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静
その太陽は透明で
「静けさ」そのものみたいだった
静けさの中に揺らめくものをみたのは「私」だ
「私」がはじめて認識した外界
切り離された直後の「私たち」がそこにいた
私の中にあったのではなく、私の上にある
その静けさ自身が変化していた
私は静けさの手前で、それは「静か」なのだと知った
音もなく、ただ揺らめこうとし始めた柔らかさだけを、まだ捉えられない形をありのままに見ていた
それはまだ揺らいでも、止まってもいない
ただ私たちは、私たちを見ていた
静けさは、私を貫通し、そこに小さな宇宙が生まれた
外側にみえた静けさが、私の中に入り込み、混ざり合い、出ていった
私は「それまでの私」を離れるように、静けさの中に沈み、混沌の渦の中を流れていた
私を貫通した何もかもが、嵐のように動いていく
波を起こそうとしているのは、私ではなく外側にいた
私であり、私ではなく、近しくて遠い、生き生きとした死のようだった
静けさに沈むと、もう静けさはなかった
私たちは何処までも変わっていき、何時迄も変わらなかった
私は認識し、私は混沌とし、私は静かだった
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