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【えりた書店】

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元書店員で、雑食系活字中毒者のえりたが「おもしろい!」「好きだ!」と思った本をジャンル問わずにご紹介。売れ筋の本も、ひっそり輝く本もステキポイントをずっしり掴んで書いていきます。…
一か月で10本の書評を放り込みます。記事単体では300円ですから、マガジンの方が絶対にお得。また、…
¥6,000
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#読書感想文

■したたかにしなやかに、思うように人生を歩んでいくこと―『いつも異国の空の下』

中学三年生のとき 国語の教科担当だったT先生。 ベテランの先生で、 授業もとても分かりやすかったです。 ちょっとお茶目な、でも、 基本真面目な国語の先生って感じ。 国語が好きだった私は いつも先生の授業を楽しみにしていました。 卒業も間近になった 最後の国語の授業の日。 「今日はちょっとお話しましょうか」 そうおっしゃった先生は 教科書を置き いつもとは違う話を始められました。 それは、T先生というより Tという「ひとりの女性」の話でした。 まだまだ子どもだった私は 「

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■物語だからこそ感じるセーシュン―『哀愁の町に霧が降るのだ』

大学時代、椎名誠さんのエッセイで ある方が「1年で1000冊読んでいる」と 仰っているのを読みました。 その直後、なぜか私は 「んじゃ、200冊なら行けるんじゃね?」と 根拠もへったくれもなく 至極唐突に考え付き 四の五の言わず実行に移したのです。 その結果が今の 「重度の活字中毒雑食系」。 なぜ、200冊だったのか。 なぜ、可能だと思ったのか。 なぜ、実行したのか。 それは未だに分かりません(笑) が、#読書の秋2022 の企画で 椎名誠さんの作品が 推薦されているの

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【読書note】藤原行成『権記』(角川ソフィア文庫)

■【読書note】始めます。えりたです。 私は年間250冊ほどの本を読んでいます。毎日さまざまな本を読むなかで、「ぜひ紹介したい!」と思う作品にもしばしば出会います。そこで、この【読書note】では、そんな本たちをくわしくご紹介していこうと思うのです。 紹介するジャンルは、古典文学とされる作品や、人文系の書籍です。 私自身、「このジャンルが得意!」というより、寧ろ、「どのジャンルでも楽しく読める!」タイプの活字中毒者です。そのため、「このジャンルを突き詰めていく!」とい

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■孤独と言葉とちくわ天―最果タヒ『もぐ∞』

うどん屋さんに行くと なぜか、必ず「ちくわ天」を頼みます。 先日など、うどんの量を小盛にしてまで 「ちくわ天」を頼む始末。 私はどうしてこんなに 「ちくわ天」を愛しているのだろうか。 などと思っていたら、私と同様に 「ちくわ天」を愛している人を発見!な 本がコチラです。 ■『もぐ∞』について □最果タヒ □河出文庫 □2022年4月初版(単行本は2017年) □570円+tax

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■忘れかけていた旅の時間を思い出す―『旅ドロップ』

こんばんは。えりたです。 本日、読了した本はコチラです。 『旅ドロップ』 ■江國香織 ■小学館文庫 ■520円+tax ■ISBN:9784094071863 江國香織さんの作品は 国語講師になりたての頃 よく読んでいました。 でも、最近は、小説自体を あまり読まなくなったため 江國さんからも離れていました。 ですが、先日検品しているときに ふいにこの本を見かけ、 ふうわりと懐かしさが湧いてきたのです。 そこでこれもご縁かなと思い、 購入したのでした。 ・ ・ ・

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■ざんねんな進化はない―『キリンのひづめ、ヒトの指』

こんばんは。えりたです。 本日、読了した本はコチラ。 『キリンのひづめ、ヒトの指  比べてわかる生き物の進化』 ■郡司芽久 ■NHK出版 ■1500円+tax ■ISBN:9784140819173 こちらは著者の郡司芽久さんの前著 『キリン解剖記(ナツメ社)』が とても面白かったので これもきっと!と思い、購入しました。 ・ ・ ・ 本書は、一言で言えば 「『キリン博士』こと人気解剖学者による ユニークな進化の話」です。

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■グラデーションを許容するために―『夕暮れに夜明けの歌を』

こんにちは。えりたです。 前回更新してから 原稿の方がのっぴきならないことになり noteまでたどり着かない、どころか 読書もままならない状況に陥っていました。 うん。 もう少しでいいから 体力とか体力とか体力が欲しい。 さて、そんな久々noteな今日はおやすみ。 昨日のジャンプコミック右往左往祭りを つつがなく?終え 今日はひさびさに のんびり読書しておりました。 今日読み終えたのはコチラ。 『夕暮れに夜明けの歌を 文学を探しにロシアに行く』 ■奈倉有里 ■イースト

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■理由は遠くつながっている―『プーチンの国家戦略 岐路に立つ「強国」ロシア』

こんばんは。えりたです。 本日は読書日記です。 『プーチンの国家戦略 岐路に立つ「強国」ロシア』 ■小泉悠 ■東京堂出版 ■ISBN 9784490209501 ■2200円+tax 本書の内容は「あとがき」に書かれた この文章が端的に示しています。 本書は こうした「ロシアの内在的な論理」を ロシアの軍事力という視点から 分かりやすく論じたものです。 本書を読みながら 強く印象に残ったことがあります。 それは。

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■果てしない想像力の破壊力―電撃文庫『タマとられちゃったよおおおぉ』

こんばんは。えりたです。 本日もラノベのお話。 『タマとられちゃったよおおおぉ』 ■陸道烈夏 ■電撃文庫(KADOKAWA) ■ISBN 9784049141474 ■640円+tax ものっそいインパクトを感じる タイトルですが(笑) 内容はこんな感じ。 読んでいると、 わりと昭和な抗争感あふれる場面が 何度も描かれています。 それこそ、 映画「孤狼の血」などで 交わされていたような なかなかにどぎつい台詞も 平気で飛び交いますし よく考えると(考えなくても) 相当に

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■狂おしく求める―『七つの魔剣が支配する』

えりたです。 本日はラノベのご紹介です。 『七つの魔剣が支配する』 ■宇野朴人 ■Ⅰ~Ⅸ(以下続刊) ■電撃文庫(KADOKAWA) Amazonでの紹介文を引用します。 『七つの魔剣が支配する』は 魔法学校の名門キンバリーを舞台とした物語です。 主人公はオリバー=ホーン。 彼はとある目的を果たすために この学校へ入学します。

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■反抗と祈りと―『エンド・オブ・アルカディア』

こんばんは。 えりたです。 本日はコチラの書籍のご紹介です。 『エンド・オブ・アルカディア』 ■蒼井祐人 ■KADOKAWA 電撃文庫 ■ISBN 9784049142204 ■660円+tax こちらは 第28回電撃小説大賞金賞受賞作です。 発売前に、あれこれなご縁で ゲラをいただいてました。 でも。 最初の方を読んだ段階で かなり好きな世界観だと感じたので 途中でゲラを読むのを辞めて 「書籍」の形になるのを待ちました。 で、満を持しての3月10日。 今月の新刊として

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■迷い惑ってこその思春期―『思春期、内科外来に迷い込む』

えりたです。 本日は、まだ途中読みではありますが コチラの書籍の感想です。 『思春期、内科外来に迷い込む』 ■國松淳和・尾久守侑 ■中外医学社 ■ISBN 9784498020986 ■2800円+tax コチラの本はどう見ても ゴリゴリの「医療従事者」向けです。 そして、もちろん 私は医学のイの字も分からない 一介の活字中毒(重度/雑食系)。 なので。 正直、 この本の指し示す真意とか極意とか 深いところにある面白さとかは ほぼ汲み取れていません。 でも。 読んで

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■知らずに読むことの愉悦―『プロジェクト・ヘイル・メアリー』

こんにちは。 えりたです。 本日はコチラの小説のご紹介です。 『プロジェクト・ヘイル・メアリー』 ■アンディ・ウィアー ■小野田和子 訳 ■早川書房 ■ISBN 9784152100702 ■1800円+tax 「小説のご紹介」と書きましたが コチラの小説は 何も知識のない状態で読むのが いちばんおもしろい、との前評判で。 私もそれを実践したのですが。 まさにその通りなんです。 ・・・ この作品を知ったのは 確かヤンデル先生のtweetが きっかけでした。

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■よく生きるということ―『ぼくとがんの7年』

こんにちは。えりたです。 昨日読み終えたコチラの本の感想です。 『ぼくとがんの7年』 ■松永正訓 著 ■医学書院 ■ISBN 9784260049269 ■1800円+tax まずは、帯にある文言を引用します。 小児がん外科医である筆者が ある日突然、膀胱がんに罹ります。 そう。 診る側=医師が 不意に「診られる側」=患者に なってしまったのです。 本書は、 その時々の筆者自身の 身体的な変化、痛みの様子、 診断から手術、術後のことまで 時系列に語ります。

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