狐野トシノリ

静岡県浜松市で演劇ユニットFOX WORKSという劇団を主宰しています。作家・演出・演者。あと色々。たまにお笑い芸人。

狐野トシノリ

静岡県浜松市で演劇ユニットFOX WORKSという劇団を主宰しています。作家・演出・演者。あと色々。たまにお笑い芸人。

最近の記事

カイコ

カブフェス2024にて公演した一人芝居用の台本です。 電話をしている中年の男。相手はバイト先らしい。 男 はい…はい…わかりました。   はい。いえ…。   では、はいありがとうございました。 電話を切って投げ捨てる。 頭を抱えながら、座り込む。 一度鼻をかんで、 そのままティッシュの端を口に含んで噛む。やがて、スマホを持ち自撮りを始める。 男 あー、これは…Vログというか、   所謂遺書ってやつ。   あ、でも別に今から死ぬとか   そういうんじゃない。   俺たぶ

    • ぼんどしあたー「とあるマンションの住人たち」

      ぼんどしあたー さんのオムニバス企画「とあるマンションの住民たち」を観劇してきました。 ぼんどしあたーは、「劇団ぱんけーき」の佐藤さん、「演劇集団Rubbish」の根間さん、「舞台創作チーム サンリミット」の石川さんが組んでいるコラボレーションユニット。 今回の公演は、あるマンションの一室で繰り広げられるオムニバス形式の公演です。 セットは統一で、3部屋3階建てのマンションという体の設定で行われて、各階ごとのチーム制で30分くらいの作品が行われました。つまり全9団体、全

      • 茨城は栃木にあらず、関東とはいえほぼ東北

        茨城に イチニノという劇団があります。 3年前、劇団Z・Aさんが催した「劇リンピック」というオムニバスで知り合った、地元では公演をあんまりしないという変わった劇団さんです。 「劇リンピック」の中でもイチニノさんの演技というか作品は特に印象深く、どんなスタイル?と聞かれたらAIでも読み込みに時間がかかるんじゃないかなって作品を公演しています。 ただ、そのどれもがクオリティが高い! 同じ劇団とは思えないそんなイチニノさんが主宰する「茨城劇王・四季の里シアターフェスティバル」が間

        • 来年の話をすると鬼が笑う変わりに風車が回る。

          まだ夏には「SAVE」が控えていて、しかも冬には「Magician's Worth」も控えているというのに、何を気の早いことを言っているのか! と、叱られそうですが、いろいろ決まってきたのでお知らせします。 演劇に初めて関わったのは大学時代。 かれこれ20年以上。劇作家を目指していた大学時代に、一つの芝居に出会い、大きな衝撃を受けました。 「ああ、この世には本当に天才が居るんだ!」 その時に知った劇作家、後藤ひろひと、通称「大王」です。 今や「X」のトレンドにもなってい

          モノローグ穴の会を覗けば

          静岡市で定期的に行われてる「モノローグ穴の会」 脚本家の渋谷悠さんによる「モノローグ集」のテキストを使って、参加者が思い思いの演技を見せるという試み。 伽藍博物堂の佐藤剛史さんが、コロナ渦でいろいろな制限がかかった中、何かできることはないかと考えてたどり着いたミニスケールのイベントです。 各エピソードは2分~15分くらいのものまで様々。舞台装置はシンプル、派手な効果も無いし、ダイナミックな演技もほとんどない。 そもそものコンセプトが「書かないと消えそうなもの」ということな

          モノローグ穴の会を覗けば

          アメリカ合衆国皇帝ジョシュア・ノートンを知っていますか?

          FOX WORKS Produce Kogitsune Project「SAVE」 というタイトルの芝居に参加しています。 この作品は、19世紀のアメリカに実在した自称アメリカ合衆国皇帝、ジョシュアノートンの姿を描いたものです。 ジョシュアノートンは、サンフランシスコで一風変わった生活を送り、ユニークなキャラクターで知られています。 この興味深い人物をテーマにした舞台は、単なる伝記劇ではなく、歌や踊りを交えたエンターテイメントとなっています。 この芝居には、県内外様々な人々

          アメリカ合衆国皇帝ジョシュア・ノートンを知っていますか?

          トライオキシン245

          登場人物 父…沢渡 稔 娘…沢渡 歩 男…成原公平 妹…成原りりえ  下手側に押し入れ  その中でウクレレをかき鳴らしている父 父  (ウクレレで)ジャンジャンジャーン、ジャジャジャン、    ジャンジャンジャーン…※ラジオDJ的なアナウンス  娘が押し入れをノックする。 娘  父さん!父さん!おい親父 父  入ってます 娘 知ってるよ!ちょっと、うるさい!そのジャカジャカするのやめて。   近所迷惑でしょう! 父 迷惑だと思う近所がどこにある?   こんな田舎の郊外

          トライオキシン245

          舞台を汚さない血糊

          今回の舞台「LAST SHOW」は、舞台上で流血のシーンがいくつかあった。 普通なら市販の血糊(百均やネットでも売っている)を使ったり、自分でインクなどを使って血糊を作るはず。 液体を使うのは後述する問題で大変だから、紙吹雪にしたり照明にしたりという演出もあるだろうけど。 何せ血糊は衣装はともかく舞台美術を汚す可能性がある。 ちゃんと洗浄剤を使えばもちろん洗い流せるが、万が一小屋やセットに付着してしまった場合、マチネとソワレの間の短時間で処理しなければならない。 それに学

          ¥100

          舞台を汚さない血糊

          ¥100

          成り行きのディストピア

          未曾有のコロナ渦が収まらず、世の中の生活様式が大きく変わった。 昨年2020年はエンタメが窮地に追い込まれ、不要不急の存在だと扱われた。 自分が主宰するFOX WORKSでは、演劇公演的な物としてはSPAC県民月間の企画、劇リンピック内での作品のみになった。 当初は通常通りの小規模な演劇作品を創作するつもりだったが、感染症対策により配信公演となり、接触を行わない。マスクを装着すると言った制約が追加された。 そこで、飛沫対策のためマスクを必須とする。台詞は録音という形式に

          成り行きのディストピア

          春の歌

          つい先日まで寒い寒いと思っていたのに、気がついたら春の足音が近づいてきている。 桜は少しずつ芽ぶいて、鳥や虫の囀りが聞こえてきます。そしてかぐわしい花粉の舞う季節ですねどちくしょう。 ということで、色々…本当に色々とあった2020年度が終わり、新年度が始まりました。 世間的にはまだ2020年だと言い張っている業界もあるのかもしれないけど、とりあえず新年度です。 2021年というと、昔はずいぶん未来に感じた物です。 西暦198X年の核の炎も、2000年の宇宙の旅もセカ

          カメラを買った

          毎日猛暑が続きますが、皆さんお元気でしょうか。 例のあのアレがまた騒がれているせいか、今年の夏はなんだか大人しい日々です。 あんまり遠出を大っぴらにできない分、SNSなどで流れてくる各地の風景なんかを見て、あーいいなあー。と思うことも増えましたが。ふと湧き上がってきた感情が。 「カメラが欲しい!」周りの知り合いにもカメラをやってる人が多いので、気にはなっていたのですね。 いや、もちろん自分も多少はカメラかじったことあったんですが。なかなかコンスタントに撮りに行くぞ!ともな

          カメラを買った

          文章の書き方①

          期末という事もあって、仕事も演劇も死ぬほど書類を書きまくっています。 一応本分は「作家」だと思っているので、文章を書くのは得意…と思われたら大間違い。台本と公的な文章とはフォーマットが違うので、負荷もロジックも異なるのです。 職場の人たちは、僕が脚本書いていることを知っている人もいるので、年がら年中こんな言葉を投げかけられます。 「脚本は書けるのに報告書は書けないんだね」 「脚本は書けるのに報告書は書けないんだね」 「脚本はかけるのに報告書は書けないんだね」ショックを

          文章の書き方①

          狐野のやっているコト

          どうも自分は、ブログというものが苦手なようなので。定期的に更新している人はすごいなあと思います。 劇団のホームページがあるので、そこに書き込めばいいんじゃないのかとご指摘も受けるのですが、劇団で行う事と個人で請け負う事の中身が違っていたりするので、区分分けしなきゃいけないなと考えていたのです。 もともと私が主宰しているFOX WORKSというのは個人の屋号のつもりでつけた名称なので、一応狐野個人としてのホームページも作ったは作ったのですが、とにかく更新が大変だし面倒くさい

          狐野のやっているコト

          幻碌三文オペラ

          この夏、藤枝の劇団「Z・A」とのコラボ演劇「幻碌三文オペラ」を上演します。タイトルからわかる方も思いますが、ベルトルト・ブレヒトの古典戯曲「三文オペラ」を下敷きにしています。 貧民街で自由に生きる色男と、彼に恋した娘、その両親と貧民街の人々。浅ましくも気高い生き様を描いたと言うことで、何度となく公演が行われて来た作品です。 もともとは、「Z・A」の主催である木田さんから「なんかうちでやって」という申し入れがあったんですね。最初は「何酔っ払ってんだろうこの人」と笑って流して

          幻碌三文オペラ