒になって相談して、休まる環境づくりに協力していただけると、当人も助かると思います。
適応障害を心の弱さや性格のせいにしないで
私自身、適応障害と診断を受ける前までは、メンタル疾患系の病気になられた方のことを知ると、本当にお恥ずかしながら、心が強くない人だと思ってしまったこともありました。
気持ちの持ちよう、考え方の工夫の仕方で、メンタル疾患に陥ることはないと思っていたのですね。
私ですが、家庭でも職場でも、「健康体でメンタルが強い」と結構言われ続けてきました。周囲からは、「いつもドーンと構えていて、淡々としている」とお褒めの言葉を頂くことが多かったのです。それに洗脳されてか、自分自身でも、「自分はメンタル疾患にかかることはないだろう」と本気で思っておりました。
そんな強く見えている人、強いと思っている人でも適応障害となるのです。
私は、誰にでもメンタル疾患になる可能性は持ち合わせていると今になって学びました。
適応障害になる人=心の弱い人というのは間違っています。
実際のところ、私が適応障害となったのは、私自身の性格と関係しているとは思います。人に頼るのが苦手だったり、八方美人だったり、変にプライドが高かったり。
でも、「あなたは真面目過ぎるのよね」と言われても、
それは十分自覚をしていることであり、なんだか落ち込んでしまうので、「なんか誰でもなり得るのよね」と言ってくれるくらいが心地よいです。
私は、親友から、
あなたが適応障害になるだなんて、人生やっぱ何があるか分からないね。誰でもメンタルを壊すスイッチ的なものは持っていると私は思っているの。だから、今回運が悪かったかもしれないけど、調子の良い時は一緒に美味しい物食べようね。
と言われ、心が安らいだ経験があります。
予定を組むことはナンセンス
適応障害の人は、身体的・精神的どちらにもいえることですが、体調の波が激しいことで悩まれている方が多いです。その日によって、また、時間によって体調が良い時もあれば悪い時もあり、それをコントロールすることが難しいのです。
私自身、朝起きると、「あれ?今日なんか体調良さそう!」と思ったのも束の間、その後朝ごはんを食べていると、「え、なんか倦怠感が酷くなってきた。無理だどうしよう。」となるようなことは多々あります。
そのため、予定を組むことに結構プレッシャーがかかります。
「来週の土曜日にランチに行かない?」と言われても、
内心、「当日その時間にならないと体調なんて分からないよー。今は行きたい気持ちでいっぱいだけど、どうしよう。」と思ってしまいます。
ただ、周りの人と無理のない程度に会ったり出掛けたりすることも、個人的には好きなので、「この人は適応障害だから誘わないでおこう。」というのも、あなたが親しい人であるのであれば、やらないでほしいと思っています。
たとえば、「もし、来週の土曜日に元気だったらランチに行こう。ランチだったらいつでもできるし、その時体調が悪かったら無理しなくて良いからね!」くらいのお誘いが一番嬉しいです。
だた、私もそうなのですが、たとえ体調が良くないかもと思った日でも、少し無理をして行ってしまう節があるので、そのあたりは周りの人も気にかけてあげると良いと思います。
「絶対に治るからね。」と声をかけてあげて
「絶対に治る。」
「絶対に大丈夫。」
病気でない人からすると、「絶対に治るだなんて軽々しい発言ができない」と思われる方が多いでしょう。
お医者さんからもカウンセラーの方からも「絶対に」という言葉は言われていないと思うので、もしかしたらタブーとされているのかもしれません。
でも、私は、この「絶対に治る」という言葉に何度か救われました。
前述のとおり、適応障害は、体調や気分に波があることが特徴です。
数か月前に比べて、「あれ?もしかしたらちょっとずつ良くなっているのかも?」と思っていたところ、急に体調が悪くなり、「あーやっぱり良くなっていないじゃん。治るのかな。不安だな。」という不安ループにはまってしまうことがよくあります。
その時に、「絶対に治るから」と言われると、
なんだかほっとして安心するんですよね。
「絶対に治る。」
もしあなたが適応障害に苦しんでいる方の傍にいて、その方との信頼関係が築けていれば、沢山伝えてあげて欲しい言葉だなと思います。
おわりに
最後にもう一度伝えさせていただきますが、あくまで個人的見解に基づくものであり、その人によってしてほしいことやしてほしくないことは異なるものです。そのことをご承知置きのうえ、ご参考にしていただけると幸いです。
支えてくれる人の思いや愛が適応障害を治療する一要素に十分になり得ます。
そして、私が代表して思いをお伝えすると、支えられる側は、迷惑を掛けているというモヤモヤと闘いながらも、いつも感謝しています。
いつも支えてくれて本当にありがとうございます。
私自身も家族から支えられて、とても感謝をしています。
ゆっくりじっくり、引き続き治療をしていきます。
おまけ
私自身、読んでみて良かった適応障害に関する本を今回3冊ご紹介させていただきますので、こちらもよろしければ読んでみてください。