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詩のようなもの

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短い散文や詩のようなものを書いています。想った色々なこと。
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記事一覧

その太陽は透明で 「静けさ」そのものみたいだった 静けさの中に揺らめくものをみたのは「私…

erid
2か月前
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どちらでもなくなって

宇宙の上にまた宇宙があった 終わりを迎えて始まる 始まりが見えて終わっていた 宇宙の間に…

erid
3か月前
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空白

見えてきたのは 遠く離れたところにある 空白だった 描こうと想ったのは 新しい色 まだ知ら…

erid
3か月前
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夏の匂い

天井にかかるカーテンの向こう側で 音の鳴るコンパスの上に座り、均等に巡る四季をみまわして…

erid
5か月前
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白い川

白い道が雲の隙間から流れていった それは川のようで、得体の知れない薄らとした水だった 空…

erid
6か月前
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空を流れる

目覚めると、天井にオーロラが流れていた。 オーロラは生き物のように動いて、星座の輪郭をつ…

erid
6か月前
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横顔

あの子の横顔を見た日 わたしは彼女の視界に入らない 私たちは少しだけズレた時計のまま進む あの子が正面を向いた日 わたしは彼女の視界にしか現れなくなった 私たちには「感触」がある 途端にわたしは居なくなるのに、いつまでもそこに居た 見えなかったものが見えていた 私たちは目を合わせて互いに触れることができる  背後が空っぽのままだと分かった日 わたしはいつの間にか早足に進む 私たちの時間はまたズレていく けれど、思い出すだけで戻れたのは、一度でも触れていたから

霧の島

風の中を舞う霧は、いつしか水の底に消えた。 空気の中で、あの島はぼんやりと浮かび、いまは…

erid
8か月前
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燃える星屑

その世界は、碧く燃えるような火が反射し、広がっていた。 バスに乗っていた僕は、停留所に止…

erid
8か月前
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かつて生きていた

かつて生きていた銀河を思い出すたび、育ち始めた種子のように私は記憶を失った。 私に足りな…

erid
8か月前
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風の中の音

風の中を龍が通っていった。 大きな雲があちこちに光を孕ませ、低い音が鳴る。 あの雲を集める…

erid
8か月前
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掴んでいた

掴んでいた何かに名前をつけた時、愛に似ていた。 それはどんな形にもならなかったのに。 「愛…

erid
8か月前
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消える

わたしは過去の残骸で出来ていた どんなに新しいひらめきも、思い出すすべては過去のものに変…

erid
8か月前
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記憶

その宇宙は一瞬で誕生した 見ず知らずの誰かに創られたわけではなかった あの宇宙にいまも続いている わたしは何故あの水が熱くなり あの水に包まれたのかを 何故あの箱が音を立て 煌めきの中を彷徨い 流れていったのかを知っている わたしはどこに向かい 何に恋をしたのか 何を失い また見つけ出したのかを この記憶だけがただ その痕跡を辿ることができた 思い出すすべてがわたしの中の あらゆる感覚を撫でて ありもしなかった記憶がまたあり有りと 蘇っていっ