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鴨の教訓
2羽の鴨が喧嘩をすると、すぐに別れて別々の方向に飛んで行ってしまいます。
それぞれの鴨は何度も勢いよく羽ばたきますが、これは、ケンカで溜まった余剰エネルギーを放出するためです。
羽ばたいた後は、何事もなかったかのように静かに飛んでいきます。
しかし、もし、鴨が人間のような思考を持っていたら、このシーンは全く違った展開になるでしょう。
鴨は静かに飛び立つかもしれませんが、戦いは終わらず、そのケンカの物語を紡ぎ上げていきます。
「あいつは信じられない。俺のそばまで来やがった。きっとここが自分のものだと思っているんだろう。俺のプライベートな空間には侵入させないぞ。あいつは信用出来ない。次はきっと何か別のことを企んで俺を困らせるに違いない。あいつに一生忘れられない教訓を与えてやる。」
このように、物語を紡ぎ続け、何日も、何カ月も、何年も、その問題について考え、語り続けるのです。
相手とはもう二度と会うことはないかもしれませんが、そんなことはどうでもいいのです。
たった一度の出来事が、鴨の心の奥底で、それ自体の中で生きていくことになります。
すべての思考に反応して発生するエネルギーは感情となり、それがまた新たな思考を生み出すのです。
これが自我の感情的思考になるのです。
感情が物語を養い、物語が感情を養い、物語は果てしなく続きます。
鴨が戦いは終わったと認識することを選択しない限り、そして、物語を捨てない限り、思考と一緒にでっちあげられた「私物語」は、サイクルを続けます。
もし、鴨が人間の思考を持っていたら、どんなに辛く、厄介な人生になるか、おわかりいただけるでしょう。
けれども、
ほとんどの人間はそうやって生きているのです。
私たちは、どんな状況や出来事にも終止符を打つことはほとんどありません。
私たちは記憶力を持つ生き物で、それは素晴らしいことでもありますが、問題でもあります。
立ち止まって、すべての自然、すべての花や木、すべての動物を観察し、耳を傾けさえすれば、重要な教訓をキャッチすることが出来ます。
羽ばきましょう!!
つまり、
物語を手放し、今ここで、今この瞬間に、あなたの本当の人生を生きなさいというのが、この鴨の教訓です。