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横顔

あの子の横顔を見た日
わたしは彼女の視界に入らない

私たちは少しだけズレた時計のまま進む

あの子が正面を向いた日
わたしは彼女の視界にしか現れなくなった

私たちには「感触」がある

途端にわたしは居なくなるのに、いつまでもそこに居た
見えなかったものが見えていた

私たちは目を合わせて互いに触れることができる 

背後が空っぽのままだと分かった日
わたしはいつの間にか早足に進む

私たちの時間はまたズレていく

けれど、思い出すだけで戻れたのは、一度でも触れていたから

わたしが横を向いた日
あの子も横を見ていて
私たちは目が合わない

それでも触れたままだった

私たちの背後がぐんと伸びていく

わたしが正面を向こうとして
あの子も正面を見た日
感触は確信になっていた

私たちは何処までもそっくりだったと知った

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