ひらがなを読めるようになったよ
はじめに
私は、子どもが早くひらがなの読み書きができるようになった方がいいとは思わない。ひらがなを読めるようになったら、読めなかった頃には戻れないからだ。
親が先回りしてひらがなを覚えさせようとがんばるのにも違和感がある。子どもが何かを習得するのには適した時期(敏感期)がある。私が子育ての参考にしてきたモンテッソーリ教育で言われているが、周囲の大人は子どもが成長するタイミングを観察し適切にサポートして、子どもが自ら取り組み伸びていくのが理想だ。
とあるモンテッソーリ教育の本に、ひらがなの敏感期が来た子どもは、壁に貼ってある50音表の前に立ち止まる。という記述があった。ずっと素通りをしていても、あるときに立ち止まるようになる。それがひらがなに興味を持ち始めた合図だと。私はこれをやってみることにした。
(モンテッソーリ教育の名を出したが、本を読んだり短期で教室に行ってみたり、ひとつのやり方として部分的に取り入れている程度であることを但し書きしておく。砂文字のお仕事も我が家ではやっていない)
基本スタンス
「なんて読むの?」「なんて書いてある?」など聞かれない限りはひらがなを教えようとしない。絵本は好きなのでたくさん読み聞かせている。我が家は以前からテレビを字幕付きで流している。
50音表は無印良品のもので、2018年秋、3歳になる前にリビングの一角に貼っておいた。
息子のこと
2015年11月うまれの4歳。2年保育の幼稚園に入園するために今までずっと自宅保育。2020年4月にやっと入園のはずが、新型コロナウィルスの影響で自宅保育が続いている。2019年11月の4歳になった時点ではひらがなは読めていなかった。食パンに書いてある「もっちり しっとり」の『つ』だけ形を認識していたかな。数字と時計は4歳前に読めている。
習い事
習い事はリトミックのみ。リトミックで天気とそれに合ったひらがなカードを貼って「は♪ れ♪」「く♪ も♪ り♪」「あ♪ め♪」と拍手をしながら発声してのリズム打ちを毎週やる。学期のはじめ春夏頃は先生の後にリピートもしなくて、興味なしという感じだった。秋頃からは声を出すようになった。そのあとリズム打ちの前に、ひらがなカードを子どもに順番通り貼らせるレッスンになった。最初の4-5週はわかっていなかった。ひらがなが読めるようになったというより、毎週同じ字を見ているので一文字一文字をマークのように覚え始めて1月(4歳2ヶ月頃)にはすべて順番通りに並べられるようになった。これは後述するひらがなに興味を持ち始めた時期、50音表に興味を持ち始めた時期と重なる。
ひらがなを積極的に教えるつもりはなかったが、リトミックのレッスン内容なのでこれは従った。
4歳前後 (2019.10月~2019.12月)
まだひらがなは読めていない。
数字は読めていて、台風のニュースが頻繁に流れていた頃、テレビに「台風20号」と字幕が出ると『たいふうにじゅうごう』と読んでいた。これは読める数字『20(にじゅう)』と頻繁に見かける『台風20号』という字の並びをよく聞く『たいふうにじゅうごう』という音に結び付けて暗記していたのだ。企業ロゴやマークもよく覚えていて、私は「なんでひらがなは読めないんだろう?」と疑問に思っていた。
文字の形を覚えることと、ひらがなが読めることはぜんぜん違うのだろう。
4歳1ヶ月 (2020.1月)
50音表に興味を持ち始める。
いつも50音表が貼ってある壁がみえる位置に座ってご飯を食べている。ご飯を食べながら50音表を見つめて、「あれはなに?」と聞いてくるようになった。ひらがなとその下に書いてあるイラストが気になるようだった。『それはねこだよ。ねこの”ね”だよ。』などと少し教えるようになった。これを聞かれると『じゃあそのとなりは?上は?』としばらく続く。(つまりご飯が進まない!)
ついにひらがなの敏感期が来たのかな?と思った。
前述のとおり、リトミックで天気のひらがなカードを並べられるようになったのもこの頃だ。
4歳2ヶ月 (2020.2月)
ビックリマーク「!」とはてなマーク『?』を認識してブーム到来。
絵本を読んでいて、「!」と「?」が出てくると大ウケしている。家にある絵本をひとりでめくって「!」「?」を探していた。
大好きな絵本11ぴきのねこシリーズで「!」マークがある作品と無い作品を自分で調べて教えてくれた。2冊だけ「!」が出てこない作品があるのです。こんなこと考えたことが無かったので、おもしろいなーすごいなーと感心した。
また、絵本やテレビの字幕でよく出てくる『えー!?』に反応するようになった。『えー!?』の文字列を見かけると『”えー!?”て書いてある』と言うようになった。これは『台風20号』と同様に文字の並び(マーク)として覚えてるのか『え』が読めているのかどちらかわからない。
4歳3ヶ月 (2020.3月)
気づいたときにはほぼ読めている。
私が読んでいるものをのぞいて、『”し・ま・す”って書いてあるね』と言ったり、商品パッケージのひらがなを読んだり。本棚に並ぶ私の本の背表紙も読み出して、私は『えーっ!読めてるー!?』の連続。ただ、濁音半濁音と小さな「つやゆよ」はわからないみたいでなんて読むか聞いてくる。その都度教えてあげていた。
絵本の読み聞かせの時に文字を見るようになってて、私の読みを繰り返したりもした。(言語学習のいわゆるシャドーイングを文字を見ながらやっている感じ)
知らない間にひらがなを読めるようになっていて、子どもの成長は本当に謎だらけ、驚くことばかりだ。
4歳4ヶ月 (2020.4月)
ひらがなに加えてカタカナも読めている。簡単な言葉遊びもできる。「はha」「はwa」の読みわけもできているようだ。
50音表を見ながら、ひらがなの場所を組み換えて単語をつくる遊びを始める。『”ね”と”ぬ”を交換すると”ふね”だねー。』
私『ほんとだぁぁ!』
私がクイズで『”と”で始まって”と”で終わる3文字の野菜は?』と聞くと『とまと』と答えたのにも驚いた。
完全にわかっているではないか!!
おわりに
ひらがなが読めるということは、子どもが自分で情報を仕入れることができるということ。親の言うことだけではなく、書いてあることを読んで考えることができるようになったということ。自立への大きな一歩という気がする。
少し読めるようになってからの成長がめざましくて天才かな??と親バカ的に思う一方、とりあえずひらがなが読めるようになってひと安心。「這えば立て立てば歩めの親心」のことわざのように、次はいつひらがなを書けるようになるのかと期待したいところだが、これも本人が「書きたい!」と思うまではそっとしておこうと思う。
今も文字を書いてるつもりで丸や線を引いているけれど、まったくひらがなには見えないデタラメである。それでも「じょうずに書けたね」と声をかけるのが最善と思っている。
完全に自宅保育で四六時中子どもと一緒にいても、結局いつひらがなを読めるようになったのか、境い目はわからなかった。子どもの成長はおもしろく、過程を忘れないようにnoteに記す。