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掴んでいた

掴んでいた何かに名前をつけた時、愛に似ていた。
それはどんな形にもならなかったのに。
「愛」という言葉で括られた荷物を解いていく。
どんな愛に包まれているのか。
包まれているかどうかさえ分からないのに、どうしてそんな事が思い浮かぶのだろう。

愛を感じる時、愛について話す時、身体のあちこちがそれを知っているというけれど、僕は簡単な言葉にまとめあげて、君の愛やあの子の愛を同じにして、それは違うとは言わない。
愛は愛だから。
けれど、君の感じる愛も僕が感じる愛も同じであったことはないのに。
僕たちは決して同じにならないところで、同じ愛を願いながら、知らない愛の下にいる。

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