#39 やる気を出す方法
やってのける力。
もともと自分で生活のリズムを決めて、その通りに動くというのは小さい頃から苦手だった。計画通りに夏休みの宿題を終えたことなど一度もなく、自分は在宅勤務はひどい結果になるのではないかと思っていた。
やってのける 意志力を使わずに自分を動かす
だが、それなりに目標を決めて、これまでの「やらない自分」を想定したうえで計画をたててみるとそこそこ動けることがわかった。さらに、自らを鞭打つためにハイディ・グラント・ハルバーソン『やってのける 意志力を使わずに自分を動かす』(だいわ文庫)という本を読んでみたので、今日はここは役にたつなあというところを書いておこうと思う。なので今回の記事はhow-toのおすそわけ。
この本はアメリカらしい具体例やエピソードももちろん含まれてはいるが、全体的に研究内容と研究結果をわかりやすく参照しながら、「意志力」を使わずに目標をどのように達成するかが書かれた本だ。
それぞれの章で、心理テストのようなものを受けて、自分がどのようなタイプかを明らかにしていき、そのタイプに合った目標達成のアプローチを提示してもらえる本になっている。
まあ、ぼくが取り組んでいる「詩」というものは、やる気うんぬんとかでどうなるものでもないし、時間を確保したところで空振りに終わることが多いので、あまり参考にならないところはあるが、少なくとも、「詩」に取り組む時間を確保するために、「仕事」をいかに効率的にやるかというところでは役に立つ。
この本で言われることをざっくりと三つにまとめると以下である。
①「なぜ」の考え方と「何」の考え方
②「証明型」と「習得型」
③「獲得型」と「防御型」
それぞれを簡単に説明していくと、こうだ。
①「なぜ」の考え方と「何」の考え方
物事を取り組む際に、その物事の性質によって、考え方を変えると取り組みやすくなるという話だ。たとえば、難しい課題に取り組むときは、具体的に「何」をすればいいのかをあげた方が、ステップが明確になって取り組みやすくなるということだ。
逆に、一つ一つの課題は簡単なのだけれども、「やる気」がでない物事のとき、たとえばエクササイズを毎日やるとか、スイーツの誘惑に勝つとか、そういう課題の場合は、「なぜ」にフォーカスするといいということだ。
「健康になるため」とか「美しい肉体を手に入れて、夏の海で披露するため」などの「なぜ」やるかを考えることで、「やる気」が出るという話。加えて、こうした「やる気」がでないときには、やってしまった場合に得られる成果といった「結果」や、やらなかった場合の損失という「結果」に注目すると、「やる気」が出るということでもある。
このあたりは、仕事をこなす点でぼくは役に立った。今日も、はやく仕事を終えてしまえば、こうして文章を書く時間も、ネットフリックスで「バキ」を見る時間もとれると思うと俄然やる気が出た。
ただ、これは当たり前のことと言えば当たり前のことなので、しっかりとあらためて「意識」をするということが大事だと思う。
②「証明型」と「習得型」
簡単に言うと自分の能力を証明することに価値を置く「証明型」と、能力を延ばすことに価値を置く「習得型」の二つの性格があるということだ。学校のテストなどで高得点を目指すタイプは「証明型」が多く、順調にテストでいい点を取り続けている場合は「やる気」が高いが、いざうまくいかなくなると自分の能力が証明できないのであきらめる傾向にあるということだ。
この本で推奨されている考え方は「習得型」で、困難があっても、「成長」のためと、前に進もうとする「やる気」が持てるということだ。だから「過程」を楽しむこともできるし、「不安」にも強いことから、この時代を生きていくには「習得型」の考え方を身につけることが目標達成には向いているという話だ。
③「獲得型」と「防御型」
「獲得型」は何かを得ることにフォーカスするが、「防御型」は何かを失わないことにフォーカスする。ぼくは典型的な「防御型」で、リスクをとれない人はだいたい「防御型」だ。
「獲得型」の人は、機会損失をすることが何より避けたいことなので、楽観的に、ポジティブに考えることで「やる気」を引き出すことができるが、「防御型」は、逆にリスクをおかすことを避けたいので、ネガティブな側面を考えることで、そのリスク回避のために必死になって「やる気」が出るというタイプのようだ。
だから、誰にでもポジティブ思考が合うわけではないというのは納得だなあと思った。ぼくはやはり「防御型」なので、何を失うかを徹底的に考えることで、ようやく動き出すので、これからも、どんどんと「失うもの」をリストアップすることで自分を動かしていこうと思った。
目標ごとの考え方
以上、この本では、「やる気」をめぐる人の心理的な「型」をいくつか紹介している。そして、それぞれの目標ごとに、どんな方法をとれば自分を動かすことができるのかを中盤あたりでまとめている。
簡単にまとめるとこう。
1.簡単なことや得意な課題 → 得られる結果
2.やる気がわかない課題 → 「なぜ」「失敗したら失うもの」
3.難しい(不慣れな)課題 → 具体的なステップ
4.誘惑に負けそうな課題 → 「なぜ」「失敗したら失うもの」
5.スピードが必要な課題 → 得られる結果
6.正確さが求められる課題 → 「失敗したら失うもの」
7.創造性が求められる課題 → 自分で目標を選択する(自律性)
8.過程を楽しみたい課題 → 成長を意識する。自分で目標を選択。
なにか、大きな目標達成をしようというときには、必ず小さなタスクがたくさん目のまえに広がっている。そして、それら一つ一つは、簡単だったり難しかったり、スピードや正確が求められたり、さまざまだ。そういうときに、同じ考え方で取り組んでも挫折するのは当然と言えば当然なのかもしれない。
おそらく、人は自然にこういうそれぞれの課題に対して、考え方をわけてやっているのだとは思うが、意識的に考え方をシフトしていくことで、もっと効率的に目標達成に向けて歩いていけるかもしれない。
実際に、仕事の面ではこれで能率がアップしたので、「詩」の時間をしっかりととっていくためにも、実践していこうと思う。その他にも、さまざまなお役立ち情報があるので、意志の力が弱い……やる気がでない……という方にはおすすめだ。
実は、「やる気」と「意志」は関係がないのだそうだ。
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