コーヒーと小夜曲で、夢をみる。
あぁ、朝から暑い日。
我が家の泳げない兄弟は、それぞれにプールの授業を憂いながら、家を出ました。
兄も弟も、プールバッグをわざと忘れて行こうとしていたから笑える。
意味ありげにこちらを振り返るから気付くよ。
二人とも、基本真面目です。
私は今日もはりきって掃除を終え、文庫本を1冊小さな鞄に入れて、先日と同じ大好きな場所へ。
今年初の半袖のワンピースと、何年ぶりだろう?というくらい、気分でターコイズのバラの形のピアスを出してつけてみました。
いつもは、目立ちすぎる気がしてやっぱり替えて、となるけど、今日はこれでいい気がしたので。
山道をぐんぐん行って、トンネルをひとつ抜ける。
暗い細いトンネルの出口に見える緑の鮮やかさよ!
今日もいつもの場所に静かに佇む看板を見つけてほっとし、中へ入りました。
お腹がすいていたので、大好きなたまごサンドと、ケニヤを。
たまごを割って混ぜる音も、フライパンを揺らして焼いている音も、カサカサっとパラフィン紙で包んでいる音も、豆を挽く音も、ドリップしている空気を感じる無音も、全部が心地よい。
そのケニアには、ただ静かに感動しました。
聞くとやはりナチュラルで、その風味の複雑さと、様々なフルーツが重なるような奥行きのある酸味が、ひと口めでわかるほど。
タイミングよく、昭和初期の復刻版の本がたくさん展示されていて、ご自由にどうぞ、と言ってもらいました。
どれも装丁が繊細で美しく、中の紙も、書体も味わい深い。
傷つけないように、おそるおそるページをめくる。
その中で一冊選んだのはこれでした。
竹久夢二『小夜曲 SERENADE』。
ビロード装で、三方の断面が金、という、なんともため息のでるような絵入りの詩集でした。
場所の雰囲気と全てが混ざりあって、今はいつで、ここはどこで、自分が誰なのか…。
一瞬でも、一切を忘れることができそうな、そんなひとときでした。
自分が持っていった文庫本は、今日はほとんど出さないままで帰りました。
余韻に浸りたいところですが、もう今は水曜日の午後2時で、ここは我が家で、私は子どもの帰りを待つお母さんなので、徐々に現実に馴染むよう努力します。
あぁ、そして雨が降りはじめた。
午後からのプールの授業は長男。
雨が降りますように、の願いが届いたよう。
1時間めがプールの次男は、
ずるい、と膨れっ面で帰ってくるかも(笑)。
前回はこちら、ご覧いただけたらうれしいです。