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かつて生きていた

かつて生きていた銀河を思い出すたび、育ち始めた種子のように私は記憶を失った。

私に足りないのは、光でも闇でもなく、種子になる前の記憶だ。

この銀河に育てられるあらゆるものを想っていた。

いま感じている安らぎが
いま知っている世界が
あらゆる困難が
この銀河で形を変えた。

いま見えている太陽が
心から押し上げられた光を放ち輝いていても
私は幾つもの太陽であった事を
その姿に変わる前の、種にもならない記憶を想っていた。

この惑星がまた姿を変える頃、私はあらゆる月が満ちていくのを、あらゆる太陽が広がり続けるのをみて、この銀河が変わり続ける意図を知った。

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