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その太陽は透明で 「静けさ」そのものみたいだった 静けさの中に揺らめくものをみたのは「私…
宇宙の上にまた宇宙があった 終わりを迎えて始まる 始まりが見えて終わっていた 宇宙の間に…
見えてきたのは 遠く離れたところにある 空白だった 描こうと想ったのは 新しい色 まだ知ら…
天井にかかるカーテンの向こう側で 音の鳴るコンパスの上に座り、均等に巡る四季をみまわして…
白い道が雲の隙間から流れていった それは川のようで、得体の知れない薄らとした水だった 空…
目覚めると、天井にオーロラが流れていた。 オーロラは生き物のように動いて、星座の輪郭をつ…
あの子の横顔を見た日 わたしは彼女の視界に入らない 私たちは少しだけズレた時計のまま進む あの子が正面を向いた日 わたしは彼女の視界にしか現れなくなった 私たちには「感触」がある 途端にわたしは居なくなるのに、いつまでもそこに居た 見えなかったものが見えていた 私たちは目を合わせて互いに触れることができる 背後が空っぽのままだと分かった日 わたしはいつの間にか早足に進む 私たちの時間はまたズレていく けれど、思い出すだけで戻れたのは、一度でも触れていたから
風の中を舞う霧は、いつしか水の底に消えた。 空気の中で、あの島はぼんやりと浮かび、いまは…
その世界は、碧く燃えるような火が反射し、広がっていた。 バスに乗っていた僕は、停留所に止…
かつて生きていた銀河を思い出すたび、育ち始めた種子のように私は記憶を失った。 私に足りな…
風の中を龍が通っていった。 大きな雲があちこちに光を孕ませ、低い音が鳴る。 あの雲を集める…
掴んでいた何かに名前をつけた時、愛に似ていた。 それはどんな形にもならなかったのに。 「愛…
わたしは過去の残骸で出来ていた どんなに新しいひらめきも、思い出すすべては過去のものに変…
その宇宙は一瞬で誕生した 見ず知らずの誰かに創られたわけではなかった あの宇宙にいまも続いている わたしは何故あの水が熱くなり あの水に包まれたのかを 何故あの箱が音を立て 煌めきの中を彷徨い 流れていったのかを知っている わたしはどこに向かい 何に恋をしたのか 何を失い また見つけ出したのかを この記憶だけがただ その痕跡を辿ることができた 思い出すすべてがわたしの中の あらゆる感覚を撫でて ありもしなかった記憶がまたあり有りと 蘇っていっ